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G7伊勢志摩会合はどのように見られているか

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ついつい、海外の報道を先に読むクセがついてしまった。今回は伊勢志摩サミットについて。
CNNは会議の内容について詳細にレポートしていない。そもそも関心が高くないのかもしれない。オバマ大統領が広島訪問の「ついで」にG7に出席したみたいな印象さえ受ける。
代わりにヘッドラインになっているのは「シナリオ通りに進まなかった日米首脳外交」というニュアンスのものだ。日米同盟の強化を国内外に印象づける絶好の機会だったのだが、沖縄で問題が起きたために関係がぎくしゃくしたというのだ。オバマ大統領はreconciliation(和解とか仲直りという意味がある)外交を進めているが、安倍首相の周辺国との関係修復は進んでいないとしている。それどころかオバマ大統領は河野談話(慰安婦問題は存在する)の継承を求めるなど、安倍首相の目の上のたんこぶになっているというわけである。
興味深いのは、多分日本ではあまり報道がされないであろう難民問題だ。安倍首相は前回難民問題を単なる労働者不足の問題と捉えてしまい「女性や老人など国内の労働力を優先する」ととんちんかんな発言をしているのだが、これが間違って「国内問題の解決に手一杯で難民問題には興味がない」と捉えられている。
その他の話題は通過安競争の抑止だ。ヨーロッパと日本は金融政策を通過の切り下げに使っているという認識が根強くあるようだ。
もう一つ見つけたのはフォーチュンだ。こちらは国内報道と同じように、安倍首相はコモディティ価格の下落のチャートを使って「リーマンショック以来の危機だ」と説明したが、各国の首脳からは賛同が得られなかったというニュースを伝えている。オバマ大統領は通貨の切り下げについて言及したらしい。
フォーチュンは冷静に安倍首相は消費税増税の延期などの国内問題にG7を利用したかったと伝えている。だが、同意が得られなかったというわけである。都合のよいデータを持ってきて危機を演出するのは安倍首相の常套手段だが、それは世界では受け入れられないのだろう。これらの報道を総合すると、日本は国内問題を優先し、政権の支持率を上げ、アッパーハウス(参議院)選挙を有利に進めようとしたが、必ずしもうまくいっておらず、安倍首相のナショナリスティックな姿勢はアメリカの懸念材料になっているという図が浮かぶ。
日本で同じような主張をすると反日とかサヨクと言われてしまうのだ。
これをふまえてNHKのニュースを見てみる。民進党はアベノミクスは失敗したと大騒ぎしているが、各国の首脳は世界経済が厳しい状況にあり、政策を総動員すべきだという認識で一致したと伝えている。NHKの報道を鵜呑みにしてあれこれ論評するのは、知的に脆弱であるというスティグマでしかないが、もう、さすがにそんな人はいないのではないだろうか。