なぜ岸田自民党は農業と外交をくっつけた国会審議をセットしたのか? 国賓待遇と引き換えにアメリカに持ってゆく「お土産問題」について考える

今回のエントリーは全て憶測によるものだ。メディアや各界のプロには全く注目されていない取るにたらない話題だということは最初にお断りしておきたい。考えるのは国賓待遇の「お土産」である。できれば派手なサプライズがいい。

金曜日の国会では外交と農業に関する集中審議が行われた。なぜ外交と農業なのだろうか?と疑問に感じたのだが、それを説明した記事は全く出ていない。メディアは全くこの審議には注目しなかった。立憲民主党の中にも外交について触れた人はいたがほとんどを政治とカネの問題で時間を浪費している。

キーになるのは「農業の憲法」と呼ばれる基本法の改定と岸田総理の4月の訪米だ。おそらく具体案が出た時にかなり揉めるのではないかと思う。輸入相手国への投資促進や必要な施策を講じると書かれている。「相手国がどこなのか」が鍵になる。例えばとうもろこしや大豆を生産する国を優遇すると日本のとうもろこし農家や大豆農家に悪影響が出る。一方で足りなくなった時に増産計画を出させることができるようになっている。20万円の罰金がついている。






岸田総理が4月10日にアメリカを国賓待遇で訪問する。アメリカは大統領選挙を控えているため選挙キャンペーンの一環と考えるのが冷静な見方だろう。つまりバイデン大統領はアメリカの支援者たちにアピールできる材料を電撃発表するものと予想できる。岸田総理はバイデン大統領のキャンペーンに協力することで日米同盟を確かなものとし国内の支持率を向上させたいという狙いがあるはずだ。

となると岸田総理の頭の中で「外交と農業」が結びつく意味が見えてくる。と同時にこれはサプライズでなくてはならない。つまり現在進んでいる作業の中に「意図が語られずに何かが仕込まれている」と考えるのが自然だ。

岸田総理のアジェンダの中に農業基本法の改定がある。岸田総理は自身の強いリーダーシップをアピールし憲法改正に比類するような大改革を成し遂げると宣伝している。現在一般的に語られる改革は次のとおりだ。日経新聞の記事にはこのように書かれている。

岸田文雄首相は会合で「農政を抜本的に見直す」と述べた。「食料や肥料の需給変動、国内の急激な人口減少と担い手不足といった国内外の社会課題を正面から捉える」と語った。

このうち「担い手不足」についてはロボットやデータを活用した「スマート農業」の導入が謳われている。経済界は特にこの分野に新規参入の可能性を見出しており反対する理由は見つからない。大いにやればいいと思う。

一方であまり語られてこなかったのが「安定輸入の確保」である。これがどうも色々と不安なのだ。

共同通信が次のように書いている。

農林水産省が今国会に提出する食料・農業・農村基本法改正案が6日判明した。日本が海外から農産物を安定的に確保できるよう「輸入相手国への投資促進や必要な施策を講じる」と明記。農業の持続的な発展を目指し、農薬や肥料の使用などに伴って農業が周辺環境に与える影響を低減する方針も盛り込んだ。

ポイントはふたつある。一つは「輸入相手国」への投資を奨励しそこで作られたものが買いやすくなるように積極的に支援すると言うもの。もう一つは欧米のリベラルな政権に合わせて「環境問題に配慮する」と言う点だ。アメリカの民主党政権にとっては極めて都合の良い内容になっている。

外交と農業という全く関係がなさそうなアジェンダがセットされたことについて「これは岸田総理の訪米と関係があるのだろう」と考えたのだが、そのような指摘をするメディアは全くなかった。

自民党の質問者は上川大臣に基本的な日本の方針について聞いていた。これまでの外務省のバランス外交を再認識する無難な内容と言えた。上川外務大臣の答弁がかなりしっかりしたものだったためかえって岸田総理の興味のなさが浮き彫りになった。上川氏は自分で会合をセットしてウクライナの訪問したりしているのだが、岸田総理は紛争抑止には全く関心がないようだ。

立憲民主党からは太栄志氏(アメリカのシンクタンクに勤務した経験があり長島昭久衆議院議員の秘書もやっていたそうだ)が総理大臣の外交認識を聞いていた。中国に対する対策が不十分であるという認識があるようだが総理大臣はあまり対中国には関心がないようで散漫な答弁に終始していた。

ここまでを聞いていて「わざわざ外交についての集中審議をやっているのに岸田総理は全く関心がない」という点に違和感を感じた。例外は「北朝鮮の拉致問題で私自身が先頭に立って」というところだけだったがこれも安倍総理を意識したいつもの演技だろう。

さらに続く立憲民主党の議員たちはテレビ中継に舞い上がってしまい相変わらず「政治とカネの問題」について聞いていた。この問題を追求し続ければやがて支持率が上がるだろうと期待しているのかもしれない。

この問題についての記事を探してみたのだが政治とカネの問題で自民党が調査結果を発表したという記事ばかりが見つかり、外交や農業について扱った記事は見つからなかった。メディアもあまり集中審議に関心を持っていないことになる。

仮に、今回の農業基本法の改定がアメリカの農産品の輸入を促進するものだったとしよう。

バイデン大統領は鳴り物入りで岸田総理の「自発的な協力」を宣伝するはずだ。この時点で日本にはこれが誇張して伝わる。日本が「とうもろこしや大豆などのアメリカの農産品を買い入れる」方針を打ち出したということになるとおそらく国内の農家が反発するのではないかと思う。ただでさえ農業経営が苦しくなっているにもかかわらず農家が期待しているような補助はなく「ロボットだデータだ」という支援があるだけで「アメリカからの安い農産品を受け入れるのか」ということになってしまうからだ。

ところが話はこれでは終わらない。逆に農産品が足りなくなった時には農水省が「転作計画」を農家に出させることができるようになる。つまり普段はアメリカの農産品を買うべきとするがいざとなったら逆に「なぜもっと作れないのだ」と罰金付きで圧力をかけられるようになっている。

農林水産省が食料・農業・農村基本法改正案と併せて今国会に提出する食料供給困難事態対策法案(仮称)の概要が8日、分かった。コメ、小麦、大豆などが不足する食料危機時に政府が供給目標を設定。農家に増産計画の届け出を指示できるとし、従わない場合は20万円以下の罰金を科す。

日本人はそもそもサプライズを嫌い「根回し」を重要視する。サプライズはさまざまな憶測を生み状況はますます混乱するだろう。農家が混乱するというより農家に説明を求められた自民党の農政族が慌て出すはずである。

アメリカやアルゼンチンなどの農家は穀物相場を見て今年何を蒔くのかを決める。相場は乱高下を続けているためドイツやフランスなどの農家は「政府の保護政策がないと農業が維持できない」として各地で一斉に抗議活動をしている。仮に今「判明した」政策がそのまま実行されてしまうと日本の農家にはかなり深刻な被害が出るがサプライズにより国際公約化されてしまうと容易に引っ込めることは難しくなるだろう。

さらにバイデン氏の選挙キャンペーンに協力する岸田総理はトランプ陣営に敵視されることになる。いうまでもないことだがトランプ氏が11月に大統領に選ばれる可能性は十分に高い。

今の時点ではこの記事に書いたものは全て憶測に過ぎず全く外れてしまう可能性もある。外務省側が岸田総理が過度にバイデン陣営に肩入れしているとみられないように配慮してくれる可能性もあるからだ。また自民党の農水族が早めに官邸の意図に気がついて水面化でブロックしてくれる可能性もゼロではない。逆に官邸が農水族に配慮し「きちんと支援はするから心配するな」と伝えている可能性もある。

だが、個人的には「ああまた一つ爆弾が……」と感じた。岸田総理は時々突発的な「賭け」に出ることがある。後で聞いてみるとどうもきちんと内部で根回しをしていないというケースが散見される。岸田総理は賭けの後のことはあまり考えないという性格のようだ。岸田政権になってから何回も同じようなケースを見ていると「ああ今回もまた同じことが繰り返されようとしているのか」とどうしても思えてしまう。

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