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岸田総理の適材適所 今度は統一教会がらみ 消費者担当の副大臣は韓鶴子総裁と5回面会していた

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岸田内閣の「適材適所」問題だが、そろそろ出尽くした感がある。今回の新顔は教団問題を受けて成立した不当寄付勧誘防止法を所管する消費者庁を担当する内閣府の工藤彰三内閣府副大臣(麻生派)だ。旧統一教会の韓鶴子総裁と5回会っていたことが問題視された。やはり適材適所が徹底されておらず本当にこの人で大丈夫なのだろうかという疑問が残る人事だが岸田政権はそのまま続投させる考えだそうだ。

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皮肉なことに既に政務官と副大臣の合計3名が辞任した後となってはこの程度の問題も「軽微なもの」に感じられてしまう。統一教会対策として副大臣に指名したのでなければ完全に統一教会フリーの人材を用意できなかったことになる。それだけ統一教会が自民党に浸潤しているということなのだろう。取り締まりの対象となる教団の総裁と懇意の人をわざわざ選んで担当部署に配置している。

ただ、時事通信の世論調査によると内閣支持率・自民党支持率はすでに2割程度になっている。つまりもはやこの程度の問題で支持率が上下するとも思えない。松野官房長官は「今後は関係を断つと誓っているのだから問題はない」という立場だ。

工藤副大臣 旧統一教会総裁と面会 “今後は関係断つ”官房長官(NHK)

野党は旧統一教会が資産を海外に流出させないような対策を求めている。自民党・公明党の支持母体には宗教団体が多く教団資産の保全には後ろ向きである。このため「憲法にある信教の自由」に抵触する恐れがあるとして、保全法の提出を見送った。

創価学会をはじめとする支持母体への忖度が残る内容は当然被害者救済の弁護士会からダメ出しを食らった。その程度の対策ならもう既にやっている。それでも効果が上がらないから追加の対策を求めている。これが弁護士会の主張である。

もともと与党側の保全法案は支持率低下に歯止めをかけようとして急遽検討が始まったという背景がある。だがこうした場当たり的な提案が支持母体によって押し戻されて「結局うやむやになる」ことが増えている。この失望感がさらに内閣の支持率を低迷させる。

同じような事例は割とありふれている。

例えば、地方の財源となる法人事業税の課税強化を狙った外形標準課税法案は現在自民党にある中小企業・小規模事業者政策調査会の抵抗に遭っている。日商などが「断固反対」の姿勢を崩していない。

また防衛増税の財源捻出のために始まったNTT株売却の議論も甘利座長のプロジェクトチームと野田聖子会長が率いる総務省系の情報通信戦略調査会の間に大きな意見の隔たりがある。甘利座長は経済産業大臣を経験し商工族の代表として振る舞っており、野田聖子氏は総務大臣経験者だ。

決められる政治を目指し「私が決断します」が口癖だった岸田総理にもはや求心力はない。支持率回復を目指して様々な問題に着手するものの、結果的には「いろいろ検討してみましたがやはりできませんでした」ということが増えている。結局全てが中途半端に終わり、それがまた有権者に反発されるという悪い循環が生まれつつある。

こうなると頭をすげ替えて再起を図りたいところだが、ここで中途半端にリーダーが乱立すると収拾がつかなくなってしまいそうだ。高市早苗氏が新しい勉強会を立ち上げて次期リーダーに名乗りをあげているが、世耕参院幹事長や石破茂元幹事長などがこの動きを牽制している。

高市さんの勉強会には13名が出席しているそうだが、ご本人はすでに45名ほどの入会者がいると主張している。世論の空気を読みながら参加すべきかを迷っているステルスな人たちが相当数いるということが窺える。

おそらく国民が求めているのは、揺らぎなく「明日はこっちですよ」と示してくれる国民政党なのだろう。だが、現在の自民党は無党派層の支持を求めつつも支持母体も切り離せない。その上問題のある人たちとの付き合いも断ち切れないという極めて中途半端な状況に陥りつつあるようだ。

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