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ネタニヤフ首相の発言はどうせ虚勢(はったり)とアメリカ政府が判断

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本日は「ミラージュ(蜃気楼)」をテーマにした記事が多い。緊張感は高まっているが冷静になって見てみると「なんだそんなことか」という状況が増えているのだ。

別のエントリーで自衛隊と米軍の「統合」はミラージュなのではないかと書いた。イスラエルのネタニヤフ首相の発言が「虚勢である」とアメリカ政府が考えていると言う記事を見つけた。CNNが「イスラエル首相、ラファ侵攻の日程決定と主張 米政権は「虚勢」と判断」と言う記事を出している。つまりハッタリだったというのである。

ただミラージュに隠れた問題が存在することも確かである。イスラエルの場合政府が軍隊を制御しきれなくなっていることがわかる。

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ネタニヤフ首相は、南部のハン・ユニスからの撤退に際して「ラファ攻撃の日付は決まっている」と宣言していた。ところがアメリカ政府はこの話はネタニヤフ首相の虚勢(つまりハッタリ)だったと判断しているようだ。根拠となっているのはガラント国防大臣の発言だ。確かに首相がどんなにやる気であろうが軍隊が動かなければ行動は起こせないのだから虚勢説には一定の説得力がある。

ただし、これで状況が改善に向かうとは思えない。どうやら状況はかなり混乱しているようだ。

理由はいくつかある。第一にイスラエルはガザの最北端にあるガザシティの南に横断道路を作っている。この地区からはパレスチナ人が逃げているため横断道路を作ってパレスチナ人の通行を制限してしまえばイスラエルはガザシティに入植できる。

この影響を受けているのが支援物資だ。イスラエルは北部のゲートを開けてトラックを通していると主張しているが、国際社会は110万人分の食糧を準備しているのにガザ地区に入れないため援助が開始できないと言っている。イスラエル軍と国際社会の言い分は全く食い違っている上にそもそも南部に到達しているのかもよくわからない。

イスラエルがシリアにあるイランの外交施設を攻撃した件についても緊張が続いている。イランの最高指導者であるハメネイ師はイスラエルへの報復を呼びかけ続けている。こちらも虚勢(はったり)である可能性は否定できないが、イスラエルでは報復に備えてGPSを無効化するなど緊張が続いている。イスラエルはドローンによる本土攻撃を懸念しているようだ。

イスラエル軍の司令系統にもかなり混乱が生じているようだ。ワールド・セントラル・キッチンへの攻撃が国際社会に反発されることはわかっていたが、結果的に7名の市民が亡くなっている。誤爆だったのかあるいは意図的なものだったのかはわかっていない。

さらにハマスの最高指導者の息子が殺害されている。仮にイスラエルがハマスと真面目に交渉をするつもりがあるのならそんなことはしないはずだ。イスラエル軍は「交渉とは関係がない」と主張しているが、相手はそうは思わないだろう。またこの作戦についてはイスラエルのネタニヤフ首相やガラント国防相は事前に空爆について知らされていなかったと報じられている。

これらの状況を整理するとバイデン大統領・ネタニヤフ首相・ハメネイ師らがそれぞれがそれぞれの思惑でそれぞれ少しずつ話を膨らませており状況が複雑化していることがわかる。つまり虚勢を張っているのはネタニヤフ首相だけではないということになる。

ところが実際には軍隊は独自に行動しており時には司令官が知らないところで交渉の障害になるような攻撃なども起きている。こう言う状況を泥沼化という。つまり政府が軍隊を制御できていないと言うことだ。

イランは政治指導者と宗教指導者が分離している上に、国軍とは別に革命軍が存在しさらにその外側にシンパがいると言う構成になっている。つまりイランの側にも指導層の思いもしない暴走が生じる可能性がある。

だからネタニヤフ首相の発言が「虚勢」だったからと言って直ちに和平に向かうとは限らないのである。

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