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民進党に入れるという不可思議な言動について

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ある思想家・評論家という頭の良さそうな人が書いた「でも民進党に入れるしかない」という文章を読んで、ああこの人太ったなあと思った。つまり、何の感慨もわかなかったのだ。観念的で悲観的すぎるだろう。
一番不思議だったのは「民進党に入れる」と言っているところだった。なぜならば民進党などという政党は存在しないと思っているからだ。
昨日、田嶋要事務所(千葉一区)から電話がかかってきた。小西さんに入れてくれという話だった。小西さんが三番手の当落線上にいて「やばい」のだという。そこで、地元の市議会議員のオフィスに行ったところ、水野さんを推された。こちらは奥野総一郎議員(千葉九区)の系列だ。小西さんが「やばい」というのは嘘で、水野さんこそ「やばい」のだという。そしてこの「やばい」というのは、選挙運動の電話の常套句なのだそうだ。
もし、民進党の支持者という人がいれば多いに当惑しただろうが「ああまたか」と思った。そういう政党なのだ。市議の事務所によると政党が違っていたときにも協力関係があったそうである。つまり、政党とは別に政治家同士の非公式のネットワークがあるということになる。民進党という政党はない。主婦中心の革新系と、実務家中心でどちらかといえば革新系が嫌いな人たちが同居しているのだ。
ここで生真面目に「政策で決めよう」などというと話がさらにややこしくなる。市民ネットワークが推している人はTPP絶対反対だ。「現在の民進党のマニフェストにも(多分)TPP反対と書いてあると思うがよく覚えていない」と事務所の留守番の人は言う。ところが、革新系がいう「TPP反対」は絶対反対という意味であって、実務家系のTPP反対は「自民党のTPPに反対」なのだ。同じことが原発政策にも言える。革新系は「即時廃止」だが、実務家系は「段階的になくしたいが、東電労組のことも考えないとね」というくらいの姿勢である。
どの陣営も、他の事務所が誰を推していて、何を主張しているのかを驚くほど知らない。選挙の争点は何かと聞くと「立憲主義の破壊を防ぎ」「憲法改正を阻止することだ」という。そして「保育士」と「介護士」の待遇改善などを訴えたりする。それらは願望であって、政策に興味がないという点では一致している。
こんな状態で作られたマニフェストには意味がないのだが、そもそも、市議の事務所にはマニフェストは置いていなかった。誰も取りにこないのだろう。田嶋事務所は郵送しましょうかと行ってくれたが選挙は終わっている。市議の事務所は「先生にポスト投函してもらう」と行ってくれたが、行き当たりばったりにポスティングなんかしないで、電話の一本でもかけて「選挙に行ってくださいね」と訴えたほうが良さそうに思える。
民進党に入れるとしても(比例では入れないと思うが)それは「政策を納得したから」ではない。なんとなくご近所だからだ。「普段から話してれば、何かあったときに相談できるかもしれない」くらいの感覚である。東京にはご近所のセンセイみたいな人がいないので、どうしても政治議論が観念的になるのだろう。そもそも政策で入れるならどこにも入れられない。選挙が終わって何をするか約束してくれている政党などないからだ。
個人的には自民党が大勝するべきだと思っている。理由は2つある。

  • これまで影でやっていた勇ましい憲法議論をどうどうとやって欲しい。国民投票まで行けば、国民もヤバさに気がつくだろうと思う。それでも反応しないなら、国民が悪い。
  • 都議会のようなぐずぐずの政治を続けてほしい。民進党という表立った敵がいなくなれば、自民党は都議会自民党のように堕落するだろう。お互いが庇い合い利権を分け合うという構図だ。安倍さんの任期は数年で終わる。次に来るのは石原さんのように何もまとめられず力なく皮肉な笑みを浮かべるだけの二世政治家か、さらに過激な稲田さんのような人だ。

だが、そのために自民党に入れる気にはなれない。汚いものに触れたくないというか、頭が悪いと思われたくないからだ。