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アメリカCPIは行き過ぎか? ドル円153円でも日本当局介入の動きなし

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今朝はミラージュ(蜃気楼)について書いている。

昨日アメリカでCPI(消費者物価指数)が発表されたばかりだがPPI(卸売物価指数)が発表された。PPIは依然伸びてはいるが伸びは鈍化しており、7月には利下げが行われるのではないかという観測が戻ってきた。

これでドル円も元に戻りそうなものなのだが153円台で取引が続いている。こちらはこちらで別のミラージュの存在がわかった。日銀は円安修正には本気ではないのではないか、155円まで容認するのではないかと言う話が出ている。ロイターのオピニオンに記事が出ていた。

国会では国民負担増の議論が続いているのだが、日銀は本音では円安によるインフレを容認し輸出企業を救済するトリアージュを行った可能性がある。つまり「貧困対策は政府が勝手にやってください」として切り捨てられた。

政府はなぜか負担増の議論を加速させようとしている。官邸主導ではなく厚生労働省などから雨垂れ式に負担増を思わせるニュースが出続けている。どちらか一方しか救えないとなると当然投票してくれる人たちが選択されることになる。

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PPIについては印象が違う二つの記事が出ている。違いは「前年比」と「前月比」だ。卸売物価指数は伸びているが伸び率は鈍化している。これが鈍化と11ヶ月ぶりの大きさという真逆の評価になって現れた。タイトルだけを見ていると意外と見落としてしまいがちな違いだろう。

ロイターはCPIショックと呼べるようなものは払拭されたとして利下げの開始が7月に行われるのでは?という先物市場の予想を伝えている。共同通信を読んでいる人は市場の感触を読み間違える可能性がある。

CPIが発表されてからPPIが発表される前の時点では「年内に利下げはないかもしれない」と言う可能性を検討する必要が出てきたとされている。金利の高い状態が続くと楽観的な株価の上昇は正当化されなくなる。だから株価の下落は起こるだろう。ただこれも人によっては「バブルだ暴落だ」と言っている人と「調整が起こるだけだ」と言っている人がいる。

モノの値段とサービスの値段の乖離が状況判断を難しくする。労働力が豊富に調達できることもありモノの値段は安定している。サービス価格の上昇がなぜ起きているのかがよくわからない。

指標や市場の思惑に一喜一憂し、蜃気楼が立ちやすい「気象条件」が整っているが、蜃気楼の先に見えたものもある。蜃気楼によって一時円が153円まで下落したが日銀が本気で介入することはなかった。

どうやら日銀は国民生活を捨てて輸出企業を優先する判断をしているようだ。ロイターの「オピニオン」だがこんな記事があった。150円台容認論が出てきた。

財務省は盛んに介入を仄めかしているが実はその表現はそれほど本気のものではないと書かれている。円安は輸出企業とインバウンドには良い影響を与える。自民党の支持層が大企業と地方の観光産業などであると考えると自民党政権がこの政策の変更を強く要請するとも考えにくい。ゾンビ企業が潰れるのを恐れている自民党は金利上昇を望んでいない。

もちろん円安で国内の消費者は大きな打撃を受けるが「この人たちの対策は政府がやればいい」と日銀が考えたとしてもなんら不思議ではない。

一方、政治分野では着々と国民負担増のための議論が行われている。自民党政権はおそらく国民負担増はやむなしと考えているようだ。だが自分達の支援者に言い訳ができるようにはしておきたい。

第一の議論は「負担増が増える」ことを「実質的な負担増は増えない」と言い換えた子育て支援制度である。各年収別の具体的な負担額が提示されておりSNSをざわつかせた。さらに年金の支払いを5年延長する検討も始まっておりこちらもXでトレンドワード入りしていた。雇用保険も維持が難しくなっている。このため周20時間以内10時間超のパートからも雇用保険を取り立てることになった。2028年10月から実施される。有権者が抵抗しない限り、方向は明らかだ。

現役世代の有権者はSNSで不満を表明することはあっても実際には投票に行かない。だからその裏で着実に社会負担増の議論が行われている。

政治は結局実際に投票してくれる人たちしか助けてくれない。黙って働き現状を追認する人たちのことは一切救済してくれないのだ。

既存のメディアや特定層の支持を期待するメディアにはそんなことは書けないだろうが、実際の動きを見ると残念ながらそれは明らかである。

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