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「日銀国債買い入れ減額」で市場に一時緊張が走る

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FOMCを追いかける形で日銀の政策決定会合が開かれた。テレビでは速報が流れ為替も円安側に反応したがその後落ち着きを取り戻している。

植田総裁は市場とのコミュニケーションを急速に学習しており動揺を最低限に抑えることに成功したといえるだろう。高度な知性と適応能力の高さを窺わせる。

今回の最も大きな学びは「日銀の政策変更によって資産を動かしてはいけない」ということだろう。マスコミは習慣で速報を出しているに過ぎない。

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金曜日の正午過ぎに速報が流れた。日銀が国債買い入れを減額するというのだ。その後続報などもなかったことから「午後の株価にどんな影響があるのか」と身構えた人も多かったかもしれない。マスコミはFRBや日銀の政策変更があるたびにとにかく何がなんでもいち早く報道しなければならないと思い込んでいる。集団思考による衆愚化が起きている。

植田総裁はこの「習慣」を織り込み済みだ。急速にコミュニケーション手法を学習している。状況を動かすためにリークなども用いたが今回は逆に「時間をかけて対応することで市場の動揺を抑える」ことにした。

前回は突然の発表で岸田総理に呼び出されたと報道されていた(【スクープ】岸田首相が「日銀総裁を叱った」…!? 円安を加速させる「いいカモ」植田総裁の失言に、政権も財務省も「なんとかならんか」と大激怒(現代ビジネス))ため、今回は市場関係者の話を聞くということにしたようだ。ただ、今度は「結論先延ばし」と受け止められ一時円安に触れた。ところがこれも会見の結果元に戻っている。

植田総裁は過去の経験からリスク回避傾向が強い日本人は自分達の資産の減価を恐れて投げ売りに走りかねないと知っているのだろう。今回は相応の時間をとって市場関係者を宥めることにしたようだ。

おそらく植田総裁が学んでいることはもう一つある。それが「どうせ政府は何もしないだろう」という見込みだ。7月の利上げを排除しなかった点に違和感を感じた。調べてみると10月の利上げは難しいという声があるそうだ。日経新聞が伝えている。

岸田総理はこのまま任期いっぱい総理・総裁の地位にしがみつく可能性が高い。この間は自民党内の意見はまとまらないだろう。だから植田総裁にはそれなりの自由度がある。だが次の総裁が10月に選挙に踏み切るならば10月の利上げは政治へのインパクトが強い。さらに次の総裁が積極財政派になれば日銀の選択肢は限られてくるだろう。だったら7月のうちにとにかく1つ実績を作っておきたいと考えても不思議ではない。

かつて安倍派と呼ばれた政治勢力はいまだに積極財政論に強いこだわりを見せている。一方で財政再建派はこの機会に増税機運を高めておきたい。中には中小企業に負担になっても金融正常化を急ぐべきだという意見もあるそうだ。Bloombergが日銀の金融政策、国内企業には負担増でも正常化推進を-自民・越智氏という記事を出している。

レームダック化した岸田総理が党内の分断をまとめることができると思っている人はもう誰もいないだろう。愚かで間抜けな維新の議員たちを除いては岸田総理に約束履行能力があると考える人もいないだろう。であればそれぞれの政策担当者が自己判断で行動した方がいい。植田総裁の場合は国内での評価よりも国際社会での信用と尊敬の方が重要であり、どっちみち岸田総理に相談しても彼は内容を理解しないだろう。

ただし自民党の越智氏のいうような金融正常化が進めばおそらくゾンビ企業と言われている企業の廃業などは増えてゆくのかもしれない。経済対策は日銀の責任分野ではなくなおかつ現在の自民党・公明党政権が何もしないし何もできないと織り込むならば中小・零細企業にとっては厳しい状況も予想される。

いずれにせよマスコミが速報を流すのは「なんとなくそうするもんだ」と思い込んでいるからである。その後円相場が動いたことで心穏やかでなかった人もいたかもしれないが速報に惑わされてオンライン証券会社のボタンを押す前に一度深呼吸をしたほうがいいのかもしれない。

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