時事通信の最新世論調査が出た。「内閣支持21.3%、最低更新 自民も下落19%―時事世論調査」という内容で支持率が下げ止まらない傾向が確認されている。そんな中、TBSに出演するスペシャルコメンテータの星浩氏は複数の番組で「もっと大規模な政治と金のスキャンダル」の捜査が行われていると呟いている。補正予算審議が行われている最中に検察が動くとも考えにくいため、なぜこのようなタイミングでのコメンテーターの呟きになったのかがよくわからない。これに関連するかどうかは不明だがゲンダイが神戸学院大の上脇博之教授の告発を扱っている。仮に捜査が本格化すれば支持率低下の「二番底」を招き、次期総裁候補の顔ぶれにも影響を与えるかもしれない。
岸田政権の支持率が21.3%を記録した。自民党の支持率が影響を受け始めている。政権復帰以来最低の19.1%を記録したという。とはいえ他政党への支持が劇的に増えたというわけではなく有権者にとって閉塞感のある内容だ。「選択肢がない」そんな不満を感じる有権者は増えているのではないか。
支持率低下の理由はよくわからない。マスコミが「岸田政権が不人気だ」「解散ができなくなった」と報道しているため「みんながそういう雰囲気ならば」と追随する人が増えている可能性もあるが、さすがにこれで底なのではないかと思える。
新しい悪材料の一つに万博があるが、万博については経費削減で名前を売ってきた維新に対するネガティブなインパクトの方が大きいようだ。350億円割り箸リングについては「使い捨て」批判も出ている。馬場代表は「リングは残すべきなのかもしれない」と軌道修正を図るがもともと撤去がしやすい提案として始まったという経緯があり運営方針のチグハグさが目立つ。また連鎖的に撤退する国が出てくるのではないかという懸念も高まる。1970年の大阪万博には「科学技術の発展」という大テーマがあったが今の万博が何を目指しているのかはいまだによくわからない。
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そんな中、気になる動きも出てきた。TBSのスペシャルコメンテータという肩書きの星浩さんが「近々もっと大規模な政治と金のスキャンダルが発覚するのではないか」と複数の番組で言及した。記事にはなっておらずSNS「X」で多少リアクションがある程度だ。また番組内でこれが大きく扱われることもなかった。単にコメンテータが呟いただけである。
星浩さんはもともと朝日新聞の政治記者出身のフリーランスだ。まだ検察発表が出ておらずTBSとしてはニュースにしにくい。とはいえコメンテータが勝手に呟くような内容ではない上に複数の番組の要所で唐突に呟いているところから星さんが局内と相談せずに勝手に言ったとも考えにくい。局側で「フリーランス」であればダメージにならないと判断した可能性がある。
ただ、なぜ今なのだろうかという疑問は残る。検察が補正予算審議中に国会に介入するとは考えにくいため「近々」大きな動きがあるとは考えにくい。永田町では話題になっているようなので他のフリーのコメンテータが五月雨式に呟くのを避けて星さんに意見集約させた可能性がある。またすっかりおなじみになった「文春砲」などに先を越される前に報道実績を作ろうとしたのかもしれない。TBSや毎日新聞の記者たちの中にも「今すぐ報じるべきだ」といっている人はいるはずだ。
いずれにせよ、安倍政権・菅政権時代であればマスコミの責任者に対して「厳重抗議」が行くような案件が堂々と呟かれたところをみると、岸田官邸のマスコミに対するグリップはかなり弱まっているんだろうなという気がする。
スキャンダルを報じているのはゲンダイだけである。告発したのは神戸学院大の上脇博之教授で、すでに「告発状が提出されている」という内容になっている。上脇教授はこれまでもいくつか政治と金の問題を告発してきたが大手メディアにはスルーされる傾向がある。星浩さんのいっているスキャンダルとこれが関係しているかどうかはわからないが、本来ならば上脇教授に直接語らせるべきだったのかもしれない。
いずれにせよこれらの告発が週刊誌報道によって報道され、閣僚の辞任などにつながってきたという実績は無視できない。大手メディアと週刊誌がYahoo!ニュースで直接競争するような環境が整備される中でテレビ局・新聞社の若手の中にも「このままではいけないのではないか」と感じる人は大勢いるだろう。
神戸学院大の上脇博之教授のコメントなどは見つからなかったが、それぞれの事象を研究するうちに「どうも手口が似通っている」と感じるようになっても不思議ではない。教授が指摘するような「組織的な関与」が証明されるかどうかは不透明だが、秘書から秘書、議員から議員というように口伝で手口が伝播してもいった可能性もある。
実際には組織的でない方が厄介なのではないか。ウイルス性で蔓延している可能性もあるからだ。こうなると「議員が知らない間に秘書が勝手にやっていた」という可能性もある。だが、結果的には連座性ということになる。
こうなると「手洗いうがいを確実にして感染しなかった人たち」だけが次回の総裁選挙の候補者になるという事態も予想される。広がり具合によっては意外と次期総裁選挙の候補者が限定されることになるのかもしれない。
なぜ今「フリーのコメンテータの呟き」という形で伝わったのか、どのような背景で広がっているのか、これがどの程度有権者の意思決定に影響を与えるのかなど不明点が多いが、注目に値する呟きであることは間違いがなさそうだ。