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しょせんはインプレッション稼ぎ つばさの党に家宅捜索

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つばさの党に家宅捜索が入った。警視庁は何もしてくれなかったという批判が集まったため「何もしない」わけにはいかなかったのだろう。だが仮につばさの党から逮捕者が出たとしてもそれは彼らの傷にはならないかもしれない。所詮はインプレッション稼ぎの政治団体なのだが「されどインプレッション稼ぎ」の政治団体なのだ。なぜこんな政治団体が出てきたのか。

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つばさの党に家宅捜索が入った。東京15区で選挙妨害まがいの「選挙活動」を繰り広げていたことが問題視されたようだ。

騒ぎは現場で起きていたわけだしメールによる指示をなどを調べるにしてもプロバイダーに尋ねたほうが手っ取り早い。逮捕者が出れば「警察も警視庁もきちんとやっていた」形が作れるのだろうが何も成果がないことも想定しているのかもしれない。小池百合子東京都知事がターゲットになっていることからそれなりの形を整える必要がある。小池氏は今回の件でコメントを出し「本来の目的に沿っていない」と批判している。

だが、仮に逮捕者が出たり公民権が剥奪されたとしても彼らの傷になりそうにない。自分達は正しいことをしているという確信犯でありそれを支持する人たちも大勢いる。読売新聞は「「つばさの党」代表「逮捕されることがあっても活動続ける」…警視庁、選挙妨害容疑で事務所捜索」という見出しを取っている。

所詮はインプレッション稼ぎの政党だが実はこのインプレッション稼ぎがかなり「奥深い」ようだ。実はYouTubeの収入で生活しているというわけではないと本人たちは主張している。今回、新潮のインタビューを見て「ああそうなのか」と思った。

黒川さんはかなり優秀な人だったようだがリーマンショックで世の中の仕組みに絶望した。その後ナンパ動画で成功し不動産とM&Aなどのビジネスに進出したようだ。中国などから脱出する人たちが東京のマンションの地価を上げていると言われおりある程度のリスクさえ覚悟すれば資金は潤沢に手に入ることだろう。不透明な政治資金の確保に四苦八苦している政治家たちよりはいい暮らしができている可能性すらある。

普通「政治や世の中に絶望した」のなら自分なりのやり方でそれを正そうとするはずだ。また、ビジネスで成功したならその稼いだ金を使って贅沢な暮らしをしてインスタグラムに投稿すればそれなりに注目されたかもしれない。だがどういうわけかそうなっていない。

新潮のインタビューで黒川氏はこう述べている。一瞬何を言っているのかさっぱりわからなかった。我々が持っている常識とは全く異なっている。

黒川 票では彼らに負けましたが、インターネット上では我々の方が炎上し、立花の方から乗っかってきたくらいだった。勝負は決したと思っていて、もう僕らから立花に言いたいことはない。都知事選ではポスターで金儲けするとか話していますが、失敗するでしょうね。そもそも僕はお金儲けのために政治をやるという彼のスタンスには最初から共鳴していません。

最終的なゴールは「国政政党を作ること」なのだが「そのためには炎上することが重要」と考えているようだ。つまり集票よりも炎上のほうが黒川氏にとってみれば価値が上なのである。炎上というと理解が難しい。だが「インフルエンサーになる」と言い換えるとわかりやすい。つまり影響力を与えるためにポジティブなものを使うのかネガティブなものを使うのかという違いでしかない。

つまり次のようなことが言える。

  • 黒川氏は現在の政治や経済の仕組みについてかなり懐疑的。おそらく普通のやり方では現状を突破することはできないと思っている。
  • トランプ氏はテレビショーで成功したが日本ではそのような土壌はなかった。しかし黒川氏はYouTubeでそれなりの成功を収めた。また本人はビジネスで成功したと主張している。
  • 現在の政治に意味を見出しておらずしたがって政策立案に興味がない。少なくとも議員を集めて政策を通じて社会を変えようとは思っていない。
  • ゆえに現在の公職選挙法では彼や彼の支援者たちを抑制することはできない。

日本のスタンダードで見ればおかしな話なのだが、実はアメリカではこれが既に実現している。いわゆる政治不信はアメリカでも根強かった。日本とアメリカの最も大きな違いはこの政治不信の受け皿になる「スター」が生まれていないと言う点にある。年金や医療といった社会保障に支えられる人口が多いために急激な変化を求める人が多くない。だがそれでもやはりアメリカ型の人たちは増えているのかもしれない。

トランプ氏は「不動産で成功したビジネスの天才」ということになっているがテレビショーのために作られたところがある。しかし彼は実際にそれで成功し大統領にまでなった。と同時に彼は多くの問題も引き寄せてしまい現在はいくつもの法廷に立ち続けている。

普通の感覚では「公職選挙法を使って選挙に出られなくすれば抑止力になる」と考えるだろう。おそらく警視庁はそう思っているはずである。小池百合子東京都知事が言うように「選挙活動の破壊は本来的ではない」のも事実だ。だが、政治が実際には何も変えてくれないという実感を持ちつつ、さまざまなインフルエンサーに囲まれているSNS世代にとってはそれはもはや常識ではないのだろう。

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Comments

“しょせんはインプレッション稼ぎ つばさの党に家宅捜索” への1件のコメント

  1. 細長の野望のアバター
    細長の野望

    選挙妨害を受けた人たちに注目すると、女性が多い印象を受けました。もちろん乙武さんのように男性も含まれていますが、彼ら(つばさの党)が叩いて負けないような人を選んでいるのではないかと思います。彼らは「権力者」と戦っているようにふるまっていますが、本当の権力者をターゲットにしないあたりが巧妙に感じました。
    巧妙に立ち回っていたので、警棒と盾を持った機動隊まで出動して家宅捜査されたことに驚きました。おそらく、警察署内で立ち振る舞いが機動隊まで出動させた原因なのだろうと思いました。
    今回のような嫌がらせは、以前から女性支援団体が受けていました。しかし、都や政治家たちの反応が薄かったので、今回の騒動で理解を深めてもらえたらいいなと思いました。

    今回の記事を読んで、U-NEXTで見たモキュメンタリー番組「SIX HACK」を思い出しました。あの番組の中でも「偉くなる」ために炎上を利用した方法を提示したり、陰謀論が関係しているような表現がありました。あくまでフィクションとして表現した映像作品だったけれど、今回のようなことと結びつけて考えると、ストレートな風刺作品だなと思うようになりました。

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