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「岸田の乱」の自民党流アンサーは「派閥ロンダリング」 早くも福田達夫氏が新しい政治集団を立ち上げ

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岸田の乱から一夜明けて自民党の落とし所が決まった。悪いイメージがついた派閥を焼き捨てて新しい集団を作る。お正月の飾りを毎年焼く「どんど焼き」のようなイメージで日本の伝統的な落とし所と言える。マスコミは引き続きこれを派閥と呼ぶだろう。このやり方で国民が納得するかは微妙だが国民はそもそも派閥の存廃にはたいして興味がないのではないかと思う。

ポイントはおそらく政策集団が集めたお金がどこに流れるかである。どこか別の政党団体に寄付の形で移したうえで新しい集団に回避させればロンダリングができる。もちろん「報告さえすれば」だが今の法制度では完全合法だ。国民には増税を押し付けようとしている国会議員たちだが自分達のお金は1円たりとも国庫に取られたくないと考えているということがわかり趣が深い。

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岸田さんがなぜ宏池会を焼き捨てる判断をしたかはよくわからないが「突然自分の足元が燃え出したのでパニックに陥ったのだろう」という分析が出ている。TBSでは「これは岸田の乱」と報道している。

「岸田の乱」により、岸田派・安倍派・二階派の解散が決まったとマスコミは盛んに伝えている。だがこれは一種のフェイクニュースだ。報道内容をよく見るとそれぞれ議員グループはしっかり存続しそうだ。

田中角栄氏の政治的ライバルだった福田赳夫氏が「政治刷新」を掲げて作った政策集団「清和会」は孫に戻ってきた。よく知られるように、清和会は政清人和(清廉な政治でおのずから人民を穏やかに)が名前の由来になっている。田中派のダーティーなイメージに対して清新さで対抗しようとして福田赳夫氏が作った集団だった。この看板が孫の福田達夫氏のところに戻ってくる。

また清和会の参議院組織(派閥内で別のグループを形成していた)は継続審議になった。ほとぼりが覚めるまで待ってからまた動き出せばいいという判断だろう。永田町的には「近く説明する」は「いつか説明する、しらんけど」の意味であり、「近く判断する」は「今は判断しません」という言葉の言い換えだ。

二階氏は今の政策集団を解散するが「議員どうして集まるのは問題がない」との認識を示した。これまでも議員の政策集団から派閥に寄付を行っていることがわかっている。二階派からの脱退表明をした自見英子万博担当大臣などは「ひまわり会」経由でかなり上納していたはずだ。これまでの政策集団の会計簿を全て焼き捨てて新しい議員組織を立ち上げればいいと二階氏は考えているのだろう。

茂木派と麻生派も今派閥存続を主張すれば守旧派扱いされかねないため「継続審議」を決めた。政治刷新本部で落とし所が見つかったところでほとぼりが覚めるまで待ってから生まれ変わったと宣言すればいいわけだ。「岸田許すまじ」になっている可能性は高いかもしれないが慌てず騒がず総裁選挙までに多数派工作をすればいい。さらにいえば宏池会の看板は地面に落ちている状態だ。岸田さんが勝手に手放したのだからそれを拾っても誰も文句は言わないだろう。宏池会には麻生氏と犬猿の仲の古賀誠氏と古賀氏を後ろ盾にした林芳正氏がいる。だが林さんは今は政府の一員なので派閥に関しては身動きが取れない。

今回の議論で初めて知ったのだが、そもそも派閥はすでに一度解散になっており「政策集団」に変わっていた。前回の政治と金の問題の総括の成果なのだそうだ。だが、結果的に派閥の集金機能は復活しマスコミも政策研究会を「派閥」と呼び続けた。つまり今後もそうなるだろう。

仮に派閥の問題に興味があるならば、その人たちは「解散した政策集団が持っていた金がどこに寄付されたのか」ということを追えばいいのではないかと思う。安倍昭恵さんが政治集団を「継承」し寄付の形で資金を集めた時には、相続税逃れだと指摘された。おそらく今回も政策集団が集めた金はどこかの政策集団に寄付という形で退避されたのちに、新しいなんらかの集団に戻ってゆくだろう。この時には古い会計簿はすでに解散・焼却されているのだから、今までのことは全てなかったことになる。このお金の動きは当然相続税の対象にも所得税の対象にもならない。

国会議員たちの租税回避の動きに注目が集まることはないのかもしれないと思う。政治資金を必要とする野党が政治団体同士の寄付に課税を要求するとは思えない。その意味では与野党共に利益共同体だ。

国民は検察からのリークにより「一体誰が逮捕されるのか」に夢中になった。ところが検察は途中でトーンダウンしてしまい「なんだこれだけか」というがっかり感が広がっている。「懲罰感情が満たせないなら見せ物は終わり」ということになる。つまり、この話題に興味を持つ人は減ってゆくはずで「裏金が何に使われたのか」とか「税金を回避するために集められた金がどこに流れるのか」にはさほど注目が集まらないだろう。

検察は公然と裏金は問題ではありませんと記者会見している。地検次席検事の発言内容は以下の通りだ。裏金とは言わず「環流」と表現している。

 パーティー券の販売ノルマ超過分を還流すること自体は法に抵触しないとし、政治資金収支報告書への記載の有無がポイントだと解説。「幹部が記載内容を把握していたとは認められない」と指摘した。

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