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地震と緊急事態条項の必要性

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九州地方で大きな地震が起きた。福岡と大分に親類がいるのだが、震源とは少し離れていることが分かっているのに心配になる。九州はもともと地震が少ない土地で、大きな地震に慣れていない。阿蘇神社や熊本城が崩れたことから、未曾有の災害だったことが分かる。
日常でないことが起っている上に、人々は本来なら必要ではないかもしれないことを心配している。それは、原発で何かあっても隠蔽されるのではないか、すぐ停止しなくてもいいのかという問題だ。停止したところで核燃料がなくなるわけではないのだから、動かしても止めても同じことなのだが、九電や官邸に電話した人も多いようだ。根強い政府への不信感が感じられる。
もう一つの懸念が緊急事態条項である。菅官房長官が会見で持ち出したようだ。ただ、ニュースを見ていて緊急事態条項は必要なのではないかと思った。
今回の地震で、菅官房長官とマスコミの対応に違和感を持った人は多いのではないだろうか。なぜか情報が東京に集約されているのだ。東京と九州は大きく離れており、タイムリーな情報が東京に入るはずはない。つまり熊本にセンターを作って、そこに情報を集めた方が良さそうなのだ。だが、マスコミも「情報は東京に集まる」ことに何の違和感も感じていないようである。これはおかしいのではないか。
別の問題も起きた。河野太郎防災担当大臣が「青空避難所をなくすように」と松本文明副大臣に指示をした。これを遵守しなければならないと思ったらしい松本副大臣が熊本県知事に「屋内退避するように」と命令した。ところが九州人は地震に慣れておらず夜通しの地震に「家にはいられない」と考えた人が多かったようだ。熊本県知事は副大臣の方針に不快感を示した。
このことから、現場のことは現場にしか分からないという単純なことが分かる。中央で勝手に決めることができれば意思決定が早そうだが、実際にはこのような齟齬が起りやすいということである。中央政府の役割は必要な補助を与えることで、命令することではない。特に緊急時にはエンパワーメントが大切なのである。だが、政府は「地方は中央に従うべきだ」という頭が抜けないらしい。
つまり、必要な緊急事態条項は現場のことが現場で決められるように県知事の権限を強めることだということになる。国家の権限を弱めて地方の権限を強めることだということだ。つまり地方への権限委譲こそが必要なのだ。これをやるためにわざわざ憲法を改正する必要があるのかは議論の分かれるところだが、災害時に「国の規制があるからできません」ということがないのかどうか、事後に検証してみてもよいのではないだろうか。
鹿児島県知事に川内原発を停止する権限があれば、少なくとも「政府の原発政策が不安だからとりあえず止めてしまえ」みたいな意見も少なくなるはずだ。県知事が国政を気にして地方をリスクに晒すことは(あり得るかもしれないが)可能性としては低いだろう。
もっともこれは正論でしかない。多分、政府の本音は政府の権限強化なのだろうし、主な狙いは国防力増強なのだろう。なら、そういえばいいのにと思う。災害を持ち出すのは「なんとなく身近で合意が得られそう」だからだ。
だが、議論に参加する人たちはなにも、そのような歌舞伎芝居におつきあいする必要はないのである。政府権限強化を狙っている人に「地方分権」を訴えれば、かなりの確率で嫌な顔をされるだろうが、それで良いのだ。


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