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深夜に突然 岸田総理が公邸からホテルに移動 公邸住まいは短命政権のジンクスも

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深夜突然のニュースだったようだ。岸田総理が総理公邸から一時ホテルに移動した。表向きの理由は設備の不具合になっているが「安全保障上の理由だ」とある。安全保障といえば記者たちに説明しなくてもいいということなのだが、この対応は後々憶測を生みそうだ。

安倍総理と菅総理はさまざまな理由から公邸を利用していなかった。岸田総理は就任直後に「安全保障上の理由から公邸に住む」とわざわざ宣言していた。前政権との違いを打ち出そうとしたものと思われる。

ただ、今のところ報道は「転居」ではなく「宿泊」となっている。つまり数日で戻ってくるだろうという説明である。今後岸田総理がいつ頃公邸に戻ってくるのかも気になるところである。

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共同通信の配信時間を見ると深夜の発表になっている。23日の夜に突如決まったようだ。

NHKは「公邸の居住スペースの設備に不具合が生じ」としており、これだけを読むと例えば水道管が破裂したなどの突発的なことが起きたのかなどという気持ちになる。ただ、例えば「水道管の破裂」などを発表するとなぜ安全保障上の懸念が生じるのかは説明ができない。

安倍総理は私邸から永田町に通勤しており「有事の際に間に合わないのではないか」などと安全保障上の懸念が指摘されていた。また菅総理は議員宿舎で寝泊まりしていた。岸田総理の公邸入りにはこの2人と差別化して見せることで政治手法の刷新を強調する狙いがあったものと見られている。「自分は公明正大に政権運営をする」というジェスチャーだったのだろう。当時野田首相以来9年ぶりだなどと報道されていた。

ただし、公邸にはさまざまな問題もある。

第一に誰と会っていたかがすぐにわかってしまう。情報公開上は歓迎すべきことなのだろうが、それでうまくゆかないのが実情だ。

菅総理が議員会館で寝泊まりしていたのは大勢の国会議員が出入りする関係上「誰と会っていたか」が記者たちにバレないという理由もあったのではないかと思われる。セキュリティがしっかりしており人の出入りが多いホテルであれば誰と会っているのかはわかりにくい。政権巻き返しや連立交渉などのお忍びの舞台としてはうってつけであろう。

例えば休日に人と会ってしまうと「異例の休日面会だ」などと書かれてしまう。情報が徐々に上がりにくくなっており、木原誠二幹事長代理と頻繁に会っているそうだ。党内事情が徐々に読めなくなっているのだろう。公邸に訪れる人は総理大臣に用があって来ているのだから動静を通じて政権の状態が外から丸わかりになってしまうのである。

次に公邸には幽霊が出るという噂がある。これ自体は迷信のようなものだが、自身の意思決定が国政に大きな影響を与えてしまうため「迷信であっても頼りたい」と考えるようになっても不思議ではない。幽霊の噂は「公邸に入った総理大臣は短命に終わる」というジンクスと結び付けられている。最初に住んだのは小泉総理だったが、その後の6名の総理大臣が短命に終わったため、このようなジンクスが定着したと言われている。小泉政権は長期政権だったので根拠なき噂に過ぎないのだが、このところの岸田政権の迷走ぶりを見ていると藁にもすがる思いだったのかもしれないなどと感じる。つまり総理大臣の気持ちがかなり揺れ動いているということになる。

さらに岸田総理に場合にはもう一つの事件があった。公邸に親族を集めた忘年会をやった時に親族たちが官邸スペースで「総理大臣ごっこ」を行った。単なる親戚同士の冗談のようなイベントだったが記念写真が週刊誌に出回った結果、岸田翔太郎首相秘書官の更迭に発展している。

仮に設備故障や構造上の欠陥などであれば事前に移動について根回しがあったはずだ。もちろん、外部からなんらかの情報がもたらされ首相公邸では総理大臣の安全が確保できないということになった可能性は否定できない。ただ、深夜に突然公邸からホテルに移動した問題はただでさえ流動的な政局にさまざまな憶測を呼びそうだ。

次の焦点は岸田総理が公邸からいつ戻ってくるかということになるのかもしれない。総理大臣を受け入れることができる高級ホテルは限られているだろうから延泊を重ねれば経費もバカにならない。今のところ報道は「宿泊」となっている。つまり1日か数日で戻ってくるという含みである。

いずれにせよ、岸田総理が腰を押し付けてこの国の未来展望について考える気持ちの余裕を残していることを願うばかりだ。年末に向けて国民の負担増に向けた議論が着々と進行している。これらの課題はおそらく年明けの本予算編成で問題になるだろう。政権は落ち着いて負担増の説明を国民に対して行う必要がある。

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