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暴力行為の公職選挙法違反化で江東区は修羅の街  玉木雄一郎氏もハシゴを外される

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東京・江東区を舞台とした衆議院補欠選挙が修羅場と化している。ついには逮捕者まで出てしまった。当初は暴行容疑だったが公職選挙法違反に切り替えて捜査が続いている。今回の件ではさまざまな学びがあった。改めておさらいしておきたい。政治的冷笑が根幹にあるが当事者たちの危機意識はそれほど高くないようだ。

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第一に警察が選挙に介入しないということがわかった。

公職選挙法では選挙カーから政策を流すことを禁止してる。後で違反がわかると摘発され、当選していたとしても当選が無効になる可能性がある。だから各陣営共に対応が慎重で候補者名を連呼するだけに終わってしまう。だがこれは「当選するつもりがなければ何をやっても構わない」ということになる。意外と気が付かなかった人は多いのではないか。

東京・江東区は湾岸のタワーマンションエリアを含む。つまり関東に住んでいる人であれば「おしゃれエリア」であると知っているだろう。だが今回の報道で「江東区は怖いところだ」と感じた人も多いのではないか。まるで「修羅の街江東区」だ。自民党の政治と金の問題に悩まされ江東区全体が腐敗しているような印象にもなっている。

これまで「当選するつもりがない候補」は供託金によって排除されてきたが、YouTubeなどの収益源の出現でこれが覆った。つまり供託金以上の収益が将来的に得られるのであれば事実上選挙妨害が排除できないということがわかってしまった。方法はいくつもある。動画を作って稼ぐ人もいるだろうが知名度を上げて参議院選挙で比例の得票を集める人も出てくるだろう。2%以上得票すると政党助成金がもらえる上にテレビで「政策」がPRできる。

警察は政治介入を避けるために選挙期間中は介入しない。今回は国会で質問が行われ総務大臣がわざわざ「これは処罰される可能性がある」と言及しているため公職選挙法が適応されることになった。

音喜多駿氏が言及するように札幌の「アベ政治を許さない」との連続性も問題になるだろう。どこまでの政治的主張はよくてどこからがダメなのかという一律の基準を作りそれを警察に運用させることなど事実上不可能だ。松本総務大臣の答弁で重要なのは認識ではなく実効性のある対策の有無だ。だが、答弁を聞く限り総務省がどう動くのかについて言及もなく追加報道もない。

今回の玉木雄一郎氏の呼びかけも軽率だった。アメリカの政治状況を引き合いに出すまでもなく「政治秩序の破壊」そのものも民主主義下では政治的主張に含まれる。アメリカの場合は「ディープステート(影の政府)」という概念が持ち出され共和党内部からの体制破壊が進んでいる。だが、議会共和党は原理的にこの勢力を防ぐことはできない。これも民意の一つだからである。

さらにヨーロッパでも既存政党よりも既存秩序の破壊を目的にした新興政党(極右・極左と表現される)の方がネットリテラシーが高い。

既存政党がこうした妨害行為から身を守るためには有権者に対して「穏健な政治言論を守ることが有権者にとって便益になる」と共同して示さなければならない。つまり公徳心に訴えなければならない。

だが。玉木雄一郎氏はここで「新しい公約を加えました。民主主義を守るためにぜひXX候補を応援してください」と訴えていた。

冷静に考えてみよう。このXX候補は国民民主党の所属ではない。にもかかわらずなぜ国民民主党の玉木雄一郎氏が「政策を主導」したのだろう。かつて支援を公認と言い間違えたことがあり「無所属は有権者向けの方便」だと自ら露呈してしまった。

さらに今回の事案が公職選挙法事案になったことで当初の選挙方針の根拠が薄くなった。本人もそれがわかっているのだろう。こんな投稿をしている。トリガー条項でもツメの甘さが目立ったが、どういうわけか実行力に問題がある。「残念な人」なのだ。

候補者選びの段階から残念な人ぶりはいかんなく発揮されていた。小池百合子氏がバックについているXX候補有利という前評判だった。つまり玉木さんとしては勝馬を選んだつもりだったのだろう。だが、目黒区長選挙で小池氏が支援する候補が破れており小池氏の影響力にも疑問符がついている。仮にここで「本来勝てるはずだった選挙区を落とす」ということになれば代表としての資質を疑問視されるという気持ちもあるのかもしれない。

自民党が自浄作用を働かせることができなくなっている件に関しては既に別のエントリーで観察した。議員同士や議員とスタッフの間の党内の人間関係も破綻しつつあるようだ。政治への無関心が進行しており自民党はますます内輪化している。国民からの熱烈な支持がないために「抜きん出たリーダー」が出ない。だから人間関係が膠着する。

だが、野党サイドも同じ問題を抱えているようだ。自民党の不支持を野党支持に転嫁できないばかりか愉快犯的な批判層ばかりが集まってくる。焦りを募らせて手を替え品を替えさまざまな提案をしているうちにどこに向かっているのかがさっぱりわからなくなってしまう。そんな閉塞した状況が感じられる。

これまで「政治的冷笑」を排除するために用いられてきたのが「供託金制度」と「政党要件」だった。政党要件を満たすことができなければメディアは政治団体の主張を取り上げない。ところがYouTubeなどのメディアが出てきたことで状況は一変した。政治から排除された人たちが排除されていることを前提に行動を起こすようになっている。

政党要件を獲得するためには衆議院議員・参議院議員を5名以上獲得するか、国政選挙で2%以上得票すればいい。ネットを通じて「体制破壊」を訴えた政治団体であっても全国区で2%を獲得すればいいことになる。すでにこの手法で政党要件を獲得した成功事例も現れている。メディアは「公平原則」によってこうした政治団体の主張も取り上げなければならない。

各政党共にじわじわと広がりつつある冷笑的態度を深刻に受け止め対策を講じるべきだろう。おそらくこれは江東区だけではなくどこの選挙区でも起き得る。政治不信はどうやら自民党だけの問題ではないようだ。既存政党全体がガラガラと音を立てて崩れつつある。

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