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謝罪に滲む国民軽視の姿勢 伊藤信太郎環境大臣の水俣病被害者対応に批判

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1週間くらい前から環境省の水俣病被害者団体への対応はひどいという批判が出ていた。環境省が謝罪に動いたことでようやくニュースになったがその対応があまりにも心ないものだった。伊藤大臣は父親が衆議院議長でハーバードへの留学経験もあるというエリートで「ああやっぱりな」と感じた。

岸田政権も自民党ももう先がないのかもしれないと感じる。彼ら世襲政治家たちは「政治家はカメラ前で演技をするのが仕事」と考えているようだがその演技がSNS時代に対応していない。

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ことの発端は水俣病被害者の慰霊式だった。環境大臣が出席し「ついで」に団体から意見を聞くことになっている。だがおそらく大臣はあまり関心がなかったのだろう。環境省の職員はスケジュールをタイトに設定した。つまり儀式として「聞いてあげた」画が撮りたいだけなのだ。

ところが今回はやり方が乱暴すぎた。1団体3分というただでさえ短い時間だが環境省は「それでも長い」と感じたようでマイクの音を絞ってしまう。これに「最後まで言わせてやれよ」と怒号が飛び交った。これが1週間前のことだった。

被害者の訴えは切実なものだった。中には被害者と認められることなく「痛い痛い」と死んでいった妻を黙って看病したという男性も含まれていた。そもそもこの苦しみを3分にまとめなさいというのは無理な相談だ。

そして「患者と認定されないまま亡くなった妻には『苦しかったことを伝えたよ』と伝えたい。妻は『よいことをしたね』と言ってくれると思います。今後、懇談の運営の検討などが先に進むようにしてもらいたい」と話していました。

切実な訴えは地元紙には載ったがメジャーな新聞はこれを無視し続けた。批判が止まなかったのはやはりSNSのおかげだろう。識者たちが「これはひどい」と騒ぎつづけていた。

それでも環境省は言い訳に終始しつづけたためついに「では全てをお見せしよう」とノーカットの動画が公開されるまでになる。これもYouTube時代ならではという気がする。他の放送局は発言時間を計測し「あれあれ3分経たないうちからマイクを絞ってますね」などとやっていた。

その後、伊藤大臣は「室長が間違えたのだから室長に謝りに行かせる」ということにしたようだ。おつかいに出た室長は「私の判断であり悪いのは全て私です」と釈明した。

だが、それでも被害者団体の怒りは収まらなかった。ついに大臣自らが謝罪に訪れるということになったのだが、ここで泣き芸を披露している。既にSNSやニュースなどで環境省と大臣の「人でなし」ぶりが報道されているのだが、泣けばなんとかなると考えたのだろう。一方で「悪いのは事務方である」として事務次官(公務員のトップ)を厳重注意している。

おそらく国民の気持ちなどわからない政治家なんだろうなと感じプロフィールを調べた。慶應義塾大学を卒業しハーバードに留学している。英語でシナリオなどを書いていたそうだ。所属は山東派だが今では麻生派と合流している。岸田総理は自身も世襲政治家だが世襲政治家の麻生太郎氏に支えられている。庶民の生活に心を寄せるなどということは期待してはいけない政権だ。

彼らは「画を撮らせて新聞に報道してもらえれば『やっている感』が演出できる」くらいに考えているのだろう。また「そのためなら涙くらいは簡単に流せるのだな」とも感じた。今回は被害者家族が涙を堪え3分間という与えられた時間の中で感情を抑えて「国は最後まで認めてくれなかった」と切実に訴えている。この長年の苦しみと「次の選挙のためなら泣いてみせるくらい簡単なことだ」という感覚の大臣はおそらく別の世界を生きているのだろう。国民の代表にはふさわしくない。

ただ、こうした手法をとるのは伊藤さんだけではない。岸田総理も訪問介護の基本報酬引き下げで「意見交換」に参加した時に代表団のカメラの前で「真剣に聞く演技」を披露している。車座集会で自分を車の真ん中に置いた写真を撮らせたくらいズレた人なので「政治家は写真を撮られる仕事」と認識しているのだろう。

岸田総理大臣は、よく「丁寧な説明を心がけるなど」と答弁することがあるが、我々国民は「一方的に主張を繰り返されても丁寧な説明とは言えない」と感じ、当然それを政治家も理解した上で怠けているのだと考えたくなる。

だが、冷静に考えると彼らは生まれた時から政治家の家族であり一般国民ではない。「政治家はイメージで当選する」と幼い頃から刷り込まれている。そのためにはいとも簡単にカメラの前で表情を作ったり、泣いたり、メモを取って聞くふりをしたりできるのだろう。ところが現在はSNS・動画時代なのでカメラが回っている時だけ演技をするという手法が通じなくなっている。

国民の気持ちが理解できずSNS時代にも対応できなくなった岸田政権はもう長くないんだろうなあと感じる。

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