東京都知事選挙の動きが怪しくなってきた。読売新聞の調査によると、無党派層が小池氏に流れているという観測がある。もしこれが正しいとすれば、無党派層が鳥越氏から離反している(あるいは最初から期待していない)ことになる。離反しているとしたら「反原発・護憲運動」が足を引っ張っているということになる。
もし鳥越氏が負けてしまえば、おそらく、無党派層には野党共闘はアピールしなかったということが証明されてしまう。これは民進党の党首選挙に大きく影響するだろう。民進党には一定の右派勢力がおり、彼らはそもそもの集団的自衛権・憲法改正議論に最初から「超党派」で加わっている。アメリカに従うためには、旧来の憲法が邪魔であるという立場だ。この人たちが岡田党首の左派協調路線に反対している。
つまり、都知事選挙で鳥越氏が負けると、民進党は改憲勢力に加わることになるだろうことが予想される。護憲勢力は社民・生活と共産党だけになってしまう。これは2/3どころではない大勢力となるだろうがその主張はバラバラである。
これまでの議論や調査などを見ていると、国民は自民党が民主主義の常識を打ち破って国民を支配したがっているとは思っていないようだし、憲法第九条に関しては「自分たちに迷惑がかからない限り何をやってもらっても構わない」と思っているようだ。それどころか、憲法第九条を錦の御旗のように掲げて具体的な政策を示さない野党勢に不信感すら持っているようである。
憲法改正の主眼は第九条だ。実は国民の多くは平和主義は支持しているものの、軍隊を持たずに国防ができるとは思っていないのではないかと思う。護憲勢力を支持しているわけでもないので、改憲はそれほど難しくなさそうだ。
しかし「憲法第九条」を過大評価するあまり、さまざまな取引が試みられ、挙げ句の果てには「人権を抑制してしまおう」という勢力が怪気炎を上げることになる。むしろ誰かが「憲法第九条だけに限って現状に合わせるべきだ」という議論を始めたほうが、余計な話が出ず、政治的リソースを無駄遣いしないのではないかとすら思う。
野党陣営は護憲・反原発に依存せずに、建設的な政策議論を行うべきだとは思うのだが、現在の儒教をみているとなかなか難しいのかなあとは思う。