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戦時内閣崩壊がガザの戦闘休止を実現するという皮肉

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ついにガザ地区で戦闘がとまったそうだ。全ての地区がというわけでもないようだが一部地域では束の間の平穏が戻ってきた。原因となったのがイスラエル内部の混乱である。IDFと呼ばれる軍隊(イスラエルの軍は「防衛軍」ということになっている)と極右が対立している。

これまで周辺国はこの戦闘を全く止めることができなかったが、皮肉なことにイスラエル内部の動揺が(一時的・限定的ではあるが)戦闘停止につながった。AFPによるとイスラエル軍は支援物資運び込みのために毎日11時間戦闘を休止すると宣言している。

BBCは次のように書いている。

軍事行動の一時停止は15日から始まっているとし、時間は午前8時から午後7時までだとしている。

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今回の一時的攻撃中止についてはさまざまなメディアがまとめているがBBCが最も簡潔でわかりやすかった。

もともとイスラエルには極右と軍の対立があった。これを繋ぎ止めていたのが「戦時内閣」だ。西岸の統治権限は極右に渡すが、戦時内閣には極右を入れない。そこにネタニヤフ首相の政敵であるガンツ氏を加えて政治的混乱を防いできた。

ガンツ氏もハマスの殲滅を求めている。だが「国際社会の協力なしでは戦争が維持できない」とも考えているようである。つまり純粋には和平派ではないが国際社会の意向に沿って一時停戦は認めてもいいという立場である。

ところがネタニヤフ氏はガンツ氏の意向を受け入れず戦争を継続しようとした。自分の意志を貫くためには政権交代しかないと考えたガンツ氏はネタニヤフ首相の体制から離脱した。この時にガザ地区の司令官も離脱している。

権限がある戦時内閣からガンツ氏が去ったのだからイスラエル軍の攻撃が激化しても不思議ではなかった。だが実際には軍が勝手に戦争を止めてしまったようだ。つまりネタニヤフ氏が軍隊から切り離されてしまったのである。イスラエル政府は「聞いていない」と立腹しネタニヤフ首相が軍を批判する声明を出している。本来軍隊は政府の指揮下にあるべきだがネタニヤフ首相命令に逆らったということになる。また国防大臣も「話は聞いていなかった」そうだ。イスラエル軍の指揮権を誰が持っているのかがわからなくなっている。

イスラエルのメディアによると、ベンヤミン・ネタニヤフ首相もヨアヴ・ガラント国防相も、発表前にこの計画を知らなかったという。

現時点ではネタニヤフ首相がどの程度極右に傾斜するかが問題になっているようだ。CNNは未確認ながらも「西岸への入植を加速させるのではないか」と伝える。あくまでも極右には西岸だけを与えてガザ地区とは切り離しておきたいのかもしれない。

さらにヒズボラとの間の戦闘も激化ししている。ヒズボラはガザ地区への攻撃が続く限りイスラエルを攻撃し続けるとしておりイスラエル北部の状況が悪化している。極右はこちらでも徹底抗戦を求めているがイスラエル軍にはその余力も意志もない。

今回の10.7攻撃はガザ地区で住民から離反されつつあったハマスが奇襲攻撃をかけ「政治的崖っぷち」にあったネタニヤフ首相が攻撃を止めることができなくなったことからはじまっている。つまりどちらも政治的保身が戦闘激化の原因となっている。イスラエルはアメリカを巻き込んで事態をエスカレートさせようとしてきたがこの構図が破綻しつつあると言えるのかもしれない。

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