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悪夢の岸田政権 日本のGDPが2期連続マイナスで予想外のテクニカルリセッション(景気後退)入り

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BBCが「日本、予想外の景気後退入り GDPが2期連続マイナス」という記事を出している。GDPが2期連続してマイナスとなると自動的に「テクニカル・リセッション」と呼ばれる。つまり景気後退入りしたとみなされる。速報値であり前期比0.1%と微減であるところから今後修正される可能性はあるものの政府の「良い材料が散見されデフレから脱却できる明るい兆しがある」という主張が裏切られた形だ。

しかしながら日本のメディアは「没落する日本」という報道を避ける傾向にある。厳しい現実を見たくないという気持ちがあるのだろう。学校できちんと基礎教育をしないために国民の経済・金融リテラシーが低く今何が起きているのかがよくわからないという人も多いようだ。結果的に景気後退入りという表現が避けられている。

特にじわじわと進む円の「減価」は分かりにくい概念だ。日本で生活していると100円のものが100円で買えれば減価していないことになる。預貯金もそのまま預けていれば減ることはない。ところが株価や外国人の購買などはドルなど外貨がベースになっている。実際には購買力が目減しているのだから、何かに替えておかなければ資産が減ってしまう。この概念が理解できないという人は多いようである。円とドルのどちらを水平に取るかで見方が全く変わってしまう。

政府に対して声を上げにくい風土もあり「一時的な円安の影響でありすぐに良くなるだろう」と考える人が多いかもしれない。これはバブル崩壊の時にも見られた態度だった。人々は現実を受け入れようとせず意思決定も遅れたため結果的に「失われた20年」「失われた30年」という状態が引き起こされた。今度は長い長い経済停滞から「悪いインフレ」という新しい転換が起きている可能性がある。

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日本が予想外の景気後退入りをした。BBCは日本のGDPがドイツに抜かれたことと合わせてこれを伝えている。共同通信は個人消費が0.2%減少し設備投資も0.1%減じたと言っている。つまり国内市場が縮小し始めていることがわかる。岸田政権が従前主張してきた「明るい兆しが見える」という観測が否定された格好だが、岸田政権は見通しを変えていない。このままでは対策が遅れることが予想され「岸田政権という悪夢」になる可能性も低くはない。

政府の経済対策はいまだに昭和幻想を引き摺っている。「日本は企業が海外で稼いだ利益を国内に分配する国だ」という暗黙の前提がある。確かに昭和にはこうした構造がうまく機能していたこともあり、今でもこれを信じている人が多い。問題はおそらくこれに代わる経済モデルをどの政党も打ち出せていないことなのだろう。

自民党が企業を優遇し続けるのはかつての成功体験へのしがみつきがあるためだ。一時はトリクルダウンなどと呼ばれた。企業のわけまえを国内に回してもらおうと考える傾向がある。ところが実際には企業は海外で稼ぎ海外で使う傾向が強まっている。このため資本収支で見ると日本は大幅な黒字国になっているが国内市場は冷え切ったままなのである。

国内の市場は海外と切り離されてい。このため、昔のように企業を優遇しても日本の経済が良くなることはない。そればかりか法人税を安くして消費税を増税したりそのほかの費目で社会保険料を徴収すると切り離された国内市場がさらに縮小することになる。将来不安を感じた国民が消費を控えるようになるからだ。これが悪夢の根底にある理由の一つだ。

今回のテクニカルリセッションについてNRIが解説した記事を見つけた。国内市場の冷え込みをかろうじて好調な米国市場と観光(インバウンド)で補っている状態と解説している。

NRIは「個人消費の実態はGDPで現れるより悪いかもしれない」としている。日本の経済は2023年上半期にはコロナ禍からの反動で成長しているように見えていたが上半期になり腰折れした可能性が高いようだ。このため実質賃金の上昇は2025年半ば以降になるのではないかとしている。いつかは景気が良くなるだろうという政府の主張はまるで蜃気楼のように遠ざかってゆき防衛と子育ての負担ばかりが重くのしかかる。

中途半端に経済に詳しい人は「NISAが導入されたことで株価は好調ではないか」と反論するかもしれない。NRIは「株価は好調なのに経済実感とあっていない」と指摘している。

実は不思議な循環ができているとBloombergが指摘する。NISAで投資が加速されたのは確かだ。だが日本の投資家は海外の株や債権を買っている。すると円の価値が下がる。そのため日本の株式が割安となり海外の投資家が日本の株を買っている。だから日本の株価が上がるのだが国内市場が活況になることはない。

これを助長しているのが日銀のメッセージングだ。日銀は円が上がりそうになると「マイナス金利を解除しても金融緩和は続けます」と言い続けている。株価は上がるのだが国内市場にはマイナスの影響が出る。ただしBloombergは今の円安を正常なものとは見ておらず年末には137円程度までは戻すのではないかとしている。つまり当初の状態には戻らないものの140円台の前半から130円台の後半程度にはなるのではないかという見立てになっている。

今回この記事を書く直接のきっかけになったのは「政府が国民を騙そうとしているのだから新NISAには手を出さない」というSNSのXの投稿だった。円は目減するので「資産の分散はやっておいた方がいい」と考えてリプライを送ったのだがおそらく理解されることはないだろうと感じた。

確かに政府の企みはある。それは「預貯金を国内株式市場に吐き出させて国内投資を活発化させる」というものだった。ところがこの「企み」は外れてしまい国内投資家は海外資産を選好している。少数ではあるが金融リテラシーを持ったセクターは存在し現在の経済状態を正しく理解している。海外の投資家は日本の株を選好するがこれも国内市場の活性化には結びつかない。調達された資金はほとんど海外事業に回ってしまうからだ。結果的に円の価値は目減し(実質賃金が下落し輸入品の価格が押し上がる)これを軽減するためには円貨を外貨に替えるしかない。つまり「騙されているとわかっても自己防衛せざるを得ない」状態になっている。

これを説明するための知識をいつ習得したかと考えてみたのだが、実は大学の4年間を含めて習った記憶がない。大学の4年間の知識だけで溢れるように流れてくる情報を見直してみたのだが「一つもわからない」と感じた。大学で経営学・経済学をやっていれば別だがほとんどの日本人はおそらく今何が起きているかは理解ができていないのかもしれない。単にドイツに抜かれた、インドにも抜かれるらしい、いやいや中国はコケてくれるのではないかという結果だけに焦りを募らせていることになる。おそらくとても不安な状態にあるか「もう考えても仕方ない」と諦めてしまっているのではないか。

国民に経済学・経営学の知識がないにしても政府さえしっかりしてくれれば心配はしなくていい。しかしながらどうもその辺りが心もとない。

今回のGDP下落について林芳正官房長官は「賃上げ・株価など明るい流れ加速させること重要=GDP4位で官房長官」と従来の見解を繰り返しているが、NRIのレポートを読む限りだとこの見通しは成就しない可能性が高い。そもそも岸田政権発足時とは経済状況が変わっているのだが、その変化が全く織り込まれていない。

経済再生を担当する新藤大臣は「日銀は消費や先行きリスク含め総合判断、具体的手法は委ねる=新藤経財相」と言っている。きっと日銀の方でなんとかしてくれるだろうがやり方はお任せしますと日銀に全てを丸投げしてしまっている。企業に賃上げをお願いし日銀に政策を丸投げするのであれば政府はいらない。政策活動費で中身のない本を買い漁り選挙で議員たちに分配していたせいで肝心の政策研究ができなかったのかもしれない。

岸田総理の就任時はコロナからの回復過程にあり「明るい兆し」が見えていたのは確かだろう。だが岸田総理は防衛増税・少子化対策増税などの「将来の負担増」の話から始めてしまった。インフレにあっても「デフレからの脱却をがんばる」と言い続けており経済政策の本気度も疑われる。また統一教会問題や裏金問題を処理することができないため2023年後半になって生じた経済的変化に気がついているのかさえよくわからない。今はアメリカへのお土産を仕込んだ予算の成立で頭がいっぱいになっているようなので国民生活についてどれほど深刻に受け止めているかはよくわからない。

自民党総裁選に直接関与できない国民は「自民党総裁選ガチャ」にあたるのを待つしかない状況だが、岸田総理を引き当てたのはまさに悪夢としか言いようがない。ただ自民党ガチャにどれくらい「当たり玉」が入っているのかはよくわからない。

一方の野党からも輸出産業牽引型から国内市場重視形の経済に転換すべきだという提案も聞かれない。「ガチャ」という意味ではアタリが全くない「スカ」ばかりのくじを引き続けている状態なのかもしれない。「支持政党なし」が多い状況で労働組合と一部の市民団体だけが立憲民主党と国民民主党を支えている状態だ。実は輸出企業と国内産業が入り混じっており経済政策の転換が難しいという事情があるのかもしれない。その意味では野党の方が政策転換が難しい・

ちなみにドイツの2024年の経済成長率はマイナスになることが予想されておりイギリスでも景気後退入りが観測されている。アメリカ合衆国を除く先進国がリセッション入りしつつある兆候が見られる。「日本だけじゃないんだ」と安心する人もいるだろうが、似たような国でも同じことが起きているのだから抜本的な対策が必要なのだと理解した方が良いように思える。

その意味ではそもそも「政治とカネ」の問題があたかも政治の中心にあるとされており経済停滞に目が向かない状況そのものが「悪夢」なのかもしれない。

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Comments

“悪夢の岸田政権 日本のGDPが2期連続マイナスで予想外のテクニカルリセッション(景気後退)入り” への2件のフィードバック

  1. 今、日本経済に起こっている事が上辺だけ分かっているつもりでしたが少し深いところまで学ばせていただきました。

    リセッションに入り4万人へのアンケートでも70%が景気が悪いと答える中、株価だけが続伸しているのに疑問が絶えません上記に書かれていたように海外の投資家による買いが集まっているのはわかりますが円安というだけでリセッション中の国の株はこれからも買われていくものでしょうか?またこれからも日本株は上がっていくと考えますか?

    国民がNISAを始めた途端大暴落を経験して恐怖し投資に興味をなくすことがなければと愚考しています

    1. コメントありがとうございました。最後の株価が上がり続けるか?なのですが「わかりません」がお答えになります。

      去年の秋頃にアメリカで国債に人気が集まり株価が落ちていた時期をご記憶でしょうか?  結果的に過去の債権がメルトダウンしたとさえ言われました。

      ところがその後金融政策に変化があり(金利の下落局面が早まったと予想する人が増えました)株価が再び上昇を続けています。記事はメルトダウンの1ヶ月後のものです。この時にアメリカの株を買っている人はかなり儲けたはずです。

      このように一ヶ月単位で状況が目まぐるしく変わるという状況が続いていて、投資家たちはそのたびに金融資産を動かしています。リターンを狙うというよりも損を避けるような動きになっています。

      現在の状況はアメリカのCPIが思いのほか好調で金利低下局面は当分こないのではないかと懸念する人が出てきているようです。最新記事ではCPIショックの再来に注意などと表現されますよね。

      このような状況にキャッチアップするためには経済誌・経済紙の情報を見て自分で判断するしかないわけですよね。
      経済の勉強をしている人は自分達なりの基礎がありその上で情報を判断することができるのですが、考えてみると私自身大学までの教育で「経済や投資」について勉強した記憶がありません。

      金融リテラシーが二極化した状態にあり、状況がわかっている人とそうでない人の間に大きな条件の違いが現れているのではないかと感じます。