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日本のエスタブシッリュメントとそのコンプレックス

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熊本・大分の地震に関する予算委員会で「九州にお詳しい麻生太郎財務大臣」と質問された副総理。阿蘇大橋の名前に地震がなかったらしく「阿蘇、大橋?」と言いよどんでいた。学歴を見ると「九州にも庶民にもお詳しくない」のが分かる。
麻生太郎氏は小学校二年生までしか九州にいなかったらしい。まずはおじいちゃんが麻生太郎氏のために「作った」小学校に通った。生徒は太郎氏を含めて4人しかいなかったという。太郎氏とご学友というところだろう。その後、学習院小学校に転校した。皇室とご学友になるためだと思われる。お金持ちはお金の使い方のスケールが全く違う。
その後、スタンフォード大学に留学した。お勉強にはあまり熱心ではなかったようであるが、母方のおじいちゃん(吉田茂元総理大臣のことである)に呼び戻されたということになっている。「アメリカ英語はよろしくない」からだそうだ。泣く泣くロンドンに行ったことになっている。
昔の上流階級の人には、皇室やイギリス貴族へのあこがれがあったのだろう。
周囲の努力にも関わらず、麻生太郎氏は「伝わる」英語を身につけられなかったようだ。YouTubeに麻生氏の英語いくつかが上がっている。紙を見ずに話しているところからとても流暢に聞こえるが、何を言っているのかさっぱり分からない。「イギリス英語は分からないなあ」と思ったのだが、そうでもないらしい。何人かが麻生太郎氏の英語について「全く分からない」と解説している。庶民のひがみなのかと思ったのだが、発音の詳細を分析しており、ある程度の説得力はある。この分析によると、アクセントがめちゃくちゃなのだそうだ。つまり、麻生太郎氏の英語は見かけだけなのだろう。聞いていればアクセントは身に付く物なので、英語で会話したことがないことになる。でもスピーチはできるし英語でジョークも飛ばせるのだ。そこだけ身につけたのだろう。
麻生太郎氏には同情の余地もある。親はいわゆる「九州の成金」階層であり、吉田茂も貴族の出というわけではなかった。本物の貴族階級からは差別されたのではあるまいか。そこで孫には貴族の暮らしを身につけさせようとしたのだろう。だが、自分が知らないことを子供に伝えることはできないわけで「見かけだけの貴族」というかわいそうな人が作られてしまった。スタンフォードではゴルフ三昧だったという。
幼少期に身に付いたこうした経験は簡単に拭うことはできない。結局「見かけだけの国のリーダー」として総理大臣にまで祭り上げられ、漢字の読み間違いで職を追われることになった。英語どころか日本語の教養すら身につけさせてもらえなかったわけだ。自民党のこのルサンチマンは「人権があるのがおかしい」という倒錯した憲法草案につながってゆく。
麻生副総理のことを調べていて舛添要一東京都知事についても思い出した。良いホテルに宿泊し、絵画を贈答したりしていたのだという。これも若い頃にヨーロッパの上流階級に触れたためなのではないかと思う。貴族階級は自分の財産で贅沢な暮らしをし、絵画をたしなんだりするわけだが、庶民階層出身でありもとは学者でしかない舛添さんは自分で贅沢な暮らしができず、公金や政治資金に手をつけてしまったのだろう。何にでも領収書を貰い、ヤフオクで絵画を漁るところから見ると、幼少期にはかなり苦労されたのではないかと思われる。
現在日本のトップと呼ばれる人たちは、意外とこうした「新興階級」の人たちが多い。例外といえば近衛家と細川家の血を引く細川元首相くらいだろうが、政治的闘争に嫌気がさしたのか引きこもって陶芸家になってしまった。少なくとも伝統に根ざした本物の教養はありそうだ。鳩山家の長男はボランディア活動としての基地返還などに熱心である。鳩山元首相は東大を出てスタンフォードでPhDを取っている。一部では物笑いの種になっているが、これは庶民のひがみだ。彼らは汚いものに交わらず好きなことだけやっていれば生きてゆけるのだ。日本の政治状況は本物のエスタブリッシュメントにとっては「下品で嫌らしい」ものでしかないのかもしれない。