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日本政治最大の問題とその解決策はなにか

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どうやら予定通りに消費税増税が延期されそうだ。そんな中、自民党と政権の内部に亀裂が見られる。財務省よりの人たちが「総選挙せよ」といい、安倍首相を牽制している。財務省は景気に関係がなく安定した税収が見込める消費税に依存したいのだろう。その代弁者になっているのが麻生、谷垣両議員だ。「経済指標がよくなってきているのに、増税延期では筋が通らない」と主張し、安倍首相の「アベノミクスはうまく行っているが、世界経済が悪い」という妄想と化した言い訳に真っ向から対立している。
過去、このような内部対立が起ると自民党の支持率は下がってきた。有権者はいわゆる「〜下ろし」という不調和を嫌うのだ。ところが、今回は野党が優勢だという話は聞かない。民進党は共産党との共闘にも統一名簿にも積極的ではない。また、おおさか維新は自民党からではなく民進党から票を奪いたいらしい。専ら民進党を攻撃している。そもそも民進党の中ですら意見の隔たりが大きい。自民党は不調和なのだが一応党としてのまとまりがある。しかし、野党側にはそもそもまとまりがないし、まとまるつもりもなさそうだ。
ここのところ新聞各社は傍観者として淡々と状況を伝えている。安倍首相がG7を増税延期の口実にしたいということは早くから伝えられてきた。その観測を日付まで入れて伝えていた。海外メディアが「世界経済は危機にない」との主張もそのまま伝える。麻生さんや谷垣さんが総選挙だといえばそれも伝える。ただ、それについて考えたり、世論を誘導することはない。単なる伝言屋さんになっている。もはや状況に関与しようという意欲がないのだろう。
では、マスコミが問題の本質かというとそんなこともなさそうだ。根本にあるのは国民の冷えた目線だ。国民には政治に関与しようという意欲はない。政治家の説明がどんなにでたらめでも、政治日程はまるで儀式のように目の前を通り過ぎてゆく。
進んで負担しようという気持ちは誰も持っていない。国民は消費税を払いたがらないし、企業は法人税を減税しろという。中小企業は個人事業主を雇ったことにして社会保障の負担を回避している。仕方がない部分はある。たいていの政治的決断は国会審議とは関係のないところで進行している。全ての結論は数で決まる。議論が状況に関与すると思ってい人は誰もいないだろう。安保法制もそうだったし、消費税議論もそうなりそうだ。春からの国会審議は全て茶番だった。国会では「景気は上向きつつある」という前提で議論が進んでいたのだが、一点して「100年に一度の危機がもう一度来る」ということになった。だが、誰も怒らない。
日本政治最大の問題はこの国民の無関心にあるといえるだろう。御神輿を担いでいるのだが、実はみんな手を離しているから、重みを感じないのだろう。残って神輿を担いだのは逃遅れた人たちなのだ。
こうした状況を打破するためには「驚きによる緊張とその緩和」が必要である。いわば、劇場型の政治である。しかし劇場型の政治にも大きなデメリットがある。理性が吹き飛び、とんでもない決断を下すことが多い。
現在の状況ではこうした劇場型の政治は起りそうにない。しかし、構造上起りそうなことは必ず起る。観客は現在の膠着状態には長く耐えられないだろうし、それを見つける政治家も必ず出てくるはずだ。議論による政治を再開しないと、近いうちに、日本にも劇場型の政治家が台頭するのではないだろうか。


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