ざっくり解説 時々深掘り

EU議会選挙で広がる波紋 フランスは議会選挙を選択

Xで投稿をシェア

EU議会選挙の結果が各国の内政に波紋を広げている。極右は心配されていたほど伸びなかった。一方で環境系左派は支持を失った。中道右派もやや右傾化している。今後どの程度EU全体が右傾化するのかに関心が集まっている。

フォン・デア・ライエン委員長の再選はやや危ぶまれておりかつては極右と言われたメローニ氏の存在感が増している。フランスのマクロン大統領は議会の解散を選択した。「いちかばちかの賭けに出た」などと言われている。フランスでは改革派が退潮しかつて極右と言われたフランス第一主義が台頭しているのだ。

Follow on LinkedIn

コンテンツのリクエストや誤字脱字の報告はこちらまで

|サイトトップ| |国内政治| |国際| |経済|






EU議会選挙が行われ次第に情勢が明らかになりつつある。まず日本への影響を書く。日本の外交政策は欧米追従型だ。欧米は民主主義同盟第一路線(EU・NATOの一体性を基本とした同盟路線)だったため追従は比較的容易だった。トランプ氏の台頭でアメリカが同盟主義から孤立主義に移行するのではないかと言われている。EUでも意思決定に問題が出る可能性がある。結果的に日本は何に従っていいかわからなくなる。

親EUと呼ばれる穏健な中道右派・左派は議席を維持した。極右は思ったほど伸びなかった。しかしながら左派が退潮したことでバランスが崩れている。親EUの外にいる反EU右派勢力は、極右・改革保守、無会派(AfD)に分かれているそうだが、合計で20%をやや超える勢力を維持したとされている。

特にファシスト党の流れを汲むメローニ・イタリア首相の存在感が増している。一方でEU委員長を務めるフォン・デア・ライエン氏がどの程度極右・改革保守政党に歩み寄るかにも注目が集まる。なりゆきによっては委員長再選が難しくなる。

極右・改革保守・AfDは一枚岩ではなく意思決定に困難が生じる可能性もあるそうだ。

ドイツでは野党とAfDが票を伸ばし社会民主党は「歴史的大敗」といわれるが大きな動きは起きていない。一方でルペン氏の国民連合が躍進したフランスでは大きな動きがあった。既にフランス議会ではマクロン氏の政党の議席が減少しておりマクロン氏は苦しい立場に置かれていた。フランス大統領は外交の決裁権限があるが国内政治では議会の協力が必要だ。マクロン大統領は起死回生を狙って議会を解散する。賭けに勝てばマクロン大統領は再び内政に影響を与えることができるようになるが負けると内政では退任まで何もできなくなる。いわゆるレームダック化が進行する。ただマクロン大統領は次の選挙には出られないので「残りの任期に何もできなくなる可能性があるなら選挙での挽回を図りたい」という気持ちが強かったのだろう。「終わり・締め切り」がない日本の政治との違いを感じる。日本の場合はずるずると選挙が難しくなっている。

ベルギーでも首相が辞任を表明したがこれはEU議会選挙ではなく国内の総選挙の結果だったようだ。オランダ語圏分離派が第一党となり首相の会派は支持を失った。

ヨーロッパでは平和と安定を背景にして行きすぎた開発に懐疑的な環境左派が勢力を伸ばしてきた。ところがウクライナの戦争をきっかけに経済が不安定化したことでこれまであった移民やEUの規制などの敵意が呼び起こされた。優先順位が変わったのだ。EU国民は大枠としては「現状維持」を選択したものの、、各国政府は高まる反発への対応を余儀なくされている。

コンテンツのリクエストや誤字脱字の報告はこちらまで

Xで投稿をシェア


Comments

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です