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沖ノ島が女人禁制になった謎

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テレビで沖ノ島の特集をやっている。世界遺産に登録されそうだということで注目されているそうだ。
航海術が発達していなかった当時、朝鮮半島に渡るためには唐津から壱岐に行きそこから対馬に渡る必要があった。このルートだと目的地がずっと目視できて、比較的簡単に渡ることができるのだという。対馬からは釜山と壱岐が見える。また壱岐からは九州を見ることができる。

ところが、ルートとしては沖ノ島を目指した方が早く着く。島は宗像から朝鮮半島(釜山あたりになる)を直線距離で結んだ途中に沖ノ島があるからだ。唐津を経由せずに直接行けるわけで、この土地を押さえることには利点がある。宗像一族はこの島の存在を秘密にすることで優位性を保っていたのではないかというのが番組の説明だ。
宗像族がここを利権化したのはどうしてだろうか。沖ノ島で祭祀が行われるようになったのは4世紀の後半だそうだが、まだ日本には製鉄技術がなかった。5世紀半ばの西日本の古墳などに朝鮮半島の鉄の延板が出てくることから、当時の勢力が鉄を朝鮮半島から輸入していたことがわかる。鉄が使えることには2つの利点がある。まず丈夫な農機具が作れるので生産性が上がる。そして、武器にも使えるので国力が強くなる。つまり、鉄は富国強兵に欠かせない資材なのである。天皇家を中心とした連合勢力であるヤマト王権はこうして周囲の勢力を凌駕していったものと思われる。王権が整うと、朝鮮から製鉄技術を持った人たちが入ってくる。最終的に中国に習った法律体系が整備され、最終的に日本は国としての体裁を整えてゆくのだ。
これを聞いて勝手に仮説を妄想した。なぜ女性の上陸ができないのかという謎についてである。沖ノ島は女神が守っていると信じられている。女神は女性に嫉妬するので女性は上陸ができないというのが一応の説明だ。沖ノ島に住んでいる男性神職が見張り役を果たしているのは明白だ。そもそも沖ノ島に神社が建てられるのははるか後になってからなので、この人が神職であるという説明にはあまり説得力がない。
男性もそのままでは上陸ができない。何も身に付けずに海に入り禊をする。なぜ何も身に付けずに禊をする必要があるのか。それは、見張り役が「この人が女性でないこと」を目視する必要があるからだろう。では、どうしてそこまでして女性を嫌うのか。
もし女性が上陸すればその女性は子供を産む可能性がある。つまり沖ノ島に人が住み着く可能性があるということになる。そこに人が住めば九州本土や朝鮮半島との往来が生まれる。すると島の存在は秘密ではなくなるだろう。ヤマト王権や宗像一族にとってみればそれは利権を失うということを意味する。女性が進んで離島に上陸するということは考えにくいが、男性の見張りが女性を連れ込むことはありそうだ。そこで「あそこには女が入ると祟りがある」とか「無事に帰っては来れない」などと言ったのではないだろうか。
沖ノ島は岩で覆われた地形ではあるが、開墾すれば人が数人くらせるくらいの野菜は育てられそうだ。実際に縄文時代には人がいた痕跡もあるそうだ。わき水があるそうで水には困らないだろう。また、漁師は沖ノ島付近で漁をしており上陸も許されているという。また、北朝鮮や韓国からの密入国者に上陸された歴史もある。つまり、防御をしないとヨソモノに奪われる可能性があるということになる。
ということで沖ノ島に女性が入れないのは子供を作らせないためという説を勝手に唱えたい。神秘的な説明付けにも意外と現実的な理由があるのではないだろうか。もちろん、何の根拠もないし、誰かそういうことを提唱している人もいるかもしれない。が「神話だからダメ」などと言われると、なぜかそれに異議を唱えたくなってしまうのである。