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自民党の政治資金規正法改正案に公明党と維新が賛成へ

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政治資金規正法の改正案に公明党と維新が賛成する見通しとなった。日経新聞などは会期内の成立が決まり会期の延長はない見込みだと伝えている。ここではざっくりとこれまでの流れをおさらいする。公明党は支持者と自民党の間で板挟みとなりそこに維新が割り込んだ形になっている。

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まず時事通信の記事をもとに今回の合意内容についてまとめる。自民党は委員長権限で6月3日の採決を求めていたがこれは取り下げられている。採決は6月4日になる見込み。

  • 企業団体献金は温存する。
  • 官房長官が自由に使える官房機密費についても言及はない。
  • 旧文通費改革については維新の案を採用した法律の策定を目指す。具体的には「使途公開と残金返納を義務付ける立法措置を講じる」としている。
  • パーティー券収入については公明党の案を飲んで5万円以上支出があった先を公開することにする。ただし運用は2027年以降になる。
  • 党幹部に配られこれまでは使い道を公開する必要がなかった政策活動費は10年後に公開する。上限を設け使い道を監視する第三者機関を設置する。

次にこれまでの経緯をまとめる。

自民党・清和会に端を発した「政治と金」の問題は岸田総理の初期消火の遅れから炎上し支持率低下の要因となった。現在の法律の仕組みでは全容の解明はできず、政治倫理審査会での弁明の機会が設けられているのみである。ただし、政治倫理審査会への協力すら後ろ向きな議員が多く岸田総理が自ら出席する騒ぎになったことは記憶に新しい。

政治倫理審査会は全容解明に程遠く、安倍派・清和会の裏金作りを育てたと見られる森喜朗氏が「岸田総理から何も聞かれていない」とインタビューで証言したこともあり、現在の法律は不十分だという空気が醸成されてゆく。

また、自民党内部では被害者意識も膨らんでいったようだ。裏金を使って節税対策をしていたとみられる議員が数人確認されているが菅家一郎氏は次のように主張している。みんながやっていて法律違反をしたわけでもないのになぜ批判されなければならないのだという認識が広がっているようである。

私が悪いわけじゃないですよ一切。法を犯したわけじゃないですよ、適正にやってきたことだけはしっかり認識してもらわなくちゃ。誤解されてんだから

一方で「国民がどう政治に関わるべきか」とか「政治資金のあり方はどうあるべきあ」いう根本的な議論は行われなかった。法律改正の目的が共有されなかったこともあり次第に党派間の政治闘争の色彩を帯びてゆく。野党から自民党の資金源を制限するような厳しい提案が出る一方で、自民党は最後まで改正案を出せなかった。ようやく出てきた改正案も野田佳彦(立憲民主党)氏から「顔を洗って出直してこい」「一番遅くて薄っぺらい」と酷評される始末だった。

公明党は東京都知事選挙と総選挙を控えており現場レベルでは自民党との協力関係を維持したい。一方で山口那津男代表が「自民党と同じ穴の狢(むじな=アナグマの別称でタヌキと誤認されることもある)と見られたくない」と発言したことで創価学会の支持者たちの間に「カネに汚い自民党支持者と同じに見られたくない」という空気が醸成されていった。これが最後まで障害となってゆく。

一方で維新は自民党との間合いをとりながら有利な条件を勝ち取りたいと考えている。大阪維新は反対しているが馬場代表は「第二自民党」「パーシャル連合」などと政府入りを目指す発言を繰り返している。今のところ発言は閣外協力に留まっているが「公明党に取って代わって大臣職を獲得したい」という気持ちもないわけではないのかもしれない。

結果的に本音では賛成したいが支持者たちに反対され身動きが取れない公明党と表向きは反対しているが本音では賛成に回りたい維新という非常に不思議な状況が生まれた。

岸田総理はまず山口那津男代表と麻生・茂木両氏間での会談をセットしたが、議論は物別れに終わっている。麻生・茂木両氏がどのような理由で合意に反対したのかは伝わってきていない。山口代表は岸田総理と創価学会の板挟みとなり「条件を飲んでもらえない限り賛成はできない」と態度を硬化させてゆく。参議院では自民党は過半数を獲得していないため公明党の賛成なくしては改正案は成立しない。一方で維新が自民党に接近しているところから「このままでは取って代わられるかもしれない」という危機感もあったものとみられる。

このため、岸田総理は公明党が主張する「パーティー券5万円以上の支出があった先を公開する」という条件を飲んだ。これで山口代表は形式的に支持者への説明ができるようになった。

維新との間には覚書が交わされた。基本的には賛成すると宣言したことで各媒体は「会期内の成立が決まった」と報じることになった。日経新聞は「規正法改正案、今国会成立へ 会期延長しない公算」との見出しを取っている。

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