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政権浮揚のための安い買い物? 岸田総理が能登半島に予備費1000億円超を「気前よく」投下

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岸田総理が石川県を訪れ現地を視察し1000億円超の予備費の投下を表明した。国家主導で能登半島の復興を支援するという内容だった。災害を利用して自らのリーダーシップを誇示する狙いがあるものと思われる。額としてのインパクトはそれなりにあり意外とこれで政権支持率が上がるのではないかと感じた。ぜひこれを読んでいる人たちの意見をXなどで教えてもらいたいと考えている。

今回の訪問はこの記者会見がメインイベントになっており、現地視察は「ついで」だったようだ。現地からは「駆け足で物足りない」という声も上がっている。

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2週間も現地を訪問していなかった岸田総理がようやく能登半島入りした。石川県庁での記者会見で予備費を1000億円超使い国家主導で復旧を行うと約束した。厳密な表現は「代行」である。一方で現地視察は駆け足となり今回のメインイベントが県庁での記者会見だったことがわかる。

確かに額は申し分ない。

当初予備費46億円の支出表明があった時には「少なすぎる」という批判が出ていた。今回の1,000億円超の支出はこれに応える結果となっており「どうだ文句はないだろう」と言える仕上がりになっている。確かに国がこれだけのお金を出してくれるなら岸田政権を支持してもいいという人は出てくるのかもしれない。支持率を買うための安い買い物と言えるだろう。

同時に岸田総理の現地入りが遅れた理由も理解できた。予備費の活用を決めるためにはおそらく現地から情報を集めそれなりにメニューを整える必要があったのだろう。派手な記者会見を開き「どうですか!1000億円ですよ!」と宣伝すれば岸田総理の株が爆上がりすると本人か周りにいるスタッフが考えたのかもしれない。

予備費は合法的裏金と言っても良い。

費目なしで支出を決めることができる上に国会への承認も報告も必要がない。省庁の中には利用目的をメモしているところもあるそうだが行政文書にしてしまうと国会への報告を求める声が出てくる。このため利用目的は全て「個人的メモ」という形式がとられており実質的には国会に対する裏帳簿になっている。これは会計検査院の指摘によるもので週刊誌の噂ではない。

実は予備費自体は5,000億円も積まれていて4,600億円が使われないままで残っていた。このためこのうち1,000億円超を支出しても政府としては痛くも痒くもない。政権側から見れば「正しい予備費の使い方」ということになるのだろう。票を買うためのインパクトのある支出だからだ。またこの災害を奇貨として来年度は1兆円に積み増されることが決まっている。

冷静に分析するならば危険性は2つある。

1つは予備費の利用目的がよくわからないという点だ。1,000億円というお金が石川県に流れ込む。国会の承認も報告も必要のないお金なので本当に被災者のために使われるのかはよくわからない。例えば地元の建築業にばらまかれたとしてもそれを確認する手段はない。憲法規定では国会は政府の予算を監視することになっているはずだが予備費は「その限りにあらず」というわけだ。

県の自主性という意味では石川県の頭越しに決定されるのも問題だろう。おそらく石川県は自分達でよく考えてお金を使うという意欲を失うはずだ。すでに岸田総理のリーダーシップによって現地の状況はかなり混乱していることがわかっている。県の主体性は失われる。

過去の阪神淡路大震災の教訓から現場のことは現場で決めて官邸はその後方支援を行うべきなのは明らかだ。だが支持率がどん底まで落ちている岸田総理にそんな悠長なことを言っている余裕はない。使える政治資源やイベントは全て支持率のアップのために利用しなければならない。自民党が生き残るためには岸田総理がヒーローでなければならないのだ。

いずれにせよなぜ岸田総理の被災地訪問や初動が遅れたのかはよくわかった。朝日新聞からは阪神淡路の教訓が生かされず救える命が救えなかったとする記事が出ておりXで「阪神の教訓ゼロ」としてトレンドワード入りしていた。また、メインイベントは1,000億円超の表明だったため被災地支援は駆け足で行われたそうだ。共同通信は次のような現地の声を伝える。

発生から14日目の駆け足の訪問には「今更来たのか」「励ましが足りない」と冷ややかな視線も向けられた。

とにかく票を支持率を買うための予算が必要だと考える今の自民党に政治刷新など期待できるはずはない。共同通信の調査である。

共同通信社が13、14両日に実施した全国電話世論調査によると、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を踏まえ、政治資金規正法の厳格化や厳罰化などの法改正が「必要だ」は86.6%に上った。能登半島地震を巡り、岸田首相が指導力を「十分に発揮しているとは思わない」が61.6%。地震の政府対応に関し「どちらかといえば」を含め「迅速だった」が54.6%、「遅かった」が43.8%だった。

実際に岸田総理は「検察が起訴しない裏金」については「疑惑の段階で排除されることはない」と宣言している。おそらく自浄作用派は働かず数億円とされる裏金は「単なる疑惑」で処理されることになりそうだ。

ただし裏金問題の報道のピークは過ぎている。内閣支持率そのものは微増しているそうだ。何事も総括せず水に流してしまう日本人の心象がよく示されている。今後この1000億円超という数字が政権支持率にどのような影響を与えるのかに注目したい。

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