今日のABCニュースはアメリカ大統領選挙を考える上で重要なニュースが二つあった。まずトランプ氏は有罪判決が出た人(Felon)となっている。無党派の離反が接戦州の選挙の行方に影響を与えそうだ。一方バイデン大統領は「戦争を終わらせられない大統領」になりつつある。これはベトナム戦争末期の混乱を想起させる。
- トランプ氏の有罪評決のあと初めてトランプ氏とバイデン大統領が発言。バイデン大統領は普通の(regular)アメリカ人が法を正しく実行したと賞賛。トランプ氏はこのようなことは誰の身にも起こり得ると説明し、同じような不当な扱いをみんなが受けかねないと仄めかした。
- バイデン大統領がイスラエルに新しい停戦までのロードマップを提供し「戦争を終わらせる時だ」と主張。
- 退役した四つ星将校がフロリダ州で贈収賄容疑で起訴された。Navy Timesによると起訴されたのはロバート・バーク大将。ABCでも触れられていたが退役後すぐに新しい仕事のオファーを受けていた。ただしさまざまな件で容疑が持たれており単なる就職斡旋ではなかったようである。
- オハイオ州でビルが爆発し1名が亡くなった事故の処理にあたるボディカムが公開に。消防隊員の英雄的な活躍が収められていた。
- ボーイフレンドの妻の殺害を助けて証拠隠滅した女性に判決。14.5年の判決を受けた。
- ジェネラルホスピタル出演経験のある元俳優が殺された事件でバーの同僚の女性がインタビューを受けた。希少金属が使われた触媒コンバーターを盗もうとした3人の容疑者はまだ捕まっていない。
- ミシェル・オバマ氏の母親が86才で亡くなった。
- 新しい嵐の予報。
- スペリング・コンテストのチャンピオン(12才)の話題。
- 911に対応した飛行士が最後の勤務と飛行を終えた。子供が2人いたそうだがいざというときにはto ram(体当たり)する覚悟だったそうだ。大きくなった2人の子供は父親の引退式典に参加し父親を労った。
バイデン大統領の提案はなんらかの見通しがあるものではない。提案は3ステップに分かれているのだが、大統領自身が1から2への移行は困難であると認めている。
Al Jazeeraはバイデン大統領が「イスラエルも停戦に合意している」と主張したと言っているが
CNNによるとバイデン大統領の提案のすぐ後にネタニヤフ首相は声明を発表し「人質の解放とハマスの無効化が終わるまではいかなる停戦にも応じない」と表明したという。ブリンケン国務長官はヨルダン・トルコ・サウジアラビアの外務大臣に概要を説明した。
バイデン大統領は演説の中でイスラエル市民にこの提案を支援するように訴えたという。野党を率いるガンツ前国防大臣は戦時内閣からの撤退を仄めかしつつ国会解散を求める議案を提出している。ネタニヤフ首相らの勢力が過半数を獲得しているため議案は議会では否決される可能性が高いのだが、合衆国としてはガンツ氏率いる野党に支持が集まることを期待しているのかもしれない。
各社ともに今回のバイデン大統領の提案は既に破綻した提案(エジプト・カタール・ハマス・イスラエル・アメリカで準備していたもの)とほぼ同じものであると伝えている。
イスラエルはこの提案を拒否している上にエジプトがハマスにこれとは異なる提案を持ちかけた(つまり文言を書き換えた)などとも言われている。今回ブリンケン国務長官はヨルダン・トルコ・サウジアラビアを説得し特にトルコに「ハマスを説得してほしい」と要請しているのだから、エジプトとカタールが和平の枠組みから撤退したにもかかわらず大統領が乗り出して再び同じ提案をしようとしている可能性があるということになる。とはいえ何か新しいものを加えることができるわけではなく今まで通りの提案を続けなければならない。
アメリカ合衆国はかつて泥沼化したベトナム戦争から抜け出せなくなり、最終的には中国の助けを借りてようやく脱出したという過去がある。この時も戦争を止められない大統領が槍玉に上がっておりバイデン大統領にも同様の可能性が出てきたことになる。
一方のトランプ氏はついにFelon(有罪判決を受けた人)となってしまっている。こちらは有罪判決を受けたら支援を考え直すという人が一定数いて接戦州で影響がでそうだ。ただしトランプ氏を救えとして多額の献金も集まっているとも伝わる。
このようにアメリカの大統領選挙はさまざまな矛盾と混乱を抱え、ますます先行きが不透明になってきた。