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そもそもなんでこんなでたらめな人が国会議員で居続けることができるのだろうか 神田憲次財務副大臣が事実上の更迭

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仮にマスコミで報じられていることが事実ならという前置きはすべきなのだろうが、そもそもよくこんな人が国会議員で居続けることができたなあというのが正直な感想だ。神田財務副大臣が辞表を提出した。事実上の更迭と見られている。

問題を知らない人のためにおさらいをしつつ辞任までの経緯をまとめた。今後の焦点は本人の説明責任と岸田総理の使用者責任いうことになっているのだがおそらく彼らが国民の期待に応えるのは無理だろう。

むしろ、問題のある人物のスクリーニングができず、順当に財務副大臣にまで昇り詰めていったという事実に戦慄を覚える。今の国会には組織やコミュニテイとして問題がある。こういう人たちが事前にスクリーニングされることもなく、大切な決まりと未来の方向性を作っている。

これが今の日本なのだ。

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元々は文春の税金滞納疑惑が出発だった。神田氏は名古屋にコンサルティング会社を持っている。その自社ビルの固定資産税を度々滞納していた。滞納回数は4回であり常習性が認められた。

元々のエヌケイソリューション本社所在地は新宿だったそうだが、2012年1月に名古屋のビルを購入し本社所在地を移している。岐阜県の地方銀行から借りていて今も返済中だそうだ。表向き会社の事業は不動産の管理ということになっているそうだが社員もおらずビルにテナントが入っているという実態もないなどと囁かれていた。

既に内閣改造で政務官と副大臣がそれぞれ辞任している。だから神田氏の件を3例目にして「辞任ドミノ再び」などと書かれたくない。そこで「刑事事件に発展しない」という線引きにして更迭はせず本人に説明責任を果たさせるつもりだったようだ。

常識的に考えて普通に答弁するだろうという希望的観測もあったのかもしれないが、この判断は結果的に間違いだった。想像以上にひどい答弁だった。国会で問い詰められた神田氏は「営業実態はあった」と答弁する。そしてこれが虚偽である疑いが浮上する。

さらに文春は別の金の流れにも着目した。神田財務副大臣は政党支部に2850万円を貸し政治資金団体には1884万円を貸していることになっている。つまり合計で4734万円を貸し付けている。ところが自分の所得報告では210万円を報告しており差額が4524万円となる。何か誤魔化しているのではないかという疑いが出てきたのだ。

結局、答弁がもたなくなり事実上の更迭という形で本人から辞表を出させた。後任には石破グループの赤沢亮正氏が就任した。

国会で自浄作用が働かないのならマスコミが代わりに監視すべきだ。だが、マスコミの報道姿勢にも問題があった。この間、地上波の報道は一貫して消極的なものだった。疑惑を報じることをリスクだと捉えるようになっているのだろう。

唯一それなりに動いていたのがTBSだ。周辺人物に取材をしている。一人は文春に「営業実態はない」と語っていた経営パートナーと思われる。記事は残っていないが放送(ひるおび!)が「200万円を貸していてまだ戻ってきていない」と報道している。さらにNスタは元公設秘書を取材している。問題行動が多く運転にも法令違反が見られたほか駐車場料金の滞納などもあったという。こちらは記事が残っている。

この件に関する気持ちの悪さはどこからくるのだろうかと考えた。我々が持っている「普通」と感覚が異なる。これが薄気味悪い感覚につながっているのだろう。

仮に普通の会社であれば、入社時に面接があり、仕事を通じて人物評価が行われる。任されるプロジェクトが大きくなればなるほど「これくらいの予算を任せても大丈夫なのか」というスクリーニングが行われる。仮に社員が不祥事を起こせば契約は見直され新規営業は難しくなるからだ。

だが、国会はそうなっていない。登用時の面接も行われず、仲間内のチェックもない。有権者も「有名な与党の候補者だから大丈夫だろう」と信頼して投票し、その後は政治に関心を持たない。マスコミもクラブ報道を聞いてカタカタと原稿を書き「オシゴトは終わでございます」とやっている。代わりに動いているのは週刊誌とスポーツ紙だ。

使用者たちも大きな仕事を任せても大丈夫なのか?とは考えないようだ。今回の場合、派閥から上がってくるリストを松野官房長官レベルで決裁したなどといわれている。仮にその説明が正しいとすれば、おそらく政党のガバナンスは既に崩壊しているといえるのだろうが、社長と重役の問題意識は極めて希薄である。

今回の件で多くの人が本人の説明責任と岸田総理の任命責任を問題にしている。普通の会社でこのようなことが起きれば「あの会社とお取引をするのはやめておこう」ということになる。だが総理大臣も松野官房長官も「責任を重く受け止める」と言うだけで大した危機意識は持っていないようだ。最も異常な点はここにあるのかもしれない。

仮に普通の会社で不祥事が立て続けに起これば「人事部長」が叱責され従業員の再評価が行われるはずである。つまり社長の岸田さんの社内統治(プロセス)に問題があるということになるのだが「岸田社長」は「結果的に変な人を副大臣にしちゃったようです、まあハンコを押したのは私です、結果責任ですよね、ごめんなさい」としか言っていない。

こんな人たちが作ってもやはり決まりは決まりと言うことになり、国民はそれを遵守しなければならない。

マスコミの無関心ぶりも異常だ。共同通信は松野官房長官のコメントをそのまま記事として残しているが「具体的に何をするのか?」は聞かなかったようだ。右から左に政治家の発表を伝えるのがジャーナリズムだと思っているのだろう。

松野博一官房長官は13日の記者会見で、神田憲次財務副大臣の辞任に関し「文部科学政務官、法務副大臣に続く今回の辞任を重く受け止めている。国民の信頼を回復できるよう、課題に全力で取り組む」と述べた。

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