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大阪関西万博はまだ全体費用が提示されていなかった 「日本館整備費用など約840億円は別料金でございます」

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大阪関西万博の費用が膨らみ続け問題視されている。岸田総理は「これ以上の増額は認めない」としていたが、新しい事実が見つかった。実は出展者としての日本の費用が提示されていなかった。諸々計上されていない諸経費を含めると総額で840億円程度かかるそうだ。つまり全体像が把握できていないのに支出の妥当性について議論していたことになる。

松野官房長官は「今後速やかに全体像を提示するように検討する」と言っている。まだ「検討」段階なのである。松野官房長官が説明しますと言い切れない理由をあれこれ考えてみたが合理的な説明は見つけられそうにない。一度既成事実を作ればあとはどうにでもなると軽く考えているのかもしれない。

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万博の開催費用が膨らみ続けている。原因は開催者の杜撰さにあったとされており「今後は経済産業省が厳しく監督するから大丈夫」というような説明がなされていた。岸田総理は「西村康稔経済産業相と自見英子万博相のもとで会場建設費の執行を厳格に監督していくとし、「私としてはさらなる増額を認めるつもりはない」と述べた」などと伝えられる。

自民党と維新は懸念払拭につとめている。350億円のひよけ発言で騒ぎになった自見大臣に費用の話が振られることはなくなり、なぜか西村経済産業大臣が答弁することが増えた。自見大臣は何のための担当大臣なのかはよくわからなくなっているが何を言い出すかわからないところがある上に政治資金の問題も指摘されている。ある意味「爆弾」扱いされているのだろう。

立憲民主党と維新は国政レベルで競合状態にある。公明党と維新は大阪で競合している。このため特にこの2つの政党が計画の杜撰さについて引き続き追求をしている。経済産業省からバックアップをつけ答弁体制も整えたのだからもうこれ以上は問題は出ないだろうと思っていたのだがそうではなかったようだ。「日本館は別」という答弁が出てきた。

最初に追求したのは辻元清美議員だった。関西が地盤になっており維新とは競合関係にある。西村大臣の答弁は「360億円に抑えたいと考えている」というものだった。だが、この後で辻元清美議員がさらに質問をすると自民大臣が「いや実は……」と言い出す。実はかなり「別の費用」があったようだ。

ただ、辻元氏がさらに追及すると、自見英子万博担当相がその他にも▽発展途上国の出展支援240億円▽会場内の安全確保199億円▽全国的な機運醸成38億円―などを挙げ、会場建設費以外に国費で計約840億円がかかる見通しであることを明らかにした。

車でも家電でも何でもいいのだがカタログの下に小さな文字で「別途オプションがかかる場合があります」などと書かれているようなものである。このオプションがないと事実上使えない。仮に必要な費用だったとしても「騙された」と考えるのが普通の消費者の感覚だろう。政府の稚拙な答弁が万博の足を引っ張っているような状態になっている。

さらに驚いたのが松野官房長官の発言だった。次のように答えている。

松野氏は国費負担の「合理化」に努めると説明し、「万博の全体像の透明化に向け、速やかにできるだけ分かりやすく国民に説明できるよう検討する」と述べた。

説明しますと断言できないようだ。

能力がないのか、情報が上がってきていないのか、興味がないのかなどはよくわからないのだが、とにかく言い切ることは彼には難しいようだ。

こうなると「もう面倒なことは何でもいいから全部やめちまえ」という声が出てくるのはむしろ当然なのではないかと感じる。共同通信の調査では7割が不要と答え、7万以上も「中止でええやん」署名が集まっているそうだが、とにかく政府と維新は万博を強行する考えのようである。おそらく国民の理解よりも優先すべき何か重要な意味が万博にはあるのだろうという気がする。

繰り返しになるが、なぜ費用の全体像を先に示して堂々と「これでやらせてもらいます」と言えないのか、あるいは総理大臣が責任を持って管理監督しますと言っているのに政府が全体にかかる費用をまとめきれていないのかなど気になる点は多くある。補正予算審議をやったからたまたま見つかったようなものだが、いずれによ後になって「やっぱりこれが抜けていました」として費用がさらに膨らむ可能性は残っているということだ。

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