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JAXAの自己採点は60点だがBBCは高評価 おもちゃ技術も使い日本が5番目の月面到達国に

JAXAのSLIMプロジェクトが成功し日本が世界で5番目の月面到達国になった。日本の評価は辛口で「ぎりぎりの60点」だった。大学の試験で言えばかろうじて単位は落とさずに済んだというレベルだ。だがなぜかBBCが大絶賛している。コスト削減につながるかなり貴重な成功で「目標の99%は達成できたのでは」と言っている。意外と評価が高いんだなと感じてうれしくなった。

今回のプロジェクトは日本らしさがつまった良い成功事例だった。派手なことはやらないが職人一人ひとりの研鑽の積み重ねが世界的に大きく評価されたのだ。おもちゃの技術も使われているなどと伝えられている。

おそらく政治が下手に介入しないことも良かった。アメリカでも月面着陸プロジェクトが進行しているがスケジュールが延長になっている。実はトランプ政権時代に政治的な思惑でスケジュールが早まっていた。

今回使われたSORA-Qには27,500円という値段がついているがAmazonではすでに高い値段がついて売られていた。「走行中に地球を見上げるボタンをタップすると、視点が上に上がり地球が見えるぞ!」というギミックが搭載されているそうだ。

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JAXAのSLIMが月面の軟着陸に成功し日本はアメリカ、ソ連、中国、インドに続く5番目の月到達刻になった。太陽電池が作動せず当初の計画は縮小を余儀なくされたため、JAXAの評価は「ぎりぎり60点」だった。単位は落とさずに済んだ程度の成功だったという意味なのだろう。

だがBBCの評価は意外と高かった。別のビデオ記事で「当初の目的は99%は果たされたのではないか」という専門家の意見を伝えている。今回の実験のメインの目的はカメラで地形を撮影して場所を割り出したうえで正確な位置に着地させることだったそうだ。JAXAはこの実験には成功している。また装備していたバッテリーを使ってデータの送信にも成功しているため、後々どの程度の精度で成功したかを判断することになる。

月面に何かを送り出すコストは高い。そのために着陸の成功率が高ければ高いほど実質的なコストが下がってゆく。JAXAはこのために変形ロボット・トランスフォーマーやチョロQの技術を持つタカラトミーと協業している。こうした探査ロボットを複数台試すことで将来的な成功率を高めようという戦略だ。ロボットにはSORA-Qという名前がついている。

日本のおもちゃ産業はテレビで戦隊モノや仮面ライダーなどの番組を毎年流すことで基本的な収入を確保している。メインのターゲットは子供だが当然「元子供」もこうしたイノベーションを支える。うまく造られたエコシステムがイノベーションの原資となり職人気質の人たちが毎年のように小さな工夫を積み重ねて知見を蓄積できる環境が整えられている。派手なことはできないがコツコツと積み重ねるのは得意な国なのだ。

ここに国が絡んでしまうと政治からさまざまな無理難題が持ち込まれ間に入る人の数だけが増えてゆく。つまり、今回のプロジェクトは政治が間に入らないからこそ本来の強みが生かされたプロジェクトと言えるのかもしれない。科学者たちは「いやまだ完璧とは言えない、60点レベルだ」と謙遜するが、その謙遜こそが将来の伸びしろになる。

政治がプロジェクトに介入すると話がややこしくなるというのは何も日本だけの話ではないらしい。「月に有人探査機を打ち上げて火星を目指す」というアルテミス計画がリスケジュールされた。トランプ政権時代に「世界初でなければならない」という理由からスケジュールが早められたそうだが結局スケジュールは元に戻されたことになる。人が乗る以上失敗は許されない。政治が絡むと物事が複雑になるという事例は日本だけの問題というわけでもなさそうである。朝日新聞の記事だ。

では、米国など関係諸国が、アルテミス計画に力を入れる背景には何があるのか。一つには、激しい国際間競争がある。アルテミス計画も当初は28年の月面着陸を計画していたが、トランプ政権は突如、計画の4年前倒しを決めた。

タカラトミーはSORA-Qを27,500円で発売している。「「月面モード」走行中に地球を見上げるボタンをタップすると、視点が上に上がり地球が見えるぞ!」というギミックが搭載されているそうだ。AMAZONで検索してみたがおそらく品薄になっているのだろう。高値で販売されているものが見つかるのみだった。

日本の未来はおそらく万博のように成果だけを求め責任を取らない大人たちがいっぱい群がってくる巨大プロジェクトではなく、こうしたおもちゃの中に詰まっているのかもしれないと感じた。

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