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次の流し雛は岸田総理 「総理さえ変わればすべて丸く収まる」と期待する人たち

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国会が正式に閉幕し永田町の関心は「次の総理大臣選び」に移っている。菅総理を流し雛にしたのと同じ状況が再現されている。

麻生派・茂木派が「総理退陣論」の口火を切ったが菅前総理もこれに参戦している。岸田総理か政権交代かという枠組みを作り総理大臣に退陣を求ているのだが次の総理候補について、菅前総理は明言を避けている。

非常に興味深いことにある世論調査では政権交代を望む人が減っている。つまり諸悪の根源は岸田総理であって総理さえ変われば問題は消えて無くなると期待する人が増えている可能性がある。あるいは「政権交代しかない」と考える人もそれによって起こる変化に確信が持てないのかもしれない。

どの程度の人が現状維持を求めているのか。今後の世論調査と2週間の期間を残す都知事選挙の結果に注目が集まる。

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政治と金の問題が一段落したあとの永田町では不穏な発言が多く飛び出している。まず麻生派の議員が「今回の混乱は誰かが責任を取らなければならない」と主張した。次に茂木派の議員が相次いで「岸田総理には思いやりがない」と総理大臣を批判した。ここまでは岸田総理を支えた「主流派」と呼ばれる人たちの離反だった。

ついに非主流派の菅前総理も「政権交代か岸田退陣か」と主張し始めている。岸田総理は自身が形成した主流派からも梯子を外され非主流派にも応援してもらえない。まさに玉木雄一郎国民民主党代表が看破した四面楚歌の状況に置かれている。

では国民はこれをどう見ているのだろうか。おそらく国民は政治と金をめぐる細かい議論には関心がない。経済政策も政治資金規正法の問題も「どうせ不合格答案だろう」と考えており細かな中身には関心を持たない。岸田総理の支持率は過去最低だ。ここまでは共同通信の世論調査で明らかになっている。

しかしながらNNNの世論調査を見ると少し異なった印象を持つ。確かに岸田総理の支持率は低いままなのだが、政権交代を望む声が少しではあるが減っているのだ。

次の衆議院選挙のあとの政権について、どちらを望むか、たずねたところ、「自民党中心の政権の継続」が46パーセントで、同じ質問をした前回5月の調査より4ポイント、上昇しました。

ただしこれは誤差の範囲である可能性がある。また、政権交代を望む声もそれなりに(42%)ある。岸田総理に期待していないという点は合致しているが政権交代を望むかと聞かれるとまだ迷いがあることがわかる。

国民の安定思考は自民党の総裁交代時期にも現れている。今すぐやめろという人たちよりも「9月の総裁選で変わってほしい」と考えている。つまり、ここでも混乱を避けて安定してほしいと気持ちが強い。この傾向も多くの調査に共通している。

国民は岸田総理の何を嫌っているのか。明確な答えはない。おそらく負担増推進、国民を無視したマイナンバーなどの改革、政治と金の問題の杜撰な処理などが複合的に作用しているのだろうがこれを総括する人は誰もいない。とにかくいやになったから「片付けてしまおう」「流してしまおう」ということになっている。これはコロナ対応がなんとなく気に入らないという理由で流された菅前総理に似ている。一旦流しすと「流したこと」すら忘れてしまう。だからNNNの調査では菅前総理に首相になってほしい」という人たちが8%もいる。

NNNはどちらかと言えば政権支持をする人たちが多く見ていという印象がある。つまり「聞き方」が政権寄りである可能性がある。同じく政権寄りのFNNも総理大臣交代を望む報道を盛んに流している。政権交代を望んでいると思われる朝日・毎日新聞系はむしろ岸田おろしを扱わない傾向があることから政権よりの報道機関の方が危機感が強いのかもしれない。

今後他の世論調査の結果が出てくるだろう。これらの世論調査でNNNと同じような結果が出ればおそらく「岸田総理を流し雛にして9月まで水面下で次期総裁選」という路線が確かになりそうだ。総括をしない日本人は儀式的に誰かを流すことで今まで通りの政権運営が継続されることを期待しているのかもしれない。

もうひとつ注目されるのは東京都知事選挙である。仮に都市の先進的な住人たちが変化望めば、おそらく(選挙期間中なので特定の名前は控えるが)「野党系候補」が票を伸ばすことになる。だが「野党が強くなりすぎている」と危機感を覚える人が増えれば現職が健闘するはずだ。

都市部にはITに強い人たちや政治から距離を置く人たちもいる。AIエンジニアや元市長といった人たちが躍進すれば「都市の政治は健全なイノベーションを求めている」ということになろうが彼らは政治に何も期待しなくなっているかもしれない。これも都知事選挙の結果がある程度の代替指標になる。

AIエンジニア氏が単独で選挙に勝つということはないだろうが「政治に組み込まれる」可能性はある。実際に「表現の自由」を背景にした候補が相次いで参議院で大量得票に成功したことがあり、彼らは自民党に組み込まれることになった。つまり選挙に勝つか負けるかのみが重要なわけではなく「特定クラスターを可視化できるか」が重要なのだ。

おそらく現在の政治の最も大きな課題は「日本という川」に水の流れを取り戻すことなのだろうが「全体の治水問題」や「河川の構造」について語る人はそれほど多くない。高齢化や現役世代の老成化を背景に「今まで通りの澱んだ川」が続くことを期待する人が多いのだ。

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