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精神的に他人から搾取されシステム隷属している人ほど成田悠輔氏を叩きたくなる

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成田悠輔氏がSNSのXで叩かれている。人に「なぜ彼が叩かれているのか」と問えば、おそらくは「過去に老人は集団自決すればいい」と言い放ったからだと得意げに説明してくれるだろう。精神的にシステムに隷属する人ほどこの傾向は強いものと考えられる。スマホのみで断片的に情報を取りそれが全てだと誤認してしまうからだ。当時の発言の前後を見ても成田氏の発言を正当化できる要素は見つからない。人々はそこで「私は切り取っているわけではない」と満足してしまう。

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成田悠輔という人は極めて面白い人だ。決して人から理解されないという知性の監獄に暮らしている。

もともとメディアに登場した時彼の肩書きはイェール大学のアシスタント・プロフェッサーだった。専門は統計を使った社会問題(公共政策)の解析である。そもままコースに乗っていればおそらくはアメリカのアカデミアで活動ができたはずなのだがおそらくなにか漠然とした不安を感じたのだろう。日本にでのメディアの露出が増えることとなった。ご本人曰く一つのところに居られない性格なのだそうだ。

これを利用したのがテレビだった。成田氏の研究成果にはさほど興味を示さず、テレビニュースのコメンテータとして肩書きを重用した。TBSは30代でイェール大学の「助教授」であると説明している。大谷翔平の例でわかるようにテレビは「世界に認められた日本人」が大好きだ。アシスタント・プロフェッサーという肩書きでは分かりにくいと考えたのだろう。助教授は今では准教授と言われるがそもそもアシスタント・プロフェッサーは助教授や准教授ではないという指摘もある。

YouTubeなどで成田氏の言動を見ているといくつかの異なる要素があることがわかる。

  • イェール大学などで本物の才能に触れ自分の限界がわかっている。
  • 一方で極めて単純なはずのことが日本人の大衆に全く理解されないことも知っている。
  • 幼少時の家庭環境が極めて不安定であり子供の頃に十分な感情的支援が得られなかった。

このため「周りの期待に応えて何も断らない」が「関係が永続しそうになると不安を感じて人間関係を遮断する」傾向にある。精神的に極めて不安定な状態にあり居場所が見つからない。

文春に次のような記事がある。人間関係に疲れてしまう傾向があり一人の人と長く付き合ったり一つのとこに長くいることができないという。

普通こういう人は生活が破綻してしまうはずだ。だが、成田さんは極めてIQが高いのでなんとなく周りに合わせたりその場の雰囲気に合致した気が利いたことが言えてしまう。おそらくこれがタレントとして重宝される理由だ。と同時に成田さんは社会に対してだけではなく自分自身にも破滅願望を抱えている。つまり他者に対して向けられた刃が実は自分にも向いている可能性が高い。

そもそも「大衆には理解されない」という気持ちも持っているはずなので今回の炎上に彼の心が動くことはおそらくないのではないかと思う。彼にとっては極めて単純な解決策であっても大衆は理解しない。また彼の極めて特殊な生育歴に関係した虚無感からくる不埒な発言への故郷感も集まらない。つまり理解されないことは成田氏の人生の一部である。これまでもそうだったしおそらくこれからもそうなのだ。

今回の騒動で興味深かったのは大衆の側の反応である。おそらく人々は「イェール大学の物凄いキャリアの人」が「一貫して」「反道徳的な発言をした」と思い込んでいるのではないかと思う。

実はSNSの反応は大きく二つに分かれていてそれぞれエコーチェインバーができている。スマホで断片的な情報を取る人たちがそれが世界の全てだと思い込んでいるからだ。

SNSのXにおいては「国民の良識」がキリンという大企業を動かしたとして国民の勝利を殊更に言い立てている人が多い。

こうした大衆たちは自分たちが選んでいるはずの政治家が少子高齢化に対してなんら対策を講じないことに抗議しようとはしない。政府が言論弾圧を行って抗議活動を抑制しているという事実がないことから国民の側が「上」に対する抗議運動を自己抑制しているといえるだろう。彼らは道徳に進んで統治されたがり、その代官として他人を裁く側に回りたいと考える。

むしろシステム的に隷属している人たちこそ「自分たちは道徳的には社会の主人なのである」と主張したがるということになる。確かに今回のキリン氷結無糖におけるCM取り下げは大衆にとっては大きな勝利であった。と同時にこれは大きく、ありふれた、そしていつまでも続く永続的な敗北だ。

一方で、まいどなニュースのコメントを見ると「言っていることは過激だがやはり成田さんの言っていることには一理あるのではないか?」というコメントが多く見られる。嘘だと思うなら実際にコメントを見てみればいい。AIが集約してくれる。成田さんは「頼まれると断れない」ところがある。彼の発言には「ニーズ」があることを考えると逆に祭り上げられてしまう危険性もあるのかなと感じる。

いずれにせよ実はSNSの評価は大きく二つに分かれている。キリンがどういう理由で成田悠輔氏をウェブCMに起用したかはわからないが、おそらくまいどなニュースのコメント欄に多くいるようなサイレントマジョリティに浸透するために「ちょっと反社会的なピリ辛さのある」人物を選んだのではないか。

SNSのXに見られる反応とYahoo!ニュースのコメントに見られる反応は日本のSNSにおいては棲み分けられている。これが成田悠輔という触媒に触れることで「ちょっとした爆発」を起こしたのが今回の騒ぎの真相だったのではないかと思う。社会的な問題は何も解決しないが大きな社会的課題を解決したと喜んでいる人も多いのではないかと思う。

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