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ざっくり 今のイスラエル・ガザ情勢を誰も解決できないのはなぜか?

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イスラエル・ガザ問題で「一体何が問題なのか」がわからない人のためにざっくりと状況をまとめた。

  • 選挙を避けるためにガザ攻撃をやめたくないネタニヤフ首相は
  • イスラエルを支援しつつもネタニヤフ首相の暴走を止める必要に迫られるバイデン政権。米兵を投入したくないという事情も
  • 周辺国に難民が出てくるのは困るヨルダンとエジプト
  • 議会選挙を控え移民・難民を受け入れたくないEU
  • 結局、みんな身動きが取れなくなっている
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イスラエル側のストーリー

もう後戻りできないネタニヤフ首相は最後までやり抜く構え

汚職にまみれて訴訟に直面しているネタニヤフ首相は極右(超正統派)と手を組んだ。超正統派はカナンの地はすべてユダヤ系が支配するべきだと考えている。また、出生率が高いため人口が増えている。さらに労働をしないことが認められているため兵役にはつかない。このためガザ地区からパレスチナ難民を追い出したい。

ネタニヤフ首相は自身が訴追からの柄得るためにも司法改革を進めたお。憲法がないイスラエルでは最高裁判所が議会の判断を差し止めることがある。ネタニヤフ首相はその権限を無効化しようとしている。

ベンチャー企業などはイスラエルに残るかアメリカに逃げるかの判断を迫られており各地で激しいデモが起きていた。兵役に就かない超正統派に対する反発もある。

10月7日にガザ地区からハマスが攻撃を加えた。これによって司法改革などのプロセスは停止されており休戦状態になっている。

和平が成立してしまうと、司法改革をめぐる混乱が再開する。政治状況が緊迫していたイスラエルの政権にはこれを利用しようとしているという側面がある。

ネタニヤフ VS ガンツ

アメリカ合衆国は軍との関係が深いガンツ氏と協力し状況を打開しようとした。

ガンツ氏はホワイトハウスを訪問し和平案について話し合ったがネタニヤフ首相はイスラエルには首相は一人しかいないとして反発していた。

結果的にイスラエル政府は和平案を飲まなかった。アメリカを後ろ盾にしたガンツ氏が新しい首相になる可能性があったからだ。

アメリカ側のストーリー

方程式を簡単にするためにネタニヤフ首相を排除したいバイデン政権

ユダヤ系は大統領選挙において個人献金を通じた強い影響力を持つ。このためトランプ・バイデン両陣営ともにイスラエル支援の継続はマストである。

一方でユダヤ系に迫害されるパレスチナ人にシンパシーを感じる有色系アメリカ人も多く。彼らはガザ地区の非人道的な行為に腹を立てている。

さらに国内の穏健なユダヤ人の間には国を超正統派に乗っ取られかねないという危機感もある。

バイデン政権は表立ってはネタニヤフ首相を批判して来なかった。ところが「リーク」という形でバイデン大統領が「ネタニヤフ首相に説教してやる」という話が伝わってきたり、実はネタニヤフ政権の引き摺り下ろしを画策していたなどの報道が散見されるようになった。複雑な方程式からネタニヤフ政権を排除すると方程式が解きやすくなる。

ついに民主党上院の責任者(院内総務)のチャック・シューマー氏が公然とネタニヤフ首相の退陣を要求するまでになっている。

シューマー氏はユダヤ系大物であり極右・超正統派とは対立する立場でもある。当初バイデン大統領はチャック・シューマー氏の発言から距離を置くものとみられていたが、その後、発言を称賛したと伝わっている。

一方で共和党の側は内政干渉であると反発を強めている。寄付集めでどちらの陣営がユダヤ系の支援をより多く集めるかという資金獲得競争の思惑があるものとみられる。

レッドラインを設定するも事実上の容認へ

バイデン大統領は南部ラファ攻撃はレッドライン(支援停止につながるような越えてははいけない一線)としたのだが、支援停止は行わないと表明している。

一転して「ラファ攻撃の容認・許可」になってしまう。詳細は明らかになっていないがネタニヤフ首相はラファの地上作戦を軍部に許可したとされている。

これはバイデン政権の明らかな失敗となってしまうためホワイトハウスは曖昧な態度を取り続けている。

EUとアラブのストーリー

領土内には一歩も入れさせないという姿勢のエジプト

1967年以来、ヨルダンは多くの難民を受け入れてきた。エジプトもアフリカからかなりの難民を受け入れているものとされる。このため、両国共に難民の受け入れには消極的である。エジプトは南部ラファゲートの周りに緩衝地帯を設けている。エジプト領域には一歩たりとも入れないという強い意志を感じる。

選挙前に難民問題の発生は困るというEU

一方、EUの側も似たような事情を抱える。

移民問題に解決の兆しがなく6月のEU議会選挙では極右の台頭が懸念されている。フォンデアライエン欧州委員長が率いる欧州人民党は議会選挙をフォンデアライエン氏の元で戦うことを決めたが、極右の台頭に対抗するために何らかの移民制限策を打ち出すものと見られている。このためEUも移民の受け入れができない。

紛争を止めることもできず、人道危機に対応することもできていない。

苦肉の策として陸路で支援物資を送ってガザ地区に人々を閉じ込めようとしていたがイスラエルやアメリカの協力が得られなかった。

結果的にUAEと協力してキプロスから船で支援物資を運び入れることにした。はしけ船を使って簡易的に作られた埠頭に物資を送り込む作戦だ。

アメリカ合衆国も海上から港を作りガザ地区に物資を運び入れようとしている。一見人道的な措置ではあるのだが「選挙を控えたいまガザ地区からの難民を発生させたくない」という気持ちがある。

結果的にガザ地区は巨大な事実上の監獄となり、人々は将来の希望を持てないまま日々食糧を探し回り空爆の恐怖にさらされている。

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