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オスプレイの飛行差し止めに関して日米で言い分が食い違う 国防総省は当面は飛行継続の考え

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オスプレイの事故後の対応が錯綜している。日本側は原因がわかるまで飛行を中止するように要請したと主張しているがアメリカの国防総省側は「そんな話は聞いていない」と言っている。実際には事故後も飛行が確認されていた。国防総省側は「原因がわかったら必要な措置を講じます」と言っている。一体何が起きているのか。

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木原防衛大臣は「米軍側に正式に飛行差し止めを要請した」と主張した。だが実際には事故後にもオスプレイの飛行は続いていた。記者たちは国防総省で「なぜ差し止めをしないのか」と質問したが国防総省の回答は「正式に依頼されていないからだ」というものだった。仮に木原さんが嘘をついていないとすると「在日米軍トップから日本政府に要請があることはわかっているがそれは無視した」ことになる。SNS(X)では「アメリカに何も言えないのか」という反応が多く見られるが、正確には「お願いはしたが無視された」ということになる。

日本は戦後しばらく米軍に占領されていたがその後も米軍特権が残っている。そして再独立後に国交が回復され外交ルートが作られている。つまり、現在の日米関係は、被占領政府と軍隊という関係と、対等な二国間の外交関係の二本立てと言える。日本が「事実上米軍に占領された状態にある」とされるのはそのためだ。

もちろん日本政府もそれなりに対応をしている。日米安保条約が改訂された際に相互条約となった。だが、セットになるべき憲法改正はできなかった。条約・憲法・米軍と政府の約束の3つはセットになっているはずなのだが改訂されたのは日米安保だけだった事になる。今でも憲法を改正して自衛隊を軍として位置付けるべきだという議論はあるが米軍と政府の約束について言及する人はいない。さらに条約と憲法のどちらが優先されるべきかについては定まった意見が存在しないようだ。

これがよくわかるやりとりがある。外務省からエマニュエル駐日大使には正式な要請が出ている。駐日大使側もこれを正式な要請であるとしており「コンファメーション(確認)」が済んだ状態だ。だが、駐日大使や外交筋に軍隊を指揮する権限はない。つまりこの約束には実効性がない。

エマニュエル駐日大使ができることは軍と日本政府の橋渡しだけなので「情報共有に努める」との表現になっている。上川外務大臣もこれがよく分かっているので「飛行差し止め」については明言しなかった。

日本の戦前の「統帥権」を考えるとわかることだが軍隊は横並びになっている組織(この場合は外交筋)から命令されることを嫌う。さらに言えば日本政府に命令されて飛行を差し止めるような前例も作りたくないのだろう。

確かに軍の性質としては理解できるが、それをそのまま腹に落とすこともできない。日本政府に日本人を保護する十分な権能がないことを意味しているからである。松野官房長官は「懸念を有している」と述べている。つまり「心配する」ことしかできない。日本国憲法は政府に対して国民の安全を守るように要請しているのでこれは憲法に反するが、実際の日本政府にはその権能がないというのもまた事実なのである。

松野博一官房長官は1日の閣議後会見で、11月29日の米軍オスプレイの墜落事故を受け、安全が確認されるまで飛行を停止するよう米側に正式に要請しているにもかかわらず、安全性に関する十分な説明がない中で飛行が続いていることに「懸念を有している」と述べた。

この問題は日本では「沖縄と佐賀の問題だ」と受け止められている。マスコミ報道は抑制的であり国民の中に反発する声は聞かれない。つまりアメリカとしては外交問題にはなっていないという認識なのだろう。軍の事故はよく起こることなのだからアメリカでの報道の扱いもそれほど大きくない。定期訓練中の事故なので「特に米軍が危険にさらされた」というわけでもない。

次に問題が起きるとすれば事故が市街地で起きた時だろう。2004年に沖縄国際大学にヘリコプターが墜落して炎上する事故が起きた。米軍は機密保持のために一体を立ち入り禁止にした。つまり外交から独立した軍隊は機密の流出と行動制限を恐れる。今回の件でも国防総省は「自分達で必要な調査をしてそのあとで必要な措置があればそれを講じる」と言っている。アメリカの外交筋であろうが日本政府であろうが軍は活動を他所の誰かに邪魔されたくないという気持ちがあるのだろう。

仮に彼らが動くとしたらホワイトハウスで問題になり大統領から命令が降った時であろうが、バイデン大統領は選挙で頭がいっぱいになっていてそれどころではない。日米関係には構造的な問題があるが、これを「首相と大統領は関係が良好だから大丈夫だ」として考えないようにしてきたのが戦後の日米の歴史だったと言える。

これまで米軍の基地はほとんどが沖縄に集中しており沖縄の問題として語られてきた。しかしオスプレイは技能維持のために低空飛行が必要だとされており日本のどこかに飛行区域が設定されている。訓練飛行区域は国会に報告する必要はなく日米合同委員会で「勝手に」取り決めることができる。つまり何かあったとしても官房長官は「心配しています」としか言えないということになる。

沖縄国際大学の場合、墜落したのはヘリコプターだった。つまりオスプレイだから大騒ぎになっているというよりは「何かあった時に日本人の安全が保証できない」点が問題だということだ。とはいえ中国の脅威を念頭にして日本人の中には「米軍に守ってもらいたい」という気持ちも強い。これを折り合わせるためにはどうしても「これは沖縄の問題であり」「事故など起きるはずはない」という前提をおかなければならない。だからオスプレイは絶対に安全という前提をおかなければならないのだ。

現在陸上自衛隊のオスプレイは木更津にあるが、2025年ごろまでに佐賀に移ることになっている。今のところ政府は「みんなが心配するのはごもっともだが」としつつも、移転計画に変更はないとしている。

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