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派閥解消を目指す 「政治(まつりごと)変革会議」の創立メンバーの横顔

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派閥解消議員連盟というものが立ち上がった。法律改正による派閥の全廃を目指しているとされている。まずは一度全ての派閥を解体してから再編成すべきだという主張のようだ。どういう人たちが集まるのかが気になり横顔を調べてみた。横顔が分かれば会の狙いも見えてくると感じたからだ。結論から言うとメンバーのプロフィールには統一性はない。つまり今後世論がどのようにこの議連を支持するか(あるいは黙殺するか)によって動きが大きく変わることになりそうだ。

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まず各論を書く前にこの運動がどの程度広がるのかについて考えてみたい。読売新聞によると解体した派閥からも参加者が見込まれるという。つまり世論の支持が広がれば「派閥は全て解消すべきだ」という運動が勢力を拡大する可能性はある。だが、逆も考えられる。「自民党には自己変革は無理だろう」という世論が大きければこの運動は単に埋没するだろう。

政治を「パンとサーカス」に例えると自民党の派閥が解体しても国民にパンが配られるわけではない。さらに前向きな改革運動では「悪人の吊し上げ」という国民が最も喜びそうなショーにつながらない。現在最も面白そうな「ショー」は自民党による安倍派の吊し上げだ。強いものや権威が悪人を退治するというショーほど日本人を惹きつけるものはない。

参議院で知名度があるか、組織票がある人たち

まず代表となった青山さんは「ネットで個人的な知名度が高い」。そのほかに郵便局がバックについている人がいる。柘植さんも政治運動を維持するのはそれほど難しくないだろう。今回の運動の発起人は青山さんと和田さんだそうだ。

  • 青山繁晴(無派閥)全国区で当選2回目。ネット右派を中心に無党派層の根強い支持がある。前回の得票は373,786票だった。
  • 和田政宗(無派閥)元NHKのアナウンサー。全国区で初当選。ネット右派を中心に無党派層に根強い支持がある。前回の得票は288,080票だった。
  • 朝日健太郎(無派閥)元ビーチバレー選手で知名度がある。無党派層も多い東京選挙区で92万票の得票でトップ当選している。
  • 三原じゅん子(無派閥)元アイドル・女優で高い知名度がある。安倍総理に近いイメージがあるが派閥に否定的とされる菅義偉氏に近いとされている。神奈川県も無党派が多いのではないかと思う。
  • 柘植芳文(無派閥)このグループでは異色だ。前職は郵便局長である。郵便局には組織的背景があり派閥の集金力は必要とならない。前回の選挙では70歳定年の特例として公認されており自民党が郵便局の集票力に期待していることがわかる。

高知県2名

高知県から2名が参加している。過去の選挙結果を見ると政治運動の維持にはさほど困っていないのだろうと思う。だが参院高知・徳島ではスキャンダルを背景にして野党候補が勝っている。

  • 中谷元(谷垣グループ)防衛大学校から自衛隊に入り2尉で退官。元々は宏池会だったが岸田文雄氏にはついてゆかず谷垣グループに所属した。
  • 尾崎正直(二階派)高知県知事を経て立憲民主党前職を大差で破り高知2区で初当選した。ただしこの時のライバルだった広田一さんは後の高知・徳島の補選で参議院から当選している。高野光二郎氏が「パワハラ辞任」した後の選挙では野党系が勝ったことになり、保守王国といえども盤石ではないことがわかる。

選挙区に野党系のライバルがいて無党派の支持がないと勝てない人たち

高知でもスキャンダルが広がれば自民党が負けるかもしれないという危機感があることがわかるが、選挙区に野党系のライバルがおり無党派の支持が必要な人たちもいる。野党の強さは様々である。労組など組織票に支えられた地域と地域政党ができ上がっている地域がある。

関東地方

  • 石川昭政(無派閥・茨城5区)日立市を含む選挙区のため国民民主党の浅野哲氏に勝つために無党派の支持が必要なのだろう。
  • 穂坂泰(無派閥)豊田真由子氏の後継として埼玉4区から立候補。父親は元志木市長。私鉄沿線のため古くからの自民党支持者と無党派層が入り混じる地域だとされている。
  • 桜田義孝(派閥解散前に二階派を退会し無派閥)柏市が地元で千葉8区が地盤。選挙にはあまり強くないが、自身が建設会社の会長であり地元にネットワークがある。前回の選挙では立憲民主党の本庄知史氏が勝っており惜敗率は60%程度だった。

関西地方

  • 大岡敏孝(二階派)滋賀は嘉田由紀子氏の地盤で野党系が強い。嘉田由紀子氏は野党共闘でバランスを取るために国民民主党を離党し無所属で出馬したこともある。その後京都を地盤とする前原誠司氏と組んで「教育新党」に合流。事実上の維新会派入りを果たしている。大岡氏は無党派層の圧力を最も感じている一人だろう。
  • 務台俊介(麻生派)自治省を経て総務省に入った。初戦では民主党の下条みつ氏に大差で敗れている。その後長野2区で2回当選したが再び下条みつ氏に敗れて比例復活。下条みつ氏は本名を下條光康氏という。祖父と父がそれぞれ参議院議員の3世で「新政信州」という地元政党がある。もともと羽田孜(元首相・佐久と上田を中心とした旧長野2区)について民主党に移ったものと思われるが野党系政党を転々としている。
  • 保岡宏武(谷垣グループ)父は奄美群島を地盤とする保岡興治氏。鹿児島1区から立候補したが僅差で川内博史氏に敗れている。この時には重複立候補をしていなかったためそのまま落選した。次の選挙では比例単独に回った。

その他

これらに該当しない人が2名参加していた。

公明党がライバルになっている

石橋林太郎(岸田派・比例中国)公明党の斉藤鉄夫氏が広島3区から出馬するため比例に回った。東京都が発端になった自民党・公明党問題が全国に波及し公明党の石井幹事長が強硬な対応をとっていたため機嫌を取るために再び広島3区を斉藤鉄夫氏に譲ることにしたという経緯がある。

お騒がせ系

若林洋平(二階派)参議院議員というよりは御殿場市長として知られる。静岡県は川勝知事のグループが強く自民党が野党化している。川勝氏は立憲民主党・国民民主党が推す候補者を支援し「自民党と川勝氏の代理戦争」と呼ばれた。舌戦はヒートアップし川勝氏の「御殿場にはコシヒカリしかない」という失言につながっていて「静岡コメ騒動 川勝王国の自壊」などとNHKに記事を書かれている。

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