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追加金融緩和政策は何をもたらすか

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消費税増税を延期しつつ、経済成長させるためには、追加金融緩和政策を行うべきだという声がある。経済学者の中にもそういうことがいる。


これはクルーグマン教授のツイートだ。長期金利のグラフを見せてマーケットは永続するスタグネーション(不況)を受け入れたらしいと言っている。日本とドイツは0近辺にまで落ち込んでいる。
長期金利は経済成長の見込みを織り込んだ数字だとされている。もし他に投資できるものがあればそちらに投資するので、国債の金利は上がると考えられているからである。しかし、金融緩和の結果として資金は潤沢にあるうえに投資機会は減少しつつあり、資金需要は低いままなのである。手元のお金がこれ以上増えなくてもそれを是としているのだ。
故にこの状況で「さらなる金融緩和」をしていも、インフレなど起りようがないということになる。市場に資金を供給しても投資に回せないからだ。グラフは単純にそれを示している。つまり追加金融緩和は何ももたらさない。それどころか、金融市場を混乱させこのスタグネーションを作り出している可能性すらある。
かつて通貨の流通がインフレを作った経路をおさらいしてみたい。通貨の供給量を増やすということは、通貨の質を悪くして信用を低下させるということだった。あるいは経済周縁にある国が財政規律を無視して非兌換通貨を過剰供給することで信用低下が起きていた。ところが今回は経済中進国が通貨を過剰供給している。すると市場は通貨への信任をなくさない(あるいはなくせない)のである。毀損のセオリーはトポロジーを意識していないようだ。
もし仮に経済学者たちに公共の場で反論すれば、いろいろな数字やセオリーを持ち出して「論破」されるのがオチなのではないかと思うのだが、現実的には低成長が定着している。このような状態は歴史上数回しか観測されていないので、多くの識者たちが「資本主義は終わったのではないか」などと考え始めているのだ。
これが定常状態に戻るためには- 少なくとも理論的には – 別の場所に新しい経済圏が生まれ、現在の中心が周縁化する必要があることが分かる。それが国家なのか、あるいは別の経済形態なのかは分からない。