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たった数人のわがままで2024年度予算の年度内成立が危うくなる異常事態 政治倫理審査会の28日開催が中止に

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たった数人が抵抗しているせいで予算の年度内成立に黄色信号が出ている。政治倫理審査会が28日に開かれないことになった。参加者の中の数人が全面公開に反対しているためである。だれが反対しているかはおおよその見当はついているがよくわかっていない。野党の側も「儀式的開催」と考えていたはずだがあまりにも低レベルの抵抗に引くに引けない状態に陥ってしまっているようだ。

岸田総理のリーダーシップのなさ、検察審査会を恐れてできるだけ記録を残したくない旧派閥幹部たち、自民党執行部の詰めの甘さなどの結果、予算の年度内成立に黄色信号が灯り国民生活に影響が出かねない事態になっている。

抵抗している人たちは自分達のわがままで予算成立に影響が出かねないことはわかっているはずだが、おそらく国民生活よりも自分の議員の地位の方が優先順位が高いのだろう。今回の一連の騒動は裏金疑惑に関わる人たちの罪の意識の根深さや怯えを浮き彫りにすると同時に、自民党の統治能力に深刻な懸念が生じていことを窺わせる内容となった。

岸田執行部は統治不全に陥っているが世間の関心は政権交代ではなく次の総裁選挙に移っている。石破茂氏が勉強会を立ち上げ上川陽子外務大臣も「次の総裁」について記者から質問が出た。有権者もおそらくは政治とカネの問題に飽きており「自民党の中でなんとかしてくれないか」と思っているのではないか。

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28日の衆議院政治倫理審査会の開催が見送られた。野党側が全面公開を要求したものの自民党は議員の傍聴だけをみとめるという姿勢を崩さなかった。その後、妥協策として冒頭のカメラ取材と記者たちの傍聴が提案された。この最終妥協案では「録音係の記者を入れてもいい」ということになったようなので「是が非でも記録は取らせない」という方針は撤回されたことになる。ただ、それでも自民党側はテレビカメラによる全面公開は認めないとの姿勢を崩さなかった。

ここから彼らが「できるだけ後世に記録・証拠を残さなせたくなかった」ということがわかる。予算審議に影響を与えることは明白なのだがどうしても記録は残したくなかったということなのだろう。ただテレビカメラはダメだが録音はいいということになると彼らが何を守りたかったのかはよくわからなくなる。およそ合理的な判断とは言えない。

抵抗しているのは5人のうちの数名だけだとのことである。志帥会の武田さんと清和会の西村さんは28日の審議に応じてもいいと表明していた。また世耕さんは参議院であり対象外だ。さらに萩生田さんはもともと政倫審対象外である。

NHKの取材によると次のようになる。武田さんは特に条件をつけていなかったようだ。早くから説明する用意があると表明し抜け駆け批判もあった西村さんも「他の二人が出ないなら」ということで出るのをやめた。そこで武田さんが「なぜ俺一人なんだ」と難色を示し結局開催が見送られたという。

岸田総理のリーダーシップは見られなかった。「国会で調整しているから国会が決めればいいことだ」という型通りの答弁を繰り返している。自民党国会対策の失敗も浮き彫りになった。おそらく細部まで話を詰めきれていなかったのだろう。

野党側の当初の戦術はエスカレーション戦術だった。おそらく野党は本音では予算審議に影響を与えたくないと考えている。このため儀式的に政倫審を開かせ「これでは全く不十分だ」として証人喚問を求めてゆくつもりだったのではないかと思う。自民党が証人喚問に応じるはずなどないわけだが「政治とカネの問題について全く反省していない与党」という姿勢を浮き彫りにできる。

野党側も実は困っているのかもしれない。「所詮プロレス」なのだがそれでも相手が戦うふりくらいはしてくれないと格好がつかない。今の国対ではプロレスにもならないため立憲民主党の笠国対委員長は「『こんなこと』で二転三転」と戸惑いを隠せないようだ。プロレスくらいまともにできませんかねというわけだ。

政倫審の成り立ちについてTBSのひるおびで田崎史郎さんが興味深い指摘をしている。ロッキード事件の渦中にあり野党の追求を受けていた田中角栄氏を守るために小沢一郎氏らが思いついた弁明手段が政治倫理審査会だったという。このため政治倫理審査会は議員の権利を守るために「ガチガチに固められている」と田崎史郎氏は指摘する。つまり元々が弁明手段に過ぎず「ガス抜き」という要素が強い会議なのである。

ところが自民党から出てきた提案の内容があまりにも低すぎるものだったため野党も引くに引けなくなってしまった。このまま政倫審を許可してしまうと支援者たちから「追い込みが足りない」と批判されかねない。所詮プロレスとはいえそれなりのパフォーマンスは要求される。

この根強い「公開」への抵抗から清和会の当事者たちが根深い罪の意識に怯えていることがわかる。テレビカメラという日の光にさらされると灰になってしまうと考えているのだろう。さらに立憲民主党が「この程度のこともまとめられないのか」と当惑するように、岸田総理のリーダーシップには重大な欠陥があり執行部もうまく党内の取り回しができていないことがうかがえる。

自民党は「どうか3月1日に予算を決議させてください」とお願いしたが野党は現在3月1日の開催を拒否している。3月2日までに衆議院で予算が成立しなければ3月末日までに予算が成立しない可能性がある。ただし、自民党公明党が3月2日に野党不在のまま衆議院で予算案を強行採決することは可能だ。また同様に参議院で予算を無理やりスピード審議で成立させてしまうことも技術上は不可能ではないとされているようだ。

自民党内部では次の総裁についての議論が始まっている。石破茂氏は予算委員会の答弁で国防や防災などの「安心・安全」について総理大臣に論戦を挑んでいた。野党に期待が集まらない中、事実上の次の総理候補と現職総理の対決ということになる。また党内で勉強会を立ち上げており国民保護庁の設置などについて研究をする意向なのだという。石破氏は防衛問題に強い関心があるがやはり国民にアピールするためには災害対策のほうが重要だと考えているのかもしれない。安倍派や二階派の議員の中からも出席希望者がいるという。自民党は派閥の復活を許さないという党運営方針を打ち出す予定だそうだが、事実上の派閥の再編が始まっている。

上川陽子氏にも次の総裁としての期待が高まっているがこちらは外務大臣の職務に専念するとして次の総裁選挙については何も語らなかったと伝わっている。

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Comments

“たった数人のわがままで2024年度予算の年度内成立が危うくなる異常事態 政治倫理審査会の28日開催が中止に” への2件のフィードバック

  1. ミズノセイイチのアバター
    ミズノセイイチ

    自民党の欲垂れ議員が多いのは有権者に責任があるのでは!資金パーティーなど金集めの行為は犯罪では!議員報酬だけで十分仕事はやれるはずだ!国民の税金は議員の懐のためではなく、国民のために使うべきでは!

  2. 清涼飲料水のアバター
    清涼飲料水

    政治倫理審査会は、本来疑いをかけられた議員の要望があれば開かれるもの。開きたい議員については開き、希望しない議員については他の手段で追求すればよい。
    これをネタに予算審議日程を人質にし、被災地対応やその他国家の運営の妨害を試みる行為は、被災者や国民にとっては迷惑でしかない。
    政倫審含む疑惑解明のプロセスと予算審議含むその他の国会運営はリングせずに並行して進めるべき。
    野党の頑なな姿勢はますます自らの支持率を落とす。いくら政権支持率・与党支持率が落ちようが、野党の支持率が上がらなければ政権交代は起きないなだが、野党幹部はそのことに気づいていない。