ざっくり解説 時々深掘り

政府がまた軽く嘘をついてしまう 「社会保険料軽減」のはずが実は100億円の負担増に

Xで投稿をシェア

カテゴリー:

政府がまた嘘をついたようだ。決して悪気があるわけでもなさそうで「嘘をつくことが当たり前になっている」ことがわかる。このため申し開きも軽いものだった。記者会見で質問されてあっさり「いや実は」と認めている。最初の嘘は非難されるが何回も嘘をつくうちに怒られなれてしまいなんとも思わなくなるものなのかもしれない。

共同通信が「社会保険料、実は100億円増 政府、負担「軽減」と説明」という記事を出している。さすがに通信社なので「政府は嘘をつきました」とは書いていないが「批判は避けられないだろう」と言っている。

Follow on LinkedIn

コンテンツのリクエストや誤字脱字の報告はこちらまで

|サイトトップ| |国内政治| |国際| |経済|






共同通信を読んでいると「批判が出る可能性がある」とする記事をたまに目にする。実際には共同通信が見つけて批判しているのだが、建前として意見は書けないことになっているので「批判が出る可能性がある」と言って誤魔化してしまうのだ。

国民が負担する医療などの社会保険料は、2023~24年度に総額100億円程度増加する見込みであることが22日分かった。政府は歳出改革で「約3300億円軽減できる」と説明するが、実際は医療、介護従事者の賃上げなどに伴う保険料上昇分約3400億円を除いて計算した数字を公表していた。負担を意図的に少なく見せようとしたとの批判が出る可能性がある。

政府に批判的な東京新聞は「実際は保険料を支払う国民の負担が増えることが明確になった」とバッサリである。

ではなぜ共同通信は「わかった」と書いたのか。実はこの件は既に広く知られていた。だが折衝では「削減だけ」を見出しに載せたかった。このため記者が質問すると武見大臣があっさりと「いや実はですね」と認めてしまったようである。

武見敬三厚生労働相が同日の記者会見で、こうした計算方法を認めた。

こうなると野党の出番はない。だが記者たちはこれでは納得できない。そこで世間は許してくれないだろうとして「批判が出る可能性がある」と書いたのだろう。だが、それではいちいち批判させられる世間が疲弊してしまう。「そっちでなんとかしてくれないかな」などと思ってしまうのだ。

財務省は当初「診療報酬の引き上げ」には消極的だった。異例の大規模調査まで行う力の入れようで「これだけの原資を溜め込んでいるんだから儲けた分を医療従事者に還元してくれ」としていた。

財務省は1日に開いた財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の分科会で、全国38都道府県のおよそ2万2000の医療法人について20〜22年度の経営状況を調査した結果を公表した。

財務省の官僚は調査までして頑張ったのだが、当然医師会の猛反発を受ける。

岸田政権は支援者や派閥などの均衡に極めて敏感な内閣だ。今回の派閥と金の問題でも安倍派の大臣たちは切られたが医師会の支援を受けている自見大臣は更迭されなかった。

自見さんの出身派閥の二階派でも派閥と金の問題が起きており、自見さんは「派閥とは縁を切った」と言っているが、二階派は「いやそんな話は聞いていない」としている。自見さんというよりも背景にある医師会系の人と金をめぐった駆け引きは今も続いている。それほど大切なつながりなのだ。

結局、官僚が頑張って調査をした結果は認められなかった。政府への影響力が落ちると医師会の会長が批判されかねない。花を持たせる形で幕引きが図られる。

しかし、政府は「少子化対策の財源を捻出するために支出削減の努力をした」と言いたい。おそらくそこで「削減」については発表したが、増加分については「発表しない」ということにしたのだろう。

武見敬三厚生労働大臣も医師会会長を務めた武見太郎氏の「ご子息」である。医師会との強い関係が伺われる。だが武見さん自身はおそらくそんなに悪い人ではない。記者たちに詰め寄られあっさりと「いや実は」と認めてしまった。

支持母体の繋ぎ止めに腐心する政府が都合の悪いことを言いたがらないのは当然のことなのだが、最近ではそもそも隠すことも億劫になってきているようだ。都合の良い発表をし都合の良い説明をするが追及されるとあっさりと「いや実はですね」と認めてしまう。過去に「嘘をつき続けていればそのうち周りが呆れて何も言わなくなるだろう」ということを学んでしまったのかもしれない。もういろいろと言ってみても仕方ないが、取り替えようにも替えがみつからない。そんな諦めムードが蔓延する。

バックステージでパーティー資金を裏金化する杜撰なお金の管理をしていたことはわかっている。自分達のお金を管理できない人が人のお金を適切に管理すると期待する方が間違っている。結局は実態が分かりながらもこの政府を許容している有権者の問題と言えるのかもしれない。非常に悲しいことなのだがこう総括せざるを得ない。我々は「負け」に慣れ始めているのかもしれない。もういちいち分析して暴いて批判するのもしんどいなどと感じてしまう。

コンテンツのリクエストや誤字脱字の報告はこちらまで

Xで投稿をシェア


Comments

“政府がまた軽く嘘をついてしまう 「社会保険料軽減」のはずが実は100億円の負担増に” への1件のコメント

  1. 給料が増えた分だけ払う税が増えるのは当たり前の話でそれは減税分と相殺するようなものじゃないでしょ
    これを増税だと批判するのは無理があるし嘘を付いてるのはどっちなのよ