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愛媛・高知でマグニチュード6.6、震度6弱の地震

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四国の西部海岸付近でマグニチュード6.6・震度6弱(愛媛県と高知県の一部)の地震が発生した。政府は対策室を設置したが、津波の心配はなく、原発には影響がなく、南海トラフ地震とも関連がないとしている。石川県能登半島で地震が起きた時も当初はそれほどの被害にならないのではと考えられていた。今回の地震も深夜の地震であったことから被害の全容がわかっていない。今後夜明けと共に影響範囲が判明するものと思われるが、NHKは朝4時の経過報告を最後に特別報道体制を打ち切り通常放送に戻った。特別大きな被害は今の所入っていないことが窺える。

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今のところ70代の女性が転んで怪我をしたという情報が入ってきているだけで広範な被害は報告されていない。軽微な怪我人はその後も報告されている。

深夜なので被害状況がよくわかっておらずYahooニュースは情報をまとめており、それとは別にSNSのXの投稿で被害状況を集めている。今のところ揺れの情報が入っているだけで深刻な被害に関する情報は集まっていないようだ。

今回の震源は「南海」と呼ばれる四国南から紀伊半島にかけての地域で起きているため南海トラフ地震との関連についての報道が多い。マグニチュードは当初発表されていた6.4から6.6に更新されたが、南海トラフ地震の対策会議が開かれるのは6.8以上という基準があり今回は該当しなかった。報道では「震源がフィリピン海プレートで起きているため南海トラフとは関係がない」などと報道されている。だが、NHKの報道を見ると次のように書かれている。つまりまったく関係がないとも断言ができないのである。

また、発生が懸念されている南海トラフ巨大地震との関連性については、「今回の地震は南海トラフ巨大地震の想定震源域の中で発生していて、全く関係がないとは言えないが、地震のメカニズムは異なっていて規模から考えても巨大地震への直接的な影響はないと考えられる」と話していました。

そもそも南海トラフ地震発生確率の算出根拠が非常にあやふやだ。過去の事例から「今後もそのような地震が起きるかもしれない」という想定になっているのだが、その予測手法は科学的にはかなり疑問視されている。このため科学者の間でも意見がまとまらず両論併記すべきではないかとの意見が出された。1ヶ月ほど前の東京新聞には次のように書かれている。

部会では、発生確率を報告書の最も目立つ「主文」で高い確率と低い確率を「両論併記」するかどうかを議論した。文部科学省が提示した(1)低確率も高確率も出す(2)低確率は参考値にして、高確率を出す(3)低確率は出さず、高確率だけを出す(4)低確率は出さず高確率を参考値として出す—の4案が検討され、両論併記せず、高い確率だけを出す(3)案が採用された。

もともとは「予知」を目的としていた地震研究だったが科学的な予知は難しいということになった。ところが簡単な公共工事を地方に分配するという「国土強靭化」が利権化されたため、その根拠になる南海トラフ地震が起きる確率が少ないと言えなくなってしまったという経緯がある。

能登半島の地震の時にも未知の断層が動いたとされた。だが原発再稼働を急ぎたい北陸電力などは志賀原発敷地内にある断層の影響を過小評価している。伊方原発は半島にあるため地震や事故の際の集落の孤立が心配されているが愛媛県はたとえ大規模な地震が起きても孤立集落は出ないであろうという楽観的な計画にこだわっている。2013年には孤立集落が出ることを見込んでいたが内閣府の調査で「危険はない」ことになってしまったためそれとは異なる結論が出せなくなってしまったそうだ。

目先の利益にこだわるさまざまな「優しい心配り」のもとで科学的知見が歪められておりいざという時のリスク評価が難しくなっている。

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