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イヌはどの程度「賢い」のか

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うちのイヌが餌を食べなくなった。どうやらドライのドッグフードがお気に召さないらしい。ビスケットは食べるので、ビスケットを手で与えてから少し混ぜ込むと渋々食べはじめる。では、最初からビスケットを混ぜておけばよいと思ったのだが、それでは食べない。つまり、人が付いていないとダメなのだ。
ほったらかしにしておくと「家族がいると思われる場所」に向かって鳴き始める。餌は置いてあるのだから食べればよいと思うのだが、それは嫌らしい。
この様子を見てイヌはどの程度賢いのだろうかと思った。調べてみると2歳児程度の知能を持ち、200単語程度を理解するという。中には簡単な文章を理解するイヌもいるそうだ。だが、学術的に調べられる知能は問題解決能力を計測するものであって、情緒的な共感能力を計測するものではないようだ。
なぜ、うちのイヌが餌を食べないのかは、よく分からないが、餌は単に空腹を満たす機能的なものではなく、情緒的な側面があるのではないかと思える。
第一に、餌を食べてしまうとビスケットが貰えないということを知っているという可能性がある。この仮説を取るとイヌには長期的な知能があることになる。長期的利益のために短期的な利益(つまり目の前の餌)を我慢してしまうのだ。しかし、これだけでは餌があるにも関わらず、長い間家族を呼ぶ理由は分からない。
イヌは家族の付き添いを求めている。つまり「自分が愛されていること」を確認したがっているのだ。ドライフードは「エサ」なのだが、ビスケットは「ご飯」だということだ。いつもご挨拶代わりにニコニコしながらビスケットを貰うので、ビスケットに対して好ましい感情を持っているのかもしれない。この他に「ご飯と大豆を混ぜたやつ」を食べるのだが、これも家族がそばについて与えているせいで、ガツガツと食べる。イヌは人間と同じ物を食べたがる。だからこれは「ご飯」なのだろう。
この仮説を支持すると、イヌは「共感能力」を持っており「記憶」によって餌の感情的な価値を判断しているということになる。単に賢いだけでなく、共感能力を持っているというのはペットにとっては大切な資質だろう。例えばハムスターにはこのような共感能力はなさそうなので、面白みには欠ける。どちらかといえばかわいい姿を鑑賞する愛玩動物と言ってよいだろう。ウサギもかわいいが何を考えているのかはよく分からない。
イヌは本当に賢いと書きたいところなのだが「自分でエサを食べろ」と言い聞かせても理解はしてくれない。あくまでも自分発進であり、相手の要求は理解できない。これがイヌと人間が決定的に違っている点だ。
本当のところは分からないが、共感性を持っているというのはペットとしては大切な資質である。と、同時に「認められたい」「認知されたい」「他の人と同じように扱ってほしい」という欲求は人間のレベルのでなくても持っているということになる。ソーシャルメディアの「いいね」が時々問題になるのだが、意外と根深い感情なのかもしれないと思える。
と、同時に「必要とされている」という感覚は人間の時間にも特別な意味を与える。「社会性」という言葉には、相互依存という動物が持っている機能が関連しているのかもしれないと思う。