おそらく検察のリーク主導と思われる「パーティー券問題」が膨らみ続けている。新しい情報では安倍派が1億円程度の余剰収入を不記載していたとされている。これが正しければ議員たちは申告する必要のない「お小遣い」をパーティー収入から得ていたということになる。その定義は確かではないがマスコミは「裏金」疑惑と報じている。
一方で防衛増税に向けた議論が進んでいる。総額17兆円を5年で調達するという計画だが、宮沢税制調査会会長は2年か3年で調達するしか道はないと国民に二者択一を迫っている。岸田プランによると「来年から賃上げが起こり景気の好循環が周り始める」のだから何も問題はないということになるが、賃金が上がらなかった時の「プランB」は提示されていない。
検察主導と思われる報道が続いている。安倍派の裏金作りを印象付ける内容で裏金は5年間で1億円程度になるのではないかと言われている。おそらく検察が主体的に流しているのだろうが「関係者への取材で分かった」ことになっている。収支報告に記載していないのだから議員側が収入として報告することはない。当然課税の対象にはならないということなのだろう。
安倍派はこれまで首相の出身派閥だった。検察の人事に強い影響力を持っていたことから派閥内部にはそれなりの安心感があったのかもしれない。だが首相退任後には影響力がなくなった。さらに岸田総理の支持率が低迷している今ならば検察が国民の敵になる可能性も少ない。時流の変化を感じている派閥議員も多いだろう。関係者たちは一様に口を閉ざしており検察の捜査を見守るしかない状況だ。説明責任を果たさない姿勢がさらに反発を呼んでいる。関係者たちは「ウチだけではないはずだ」と言っている。どこまで広がるかによってまた検察の意向も明らかになるだろう。
「裏金」という言葉の定義はどこか曖昧だ。だが、要するに収入として報告する必要がない金ということになる。さらにこのお金が誰か別の人にわたっていたとしても申告義務はない。だから「裏」のお金なのだ。
不思議な点もある。そもそも政治団体は非課税だ。つまり政治団体に入ったお金は報告をしても納税義務はない。このため政治家が政治団体に寄付をして税額控除を受けることが問題視されることもあるそうだ。最近では、閣議で「私人」と定義されている安倍昭恵さんが1.8億円の実質的な相続を受けているが、政治団体を形成しており相続税の対象から外れている。このように政治団体は税金対策として積極的に利用されてきた。
議員たちは、わざわざ迂回路を作らなくても元々優遇を受けている。にもかかわらず「不記載の裏金」にしていた理由がよくわからない。仮にこの「裏金」が誰かに渡っていたとするとその人も申告をしていない可能性がある。安倍派の関係者の一人は長年の慣習だったと指摘した上で「パンドラの箱」と表現しているそうだ。
この問題については国民の関心はあまり高くないと感じていたのだが、さすがにYahoo!ニュースのコメントランキングでは1位から3位までを独占するようになった。疑惑そのものよりも「幹部たちが口をつぐんでいる」という記事に関心が集まっているようだ。つまり、問題そのものではなく対処の仕方に怒っている人が多いということになる。
岸田総理は基本的に各政治団体の問題であり「政府の立場」として説明することはないとしている。また自身もパーティーによって収入を得ている。規範に抵触する恐れがあるが「勉強会なので問題はない」と強調している。
不記載問題について岸田総理は「修正すれば済む」と考えていたようだ。検察の捜査規模の噂は既に永田町に出回っていたのだから実態を把握することはできたのだろうが、おそらくそれを怠っていたのだろう。岸田総理の周りにかつての菅官房長官のような黒子・先回り型のスタッフがいないことがよくわかる。
一方で、税制調査会では着実な増税議論が進んでいる。総額は17兆円になる。税制調査会は「2年か3年の二者択一だ」として国民に覚悟を迫っている。政府は1兆円の財源が新たに見つかったと誇らしげに広報しているのだが「では後の頃いくらが税金になるのか」という記載はない。2027年の増税は1兆円程度と言われていたそうだが、既に2024年には取れないことが決まっているのだから一体いくらくらいの請求書になって降ってくるのだろうか?という気がする。
日経新聞によると宮沢会長のコメントは以下のとおりだ。
自民党の宮沢洋一税制調査会長は30日、防衛費増額をまかなうための増税の開始時期について「複数年かけてとなると、2025年から3年間という選択と、26年から2年間という選択しかない」と話した。税調の幹部会後、記者団に語った。