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粛々と能登半島の切り捨てを図る岸田総理 説明が難しい政府の冷淡さ

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岸田総理が能登地震で二次避難の検討を強く呼びかけた。被災地の復旧と住まいの確保にかなり時間がかかると言っている。同時に「再び住み慣れた土地に戻れるように再建を支援する」と言っているが岸田総理が約束を守ったことはない。実質的には放棄を呼びかけていると言ってもよいだろう。観光支援も打ち出しているがそもそもインフラが破壊されている地域では今後観光業そのものが成り立ちそうにない。

政府が震災対策に消極的なのは明らからなのだが、改めて考えてみるとなぜ政府がこれほど国家統治に対して冷淡な態度を取れるのかという理由がよくわからない。このままでは能登半島地震は初めての「復興を前提としない震災」になりそうだ。

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能登地方には高齢者が多くふるさと放棄が懸念されていると時事通信が書いている。また衛生状態が悪化しており災害関連死も懸念される。

当事者たちは「自分達は見捨てられつつあるのだ」ということを理解しつつあるようだ。仮設住宅を整備し道路を直してほしいという要望は出ているが「公的機関が動く感覚がなく、期待もしていない」と言っている。今回の震災で最も残酷なのは当事者たちが「どうせ公は自分達を助けてくれないだろう」と感じているという点だ。そこに賞味期限切れの援助物資などが送られてくる。当事者たちの心痛はいかばかりかと感じる。

「僻地」の現状は厳しい。各地域が孤立していて情報が入ってこない。避難所では他地域の状態さえわからないという。感染症が流行っているという噂は入ってくるそうだが専門家がいないため対策も立てられず不安だけが増大してゆく。少なくとも石川県の災害対応は機能していないようだ。

2011年民主党政権下で起きた東日本大震災や2016年の安倍政権下で起きた熊本地震の時と比べると政府の初動の遅れと支援の消極性は顕著だ。

SNSのXでは「能登半島を支援するのはコストパフォーマンスが悪い」という声に対して「強制移住につながる」として批判の声が集まる。だがこうした声を批判するのは少し違うのではないかと感じる。

先頃、有識者のグループが「日本は人口8000万人の国を目指すべきだ」という提言をまとめた。随分とひどい話のように聞こえるが厚生労働省の推計では2100年には人口6300万人の国になると見られている。つまり現実を直視してできる限りのことをやるべきだという提言になっている。

この提言を前提とすると今までと同じようなサービスレベルを全国で展開するのはもはや不可能だ。つまり今回能登地方で起きていることはこれから日本全国で起きることのプレビュー(予告編)ということになる。声高に強制移住を批判する人も含めて何もしない政府を許容してきたのは事実だ。現実を直視する必要がある。

有識者の提言は次の段階に入り「今後人口が維持できないことを前提にどういう影響が出るべきか調査を始めるべきだ」と言っている。これを踏まえると「地震などの災害があった僻地はそのまま放棄される」ということになる。今回は能登半島が問題になっているが南海トラフ地震では四国南部や紀伊半島などに被害が及ぶことが想定される。これらの地域は能登半島と地理的条件がそれほど違わない。衰退を前提に計画を作り直すべきだという警鐘だ。

自民党・公明党政権、民主党政権ともに含め政治は何もしてこなかった。SNSではどちらの政権が正しいかという議論が盛んに交わされているが不毛な議論に過ぎない。

岸田政権に入って状況はますますひどいものになっている。危機意識のなさと冷淡さが特徴なのだが「なぜこれほど冷淡になれるのか」が理解できない。

今回の能登半島地震でも当初はそれほどの災害だとは感じていなかったのだろう。報道カメラが入り被災状況が報道されるに従って自衛隊などのリソースが逐次投入されてゆく。なんとなく「渋々と仕方なく」対応しているように見えてしまう。

どうしてこうなったのかと原因を色々と考えた。下からの情報が入ってこなくなったことも一つの要因なのではないか。「上の方に色々言っても仕方ない」「組織のありように文句を言っても仕方がない」「どうせ自分達の組織ではない」という現場の諦めもあるものと思われる。現場からオーナーシップの感覚が失われ始めている。

危機感のなさは現在岸田総裁が取り組んでいる政治と金の問題にも共通する。若手や地方組織が声を上げない。岸田総裁は青年局に対して若手の声を吸い上げるように要請しているが、政治刷新会議は派閥領袖からなる党幹部と青年局の幹部経験者の連合体に過ぎず「期待できない」とする意見が多数派になっている。「下の方の人たち」は自民党は自分達が変えることができる自分達の政党だとは考えていないのではないかと思う。自民党議員たちは自分達の政党にオーナーシップを感じられていない。

震災後しばらくしてようやく「予備費を投入します」ということになった。災害に使える一般予備費はほぼ全額使い残されているのだからもう少し機動的な投入もできただろう。だが、政府幹部ははまず「この危機を利用すれば国会審議が必要ない予備費が倍増できるぞ」と考えたようだ。早々と来年度の予備費が1兆円になることは決まっている。政府は災害を前提にした公共事業の展開には熱心だが一度災害が起きてしまうと冷淡に切り捨ててしまう。能登半島と同じことはおそらく四国南部や紀伊半島でも起きるだろう。おそらく政府も「日本に対してオーナーシップ」を持っていない。

その上で「能登半島の復旧は長い時間がかかるからふるさとを離れることを検討してくれ」として岸田総理が二次避難を呼びかけることになった。政府は「復興は増税の理由づけになる」くらいのことは考えるだろうがおそらく実際の支出にはかなり後ろ向きになるのではないかと思う。

もちろん政府が何も対策を講じていないわけではない。生活困窮者に対して20万円までの「緊急小口資金」を貸し付けることを決めた。当然ながら少なすぎるという批判が出ている。

また観光業などに対しても無利子融資を行うことを決めているがこれもまた冷淡な打ち出しぶりだ。能登半島では観光資源だった港が壊滅的な被害を受けており新鮮な魚介類を前提にした観光は今後しばらく成り立ちそうにない。ここでお金を借りてももう観光業は維持できないと考える人たちの方が多いのではないか。「我がこと」と考えて支援策を検討しているならばこんな打ち出しにはならなかったはずだ。政府の「他人事」ぶりは誰の目にも明らかだ。

繰り返しになるがこの政府の冷淡さの理由がよくわからない。普通のレベルの同情心や共感を持っている人の発想をはるかに超えた冷淡さである。またそれと同時になぜ現場が「トップに声を上げてもどうせ聞いてもらえない」と感じるようになったのかもよくわからない。

なぜ日本人はオーナーシップの感覚を忘れてしまったのかについてぜひ多くの人の意見を聞いてみたいと思っているが、改めて問われても言語化して説明できる人は少ないのかもしれない。SNSのXを見る限り人々は不毛な党派対立に夢中になっていて落ち着いて考えられる雰囲気でもなさそうだ。

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Comments

“粛々と能登半島の切り捨てを図る岸田総理 説明が難しい政府の冷淡さ” への5件のフィードバック

  1. モモちんのアバター
    モモちん

    まるで「公」が賞味期限切れの援助物資が送られてきたかのような書き方ですね。知らない人は誤解すると思います。なるほどのマスゴミっぷり。

  2. seiichi mizunoのアバター
    seiichi mizuno

    このくらい失態が多いのに、なぜ岸田文雄内閣が続くのか不思議だ!海外には税金を湯水のごとく使うのに、輪島の災害にはたったの40億円、しかも赤十字をとうし(赤十字は日本の災害には援助しない)中抜きか!
    やること汚すぎる!

  3. もち麦のアバター

    仮の話、経済圏として近畿、大阪に近く
    万博との食い合わせが悪いことに関係してるのかもしれない。

    予算と資材の付け替えに関する言及が各メディアで散見されたし
    その話をすればするほど大阪の誰かは迷惑するんじゃあないの。

    桶屋的な話にならないように、という
    持つ者の庇いあいのように見える。

  4. 細長の野望のアバター
    細長の野望

    「なぜ日本人はオーナーシップの感覚を忘れてしまったのか」について私が思う理由は、日本社会が高齢化してしまったからではないのでしょうか。高齢者の総人口に占める割合が高いというのも理由が挙げられますが、他の先進国でも高齢者の総人口に占める割合が高いので、それだけが理由ではないのでしょう。日本は移民は少なく(外国人の労働力はそこそこあるが、日本社会に参加している人は少ないと思う)多様性が低いように感じます。このことが、日本社会のマインドが高齢化してオーナーシップの感覚を忘れてしまう理由になっているのではないのでしょうか(正直に言って、まったく根拠もなくてフワフワした考え方です)。

    コメントで気になったことがあります。赤十字社が日本の災害には援助しないというのがありましたが、日本赤十字社のホームページを見ると今回の能登半島地震に対応していますし、他の日本の災害にも対応していると書いています。赤十字国際委員会(ICRC)のことを言っているのしょうか?ICRCなら国際人道法に基づき、戦争、内戦または国内騒乱の犠牲者に対して人道的支援をする団体なので、災害には対応していないでしょう。
    「まるで「公」が賞味期限切れの援助物資が送られてきたかのような書き方ですね」というコメントは、「賞味期限切れの援助物資などが送られてくる。」という文章のリンク先についてでしょうか?リンク先を読みましたが、「公」が賞味期限切れの援助物資を送ったとは読み取れないと思います(民間物質と書いてありますし、トラックに民間物質を詰めたのがどんな団体かは記事からは分からなかった)。

    昔から、寄付される食べ物の賞味期限切れや古着が使い物にならないぐらいボロボロだったりすることはあったと記憶しています。女性支援団体にも寄付がありますが、新品の衣服をお願いしてもボロボロの古着が送られてくることがあるようです。「施してやっているのだから文句を言うな」というマインドがあるように感じます。
    支援団体は、送る先の状況に合わせて欲しい支援物資を告知し、問題のある支援物質を排除する必要があるし、支援物資を寄付する人も告知内容を守る必要がありますね。

    1. なるほど。高齢化が理由ですか。いろんな人に聞いて回っているのですがなかなかこれといった答えを思いつく人はいないみたいですね。

      今の時点では、あれなんでなんだろう?くらいの気持ちを持つくらいにしておいた方がいいのかもしれません。コメントありがとうございました。