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メキシコ大統領選挙でシェインバウム氏が勝利宣言

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メキシコで大統領選挙が行われ左派・初の女性・ユダヤ系のシェインバウム氏が勝利宣言を行った。経済が比較的好調なためロペスオブラドール氏の政策継続が支持されたものと見られている。ただし左派系ポピュリズムと言われることもあり持続可能な経済を維持できるのかはやや疑問視されている。なんと言っても最大の問題は治安だ。長引く麻薬戦争が解決できておらず今回の統一選挙でもかなりの死者がでている。またトランプ氏は「大統領になれば米軍をメキシコに派遣する」と宣言している。不法移民の送り出し元になっているだけでなくフェンタニル系製剤の生産地にもなっているからだ。

左派は議会選挙でも勝利したようだが、投資家たちはこの結果を嫌っておりペソと株価が急落したそうだ。

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メキシコで大統領選挙が行われ、与党・国家再生運動(MORENA)のクラウディア・シェインバウム前メキシコ市長が次期大統領に選ばれた。ロペスオブラドール大統領の後継と見られている。メキシコの大統領は任期6年の1期制だそうだが、ロペスオブラドール氏は「再選は目指さない(つまりそのような憲法改正は行わない)」と書面で約束しており今回は出馬しなかった。

最終有力候補2名が女性だったことで日本では「女性同士の戦い」として注目を集めていた。MORENAは議会でも躍進したがペソと株価が急落した。左派ポピュリズム的な政策がメキシコの経済成長にとって悪影響を及ぼすと判断されたようだ。

最初の懸念は国民に人気が高かったロペスオブラドール氏との距離である。再選できなかったが人気はある大統領の操り人形になるのではないかという懸念があった。ロイターの記事によると自身の専門分野である環境保護を訴えて懸念を払拭した。この辺りは自民党所属でありながら環境問題を訴えて東京都政に進出し国政復帰を狙っているとも噂される小池百合子東京都知事に重なるところがある。

今回の当選を伝えるロイターの記事は次のように書いている。左派・ポピュリズムなので貧困対策の原資に限界がある。仮にシェインバウム氏が「ばらまき」を続けられなければ期待は失望に変わる可能性があるということだ。

ロペスオブラドール大統領は貧困対策に取り組み、通貨ペソ上昇や低失業率を実現した。同氏の政策路線をシェインバウム氏は継承する方針だが、アナリストは財政赤字が膨らみ、成長が低迷する中では難しいとみている。

なんと言っても最大の問題は治安の悪化だろう。メキシコの政治家たちは各地の麻薬産業などと結びつきその産業を保護してきた。次第に力をつけた麻薬産業を抑えられなくなっていて各地で「麻薬戦争」が起きている。BBCは次のように報道している。各地で麻薬戦争対策を訴えた候補者たちが殺害されている。

今回は大統領選とともに、メキシコ議会選や8州の知事選、メキシコ市の市長選、多数の地方選挙もあった。地方選の候補を中心に20人以上が全土で殺害されたと政府は発表しているが、死者は37人だとする調査もある。

トランプ氏などは自分が大統領に当選すればメキシコに軍隊を派遣すると言っている。バイデン大統領の国境対策を批判するために「メキシコから大量の不法移民が流れてくる」という印象づけを行っており「自分なら毅然と戦う」という意思表示になっている。

一方で、現実的にはフェンタニルなどの薬物の供給元としての危険度の方が優先順位は高い。中国などから安価な原料を買ってきて街中の小さな工場などで生産されているようだ。大規模な農園を作る必要がないためメキシコでの規制は難しいうえに強いストレスにさらされているアメリカ人は強力な薬物を欲している。

米税関・国境警備局(CBP)のデータによると、南部国境におけるフェンタニルの押収量は近年爆発的に増加しており、2014年にはわずか10.7キロだったものが、22年には約8400キロに拡大。米疾病対策センター(CDC)によると、22年には約8万人の米国人がオピオイド関連の過剰摂取で死亡し、その主な原因はフェンタニルだ。

左派と言っても中南米によくある反米左派ではないためアメリカ合衆国との関係は比較的良好だ。だが、アメリカにとってもメキシコの治安の悪化は大きな問題と考えられている。

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