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杜撰な計画が次々に 大阪関西万博の新しい演目は「十数億円の無料休憩所」

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SNSのXを見ていると「十数億円」がトレンドワードになっていた。なにごとかと思って記事を見ると「【独自】万博パビリオン「タイプX」資材キャンセルで十数億円負担か 24棟分発注も採用は最大でも3ヵ国にとどまる見通し」というABCテレビの独自記事だった。今後どのような推移を辿るかは未知数だが少なくとも大阪・関西万博が無駄遣いの象徴としてネガティブに扱われていることだけはわかる。

当初政府が「需要がなくても最悪休憩所に使うから大丈夫だ」として発注を急いだ経緯があり、このままではギネス級の費用がかかる無料休憩所が作られることになってしまう。大阪・関西万博は今や政府のプロジェクト管理の無能さを楽しむ博覧会になってしまったようだ。

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問題になっているのはタイプXと呼ばれるプレハブパビリオンだ。ABCは「関係者」を誰かは明らかにしていない。万博側の人なのか政府の人なのかは不明だ。事実関係としてわかっているのは「現在3カ国分しか埋まっていない」ということだけで「キャンセルが決まった」とは書かれていない。

SNSのXでは早くも「無駄遣いだ」というコメントが相次いで投稿されており一種のお祭り状態になっていた。少なくともXの上では大阪・関西万博は無駄遣いの象徴となっており「中止一択」という空気が広がっていることがわかる。

共同通信の調査でも来場意向が減っており1/4程度の人が「行きたい」と答えているに過ぎない。目玉になる展示物がどれも「昭和の人が考える未来」に止まっており、追加で公表された月の石も「昭和の再放送」の趣がある。非当事者が増えれば増えるほど視線は冷ややかなものになり「ネットのお祭り」として消費されてゆくことになる。この場合のお祭りとはつまり炎上の別名である。

万博を政治宣伝に使ってきた維新の支持率は万博の影響を受けて伸び悩んでいる。企業に頼らず無党派の期待を受けていただけにネガティブなインパクトは大きい。民主党政権は政権を担当してから失点を重ねたが、維新は政権を担当する前のプレテストに落第した形になる。

詳しい計画を見る。プレハブ計画が出たのは11月初頭だった。主語は明らかになっていないが推進したのは「国側」である。建設の遅れが懸念されており「政府の強いリーダーシップで」代替案を提示したことになっていた。ここで鳴り物入りで登場したのが「新たな選択肢タイプX」だった。

だが、このタイプXはユーザーの聞き取りではなく政府の都合によって着想されたものであり、当初から無駄に終わるのではないかとの懸念が伝えられていた。産経新聞は見切り発車ぶりを心配している。

今回見つけた中で最も興味深い記述はプチ鹿島氏の文章だ。出典は朝日新聞だが記事を検索することはできなかった。

《万博協会は、「タイプX」を見越した「見切り発車」を始めた。首相周辺は約20カ国分を仮発注したことを明かし、「もし使われなかったら休憩所とかに使う」と話した。費用は日本が立て替えるが、使われなければ日本の負担になる。》(11月11日)

これが確かなら、見切り発車によって十数億円の休憩所(かなにか)が作られることになる。プレハブなのでその後撤去されるかそもそも作られない休憩所だ。この際ギネスブックに「世界で最も高価な休憩所」として登録してもいいのではないかとすら思った。馬鹿馬鹿しさという意味ではギネス級だ。

プチ鹿島氏は「いろんなものが可視化されて面白い」とまとめている。確かに公共工事というものが持っているいい加減さと杜撰さが可視化されていて興味深い。本来は中身が重要なはずの万博だが作ることが目的になっていてそれすらうまく進んでいない。次第にユーザー視点が失われてゆくが誰もリスクを取らないために費用だけが膨らみ「請求書」の形で国民に回ってくる。

この事業を推進していた経済産業大臣は既に事実上更迭されている。残されたのは何言っているかわからないうえに自身も政治と金の疑惑を抱える万博担当大臣だけだ。

取り残されたのは関西に地盤を持つ某プレハブ最大手の会社だがSNSのXを見ると「11月に受注したのであればまだキャンセルはできるのではないか、欲張りすぎだ」という批判が出ていた。中にはパーティー券疑惑と絡めて「キックバックはないですよね」などと指摘する声もあり万博そのものよりも準備の稚拙さと杜撰さを「楽しむ」ための博覧会になっている。ただし楽しむといっても誰がか炎上するのを周りから囃し立てるという晒し者としての楽しみ方である。

今後この某プレハブメーカーには社会的な圧力が強まるかもしれない。さらにこの某プレハブメーカーに働きかけた政府側の担当者が誰だったのかにも注目が集まりそうだ。

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