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ゲームのルールを設定した方が勝てる 東京都知事選挙に蓮舫氏が出馬へ

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構造が決まらないと言われていた東京都知事選挙に蓮舫氏が出馬を決めたようだ。ゲームのルールを最初に設定した人が勝てるレースになるのではないかと思う。蓮舫氏が実際に出馬を決めたのか、仮に決めたとすればどのような対立構造を提案するのかに注目が集まる。

この選挙はおそらく当事者が思っている以上に日本の未来にとって重要な選挙になるだろう。仮に勝てれば「政治に参加しても良いことなんかない」と感じていた人たちに大きな成功体験を与えることになる。それだけに責任も重い選挙と言えるかもしれない。

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東京都知事選は石丸安芸高田市長の参戦が決まっているものの自民党が独自候補を出さないことが決まっている。自民党は小池氏にあいのりし不戦敗の印象を払拭したいが小池百合子氏自身は出馬を決めていない。個人的には岸田総理が解散するかどうかを見極めようとしているのではないかと考えている。会期末に解散に踏み切れば小池百合子氏には無所属政界復帰・敗北した自民党に請われる形で救世主として首班に収まるとうマンガのようなシナリオが浮上するだろう。小池さん好みのマンガだ。

今回の蓮舫氏の出馬について東京新聞は次の通りに書いている。連合の支援ではなく共産党・市民団体の連合ということである。国民民主党はこの枠組みに乗ることはできないのではないかと思う。

  • 立民・共産党・市民団体などが2月に選定委員会を設置し非公開で協議を重ねてきた。
  • 27日に選定委を開いて蓮舫氏を統一候補とする方向で検討する。

蓮舫氏にとって追い風はいくつかある。

  • 静岡県知事選挙で分かったように自民党の幹部たちが表立って応援に入ることができなければ地元の政治的組織力の実力がより発揮できる。今回は立憲民主党を支援する労働組合などの組織力と市民運動の組み合わせということになる。
  • 今回地元の市区長有志が「これまでの事業を打ち切られたら困る」という理由で小池氏を押そうとしている。つまり小池氏は既得権益に支えられているという印象をつけることは可能だ。
  • 小池氏はマニフェストを準備していると言われているが3期目ともなるとさすがに全くの新機軸を打ち出すこともできないだろう。さらに出馬表明が遅れているところからもさほど積極的ではないかもしれない。蓮舫氏が新しい軸を持ってくることができれば選挙を有利に動かすことができるだろう。

ゲームの支配は意外と重要だ。

イギリスのリシ・スナク首相は保守党不利と言われる中で総選挙を決定した。党勢が決定的に衰える前に電撃的に総選挙を決め「保守党の政治的な失敗を糾弾する選挙」になりかねなかった選挙を「安定かリセットか」とルール変更することができた。決定的に勝つというところまではいかないのだろうが少なくとも負けを防ぐことができる上に次につなげることができる。

仮に小池百合子都知事が先に立候補を表明していればゲームのオーナーは小池氏になる。これまでの東京都政はうまくいっているのだから引き続き自分を応援してくれと言いやすい。だが、小池氏がなんらかの理由で出馬を表明していないのだから先に出馬を表明してゲームのルールを設定することに成功すれば蓮舫氏優位のゲームのルールを設定することができる。

ではこの出馬は中央政界と立憲民主党にどのようなインパクトを与えるのだろうか。「岸田総理と自民党の政治にノーを突きつける」という設定はあまり効果的ではないのではないかと思う。

実は立憲民主党の中にも自民党型の政治を志向している人たちがいる。岡田克也幹事長は草の根でみなさまの御用聞きをするような政治なんかやっていられないと言っている。静岡県知事選挙に遠州地方の地元企業が大きな影響を与えているところをみるとこの姿勢は政治家として生き残る上では正しい選択肢なのかもしれない。

岡田氏は、年に5回の政治資金パーティーを地元の三重県四日市市と津市、東京、大阪、名古屋で開催しており、これらを禁止した場合は「(スタッフを)大幅に減らさなきゃいけなくなる。今までの活動のやり方も変えなきゃいけない。草の根でご意見を聞くようなやり方はできない」と説明。

日本の経済を再浮上させるためには市民の積極的な政治参加が必要だ。積極的な政治参加のためにはやはり勝利という成功体験が必要なのだ。

ところが現在のプライムエイジと呼ばれる人たちは日本ではロストジェネレーションと呼ばれており政治参加には消極的である。そもそも勝った経験がないので「自分達の声が政治家に届くはずはない」と諦めている。

今回の枠組みは東京ならではだ。立憲民主党の支持母体である連合は共産党との協力には後ろ向きなのだが、東京は市民運動が活発な地域で立憲民主党と共産党の間で接着剤のような役割を果たしている。

ここで成功体験が生まれれば「市民が政治に参加すると良いことがある」というモデルが作られることになる。と同時に市民団体は都知事という世界にも情報発信力のあるポジションを得ることができる。これはおそらく立憲民主党の内部にも少なくない変化をもたらすことになるだろう。

仮にここで市民参加型の政治が負けてしまうと「どうせまともに政治に参加しても良いことはない」ということになる。ロスジェネがまたういつものように「負け」てしまうという体験だ。これは結果的に外から政治を破壊する人たちだけを生み出すことになるだろう。東京15区を見ればそれが何を示しているのかはよくわかるはずだ。そこに日本の未来はない。

ということで、おそらく蓮舫さんと選定委員会が考えている以上にこの選挙の持つ意味は大きいのではないかと思う。まずは本当に蓮舫氏が出馬するのか、出馬するとしたらどのようなゲームのルールを設定するのかに注目したい。

さらに選挙戦ではこれまである程度の組織力を持っている市民たちがどの程度無党派に影響を与えることができるのかに注目したい。繰り返しになるが成功体験を与えるという意味ではこれは非常に重要な選挙になるだろう。

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