先ほどリリースした記事では各紙の報道を参考にして「政治資金規正法の改正が決まった」「会期は延長されない見込み」と書いた。この改正案で政治と金の問題が解決するとは思えないがこれはさほど問題ではない。これまでも場当たり的な改正を繰り返してきており特に今回の件で何かが大きく改悪されるわけではないからである。おそらく大方の国民もこの件に関しては関心を持たないだろう。
だが、そもそも「本当に改正できるのか?」と疑っている。公明党は単に支持者に説明できる材料を探していただけなのでこれで納得するだろう。だが維新の説明がどうも変なのだ。
まず、玉木雄一郎国民民主党(自民党改正案には懐疑的で改正に反対するものと見られる)の指摘をご紹介する。まず「政策活動費の10年後公開」が法律になるのか?と疑っている。
また別の投稿では次のように書いている。
維新の提出していた案では「項目別の金額と年月」を書けばいいことになっていた。つまり誰にいくら渡したのかは公開しなくてもいい仕組みになっている。さらに収支報告書の保存期間は3年で控訴時効は5年なので後になって疑義が生じたとしても遡って資料を検討することはできないのではないかという。
一方で維新で実務的な取りまとめをすると見られている音喜多駿氏は腕まくりをしている。音喜多駿氏は「10年後に公開されるのだから当然書類は保管することになるはず」と断定する。
まず10年後(将来的な)公開を誤解されている方もいらっしゃいますが、10年間は猶予期間で好き勝手にしておけるわけではなく、領収書の保存・提出義務化は法改正後からすぐ始まります。
ここまで読むと「さてどっちの言い分が正しいのか?」ということになる。音喜多駿氏の投稿には気になる記載がある。具体的な法案がまだ提示されていないのだ。
来週からは、上記の合意に基づいた法案修正・質疑、そして採決が行われます。
そこで各紙を読み直してみると馬場代表が一貫して「新しい法案が提示されれば賛成することになる」と限定的な発言していることがわかる。音喜多駿氏も「ここまで飲んでもらえるとは思わなかった」と発言していることから「維新の考えている提案を理解した上で自民党側が合意してくれた」と理解しているようだ。
となると気になるのが岸田総理の理解度だ。まず維新案をどの程度理解した上で「合意」したのかがわからない。次に岸田総理が自民党の政策活動費の使い方をどの程度理解していたのかも不明である。現在問題になっているのは幹事長に配られている政策活動費なのだが外務大臣経験が長く党務の要職が政調会長だった岸田総理が幹事長の政策活動費の使い方をどの程度理解しているのかがよくわからない。
実際の幹事長経験者に中國新聞がインタビューしている内容を総合すると茶封筒に入った札束(だいたい100万円の札束のようだ)を車の中でこっそり渡すという使われ方をしているようだ。「まあいいから取っておきなさい」なのだから「領収書ください」などと相手方に請求はしていないだろう。相手もこれは「帳簿に乗せてはいけないお金なのだな」と理解した上で受け取っている。
仮に岸田総理が「今どういう使い方をされているのか」がよくわからない政策活動費について「自分が何を合意したのか」がわかっていない状態で党内の法案再提出を行った場合、果たして本当に維新が期待するような提案がまとまるのか?という気がしてくる。音喜多駿氏は「来週から作業が始まる」と言っている。だが自民党は当初6月3日にこの件をクローズしようとしていた。つまり週明けに出た案を吟味しないでそのまま通そうとしていたのである。
おそらく立憲民主党はこの辺りをついてくるものと見られる。岸田総理に質問を行い「この改正案が何を目的にしたものなのか」を確かめられない限りは法案を採決すべきでないと主張している。NHKは安住国対委員長の発言を次のように伝えている。
公明党や日本維新の会と修正の内容で合意したということだが、確認したい点が何点かあるので、もし採決するならば、その前に岸田総理大臣への質疑がなければ認められない」と述べました。
つまり、現在は大枠では了解が得られているものの具体案が出た時点で「いやそんなつもりではなかった」と双方が言い争う可能性もあるということだ。