話を聞いて混乱していた民進党のTPP政策。やっと政策集を読んでみた。このページからPDFをダウンロードできる。そもそもメインの政策ではないみたいだ。
運動員の人たちに話を聞くと「TPPには反対です」という。既に書いたように「絶対反対」と言っている人たちとそうでない人たちがいる。記述されている箇所は3カ所だ。一つは「補助金の支出はTPPを待たない」と書いている。残りの2点は次の通り。
○アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の実現をめざし、その道筋となっている環太 平洋パートナーシップ(TPP)、日中韓FTA、東アジア地域包括的経済連携(RC EP)、日EU経済連携などの経済連携を推進します。
○国会審議を通じて、①農産物重要 5 項目の聖域が確保されていない、②自動車分野で のメリットも小さい、③このような交渉結果となった経緯・理由に関する情報が明ら かになっていないことがはっきりしました。そのことから、今回のTPP合意につい ては反対します。
つまり、TPPには賛成だが、自民党の結んだ今回のTPPはダメと書いてあるので、絶対反対派は支持者を騙しているか、騙されている可能性が高い。と同時に、この書き方だと、反対派を取り込みつつ、TPP賛成派も取り込むことができる。自由経済主義者や企業などTPPに賛成している人も多いかだろう。つまり、どちらにも良い顔ができるのだ。
ただし、この戦略にはリスクもある。どちらにも嘘をつく結果になる可能性があるのだ。すなわちまとめると次の通りになる。
- 民進党はTPP絶対反対派、条件付き反対派、賛成派の誰にも良い顔ができる。
- ただし、実際に政策を運営することになれば、この戦略は破綻する。
- さらに、誰かが比較検討して「みんなに良い顔をしている」ことがばれると、そもそもの信頼性が毀損する。
最大の危険性は、マニフェストに良いことが書いてあったとしても誰も信じなくなることだろう。民主党は2009年のマニフェストを遵守できず国民を裏切った過去があるのだが、多分あまり反省していないのではないかと思う。
一方、マニフェストがめちゃくちゃだからといって、自民党に投票する理由にはならない。つまり、この文章はマニフェスト選挙というものが破綻しているということを言いたいのであって、民進党がデタラメだから自民党に入れろと言っているわけではない。
ここで悲観してしまうと、改憲議論が始まるのを許すことになる。知識層の多くが、現在このジレンマに直面していると言えるだろう。政策が信頼できず何も実現人たちを選ぶのか、革命を指向していて国民主権をないがしろにする人たちを選ぶのかという究極の二者択一なのだ。なにやら罰ゲームのようだが、どうして国民がこんな罰ゲームにつきあわされなければならないのか、誰か教えて欲しい。