国会議員の給料が上がったそうである。月額で26万円アップし、年間では421万円の値上げだそうだ。これは妥当なのか、そうでないのか考えてみたい。
歳費を除く国会議員の給与の推移についてまとめている人がいる。正しい数字なのかは分からないがこれを参照してグラフを作った。1995年頃にどさくさで大幅な給与アップが図られているのだが、日本の成長が止まってからは国会議員の給与の伸びも止まっていることが分かる。
ニュースを良く読むと「震災特例として給与をカットしていた分を戻しただけ」だそうだ。まあ、いつまでも特例を続けるわけにはゆかないわけだし、これはこれで納得できるような気もする。
これと比較できそうなのが日本のGDPだ。Googleで検索できる。安倍政権は円の価格を毀損させたのでドルベースのGDPは急激に下がっている。食料や燃料を輸入に頼っている一般庶民の購買力は落ちている。
もう一つの指標は国民の給与所得だ。よく知られるように労働者の数は変わらず、給与総額は減少している。つまり平均でも給与が下がっていることになる。高齢者が正社員から非正規に転換しているからだという説明がされる。
だが実際には非正規職員の貧困化が進んでいる。非正規職員の貧困化は公務員にまで及んでいる。いまや地方自治体の非正規職員の多くがワープアレベルで働いているとされている。ハローワークなど国の事業の一部も非正規化が進む。
さらに保育士や介護職員なども「これでは暮らしてゆけない」という人が大勢いる。いわゆる「医療・福祉」ドメインは政府の補助金に頼る構造になっている。民間セクターの活気がないために医療・福祉分野への依存が強まる。
結果的には、政府が財政出動して支出を増やせば増やすほど民間セクターの活気が失われ、ワーキングプアが増えるという悪循環に陥っている。安倍首相がG7参加国の首脳に「一斉に財政出動を」と主張したが取り入れられなかった。規制緩和を行い市場の活力を呼び込むことが不可欠だと考えられているからだ。
景気がなかなか上向かないから国会議員の給与が現状維持なのは仕方がないのかなあという気もするのだが、実際にはGDPも給与も下がっている。そして、その多く(すべてではないにしても)が政治に起因している。
通常の企業なら役員の報酬は業績と連動しているべきなので、国会議員の給与は下げられるべきなのだ。それでは満足な政治活動ができないと主張するのかもしれないが、「子供が育てられない」「満足に食べられない」という国民が増えているのである。
国会議員は自分たちだけを特別扱いする態度は過激なポピュリズムの温床になるだろう。政治家不信と過激なポピュリズムは世界各国で問題になりつつある。自分たちでできないのなら、民間の給与ベース(非正規を含む)に連動させてみてはいかがだろうか。自ずといろいろな政策が変わってくるだろう。