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国連安保理がガザ地区での人道的一時停止提案を採択 5回目にして初めての合意

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国連安全保障理事会は12か国の賛成でガザ地区の人道的一時停止(ポーズ)動議を可決した。アメリカ・イギリスとロシア中国の睨み合いになっていたが、アメリカ・イギリス・ロシアが棄権し拒否権を行使しなかった。アラブ圏からの発議のため中国とフランスは賛成した。

AP通信によると表現が弱められ一時停止は「要求ではなく呼びかけ」になったという。一方でハマスによる人質の解放は「要求」のまま残った。安保理はグテーレス国連事務総長に対して次回の会議までに進捗状況を報告するように求めている。

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議案はアラブ諸国の22か国の要請を背景にマルタが起草したもの。アメリカ合衆国、イギリス、ロシアは棄権したが拒否権は発動しなかった。日本は現在メンバーであり常任理事国の中国とフランスと一緒に賛成票を投じた。議決は「人道停止と緊急かつ拡張的な人道回廊の設置」を訴えるもの。一時休戦・停戦ではなく「ポーズ(一時停止)」となっている。民間人を救出し国連などの人道支援をサポートするために十分な時間を確保する狙いがある。またハマスの側にも人質の即時解放を求めている。

ラファゲートが閉じている状態では国連が積極的に行動を起こして域内に残っているガザの220万人市民を救うために行動を起こす必要がある。だが、アメリカ合衆国とイギリスはイスラエル側にたち「ハマスへの批判が十分でない」と一時休戦に反対した。ロシアは逆に一時休戦では不十分で停戦が行われるべきだと独自提案を出していた。ロシア側の提案は最低9票の賛成票を獲得できず採択されなかった。同じ論理に立てばウクライナへの侵攻も中止されなければならない。

バイデン大統領はネタニヤフ首相に対して攻撃のポーズを求めていたがネタニヤフ首相は1日4時間の停止を実施したのみだった。さらに病院の攻撃にも国際的な非難が集まる。イスラエルはシファ病院がハマスの拠点になっていると主張。アメリカ合衆国も証拠を見つけたと言っている。もちろんハマス側が最も安全な病院を盾にしている可能性は否定できないが動かせば死んでしまう病人が残っていることも間違いはない。

CNNは国連安保理の混乱を「レッドラインの蜘蛛の巣」と言っている。常任理事国がそれぞれ「譲れない線=レッドライン」を設定しているがお互いに折り合いがついていない。このため5回目で初の決議採択となった。

特に批判が集まっているのは瓦礫の下に埋葬されている子供たちだ。医療崩壊によってガザの子供たちが犠牲になっている様子が連日報道されている。ワシントンDCではイスラエル支援のためのデモも起きており大統領選挙の候補者たちはユダヤ系の資金を期待してイスラエル支持を鮮明にしている。一方で国民の側には懐疑論が出始めておりイプソスの調査でもイスラエルを支援すべきという人は既に少数者になっている。

一方でイギリスの議会では「イギリスは即時停戦を求めるべきだ」という動議が出された。保守党・労働党共に党首はイスラエル支持だが労働党の側からは離反者が出たという。イギリスでも国民の間でイスラエル離れが進んでおりこれに呼応した労働党の議員が造反をおこなったものと見られている。

AP通信はロシアがアメリカの印象を悪くするために決議を利用していると指摘している。しかし停戦を求める声が国際世論なのだから結果的にアメリカ合衆国の孤立が浮き彫りになる。これがアメリカの国際的な影響力を削ぐのではないかというのがAPの懸念だ。アメリカ・イギリス共に国民の間には「イスラエルに肩入れしすぎているのではないか」という批判も強まっており、必ずしも「アメリカ・イギリス対世界」という構図にはなっていない。単に政治が世論から浮いているといった印象だ。

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