当初予定されていた通りガンツ氏が戦時内閣が撤退した。ラピド氏はもともと戦時内閣に参加していなかったことから、ネタニヤフ首相を中心にリクードと極右・宗教右派が内閣に取り残されることとなった。ネタニヤフ首相は7月24日に予定されているアメリカの議会演説に望みをつなぐがバイデン大統領はネタニヤフ首相と会談しない可能性があるようだ。直接会うかと聞かれたがホワイトハウスは会談を明言しなかった。また、アメリカの人質の解放をハマスに直接訴えるのではないかという報道もある。大統領選挙を控えたアメリカも「何らかの成果」を切実に必要としている。
ガンツ氏が戦時内閣から撤退した。ガンツ氏の議会基盤はそれほど強いものではないため内閣はそのまま維持される。むしろ比較的穏健派といわれるガンツ氏(それでも戦闘継続を望んでいるのだが)が不在となりガザ情勢がさらに荒れるのではないかと心配されている。
あまり大きく伝えられてはいないが、先だってガザ地区の司令官が退任している。表向きの理由は人質を救えなかったから責任を取ったということになっているがこのまま軍に残ってもネタニヤフ首相らの人道犯罪の片棒を担ぐだけになってしまう。
アメリカ合衆国からのトーンにも大きな変化が見られる。ネタニヤフ首相は7月24日にアメリカ議会で演説を行うがバイデン大統領がネタニヤフ首相と会談するかに注目が集まっている。「ネタニヤフ氏が戦争を長引かせている」と発言したバイデン大統領は現在の体制から距離をとり始めた。
NBCはアメリカがハマスとの直接交渉を行うのではないかと伝えている。ロイターの伝聞報道によると対象者はアメリカの人質5名に限られるそうだ。
ガザ地区からは4名の人質が解放されている。人質が解放されたのは3回目だった。今回は4名の人質を解放するために200名以上の市民が犠牲になったと考えられている。ニューヨーク・タイムズによれば今回の作戦にはアメリカの情報機関のサポートがあった模様だ。ただし軍事作戦には参加していないという。
アメリカは「戦争」には直接参加しないという姿勢は一貫している。だがウクライナではロシアを攻撃できる兵器を提供し、ガザ地区でも情報や兵器の提供などを行なっている。大統領選挙を控えるバイデン大統領もまた「成果」を必要として焦りを募らせていることがわかる。