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令和の明智光秀になりたくない茂木幹事長と藁人形化する岸田総理

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岸田政権がいよいよピンチを迎えている。「今は何をしても裏目」とTBSが指摘するとおり「全てが政権維持のための買収策」と思われている上に「ゆくゆくは負担増だろう」という疑念が重なっている。岸田総理は「解散はしない」と表明したが逆風は収まりそうにない。

次の総理を目指す人たちにはチャンスにも思えるのだがそうはなっていない。むしろ次の総裁選挙からは距離を置く発言が多く聞かれるようになった。無党派層の要望がよくわからないこともあり下手に政策提言をしてしまうと却って国民の反発を生む可能性があるということなのかもしれない。

ここは無党派層の怨嗟の声を岸田総理に集めて国民が今何に苛立っているのかを探ろうとしているのではないかとさえ思える。さらに嫌なことはすべて岸田総理にやってもらえば後の人たちの負担が減る。こういう存在を「藁人形」とか「流し雛」という。

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24時間365日経済の主役である国民生活の向上だけを考えるリーダーが出てくればすべての問題は解決しそうなものだ。だが、今の政治にはそれが難しいようだ。

次の総理候補を聞くと決まって出てくる名前がある。それが、小泉進次郎氏、石破茂氏、河野太郎氏などである。一方で党内事情を考えると最も総理・総裁に近いのは竹下派を引き継ぎ麻生副総裁とも仲が良い茂木幹事長だろう。

だが、茂木幹事長は「令和の明智光秀になるつもりはない」と総裁選への出馬を否定した。BSフジの番組で明言したと言う説と月刊HANADAで言ったという二つの説があるそうだ。「岸田総理が総裁選挙に出るならば」と言う条件がついているので「どうせもう出ないだろう」と見越しての発言だと疑う声もあるが、今はタイミングではないと考えているのかもしれない。

では、他の候補者はどうだろうか。アンケートで「もっとも次期総理にふさわしい」とされることが多い石破茂氏だが「自民党の保守層に人気がない」と自己分析し「主張を変えてまで総裁になるつもりはない」と宣言している。周囲の状況が整うのを待っているのだろう。

河野太郎氏は「鬼が笑う」として否定も肯定もしなかった。派閥の領袖である麻生太郎氏が止めるのを聞かずに総裁選出馬を強行した時とは態度が大きく異なっている。今ライバルを目指すと潰されるという気持ちもあるのかもしれない。

高市早苗氏は総裁選への意欲を示しているが安倍総理の後ろ盾がなく自力で推薦人を集めるのは難しいとされている。それでも総裁選への出馬を宣言し続けるのは政治家としてのプレゼンスの低下を気にしているからだろう。一時は総裁候補として名前が上がっていたのに意欲を示さなくなると石破茂氏のように「過去の人」扱いされてしまう。この他、青山繁晴氏もネットメディアで総裁選出馬への意欲を滲ませているそうだ。

背景にあるのが無党派を中心とする政治そのものに対する苛立ちだ。

岸田総理には逆風が吹くが、立憲民主党の泉代表も「5年で政権交代」発言が党内で反発されている。立憲民主党もまた「自分達の票が欲しいだけ」の政党と見做される。さらに維新も地方選での不祥事が相次ぎ先行きに不透明感ががてきた。時事通信は触れていないが大阪・関西万博も国民負担を増やすだけの無駄なイベントだという印象になりつつあるようだ。「350億円の割り箸」はまさに無駄な公共事業が可視化されたものである。

おそらく国民がもとめているのは「わたしやわたしたち」の生活が良くなる提案をしてくれる政党なのだろう。そのためには24時間・365日「国民の生活が良くなるためにはどうすればいいのか」を考えてくれる政治家が望ましい。だが具体的な政策までは思い浮かばないうえにこれといった候補者が見出せない。一方で政治の側は「有権者が投票してくれるのならなんでもやります」と言わんばかりだ。お互いに提案待ちという状態になっている。

解決策が見つからなくなると人はどうしても「藁人形」を探したくなる。岸田総理はおそらくこの「藁人形トラック」に乗ってしまった。こうなると「その藁人形に対する反発」が無党派層の要望ということになる。最近全く音沙汰が聞かれなくなった菅前首相のグループも含め、今は様子見という感じなのかもしれない。

菅総理の時にも「流し雛だ」と書いた記憶がある。この時の災厄はコロナ禍だった。結局菅総理を「水に流す」ことでなんとなくコロナは過去のものになったという印象が生まれた。

近年では野田佳彦総理が「消費税増税」を言い出して藁人形化している。改めて当時のスケジュールを見てみた。まず2011年11月のG20で突然方針を表明した。この時に解散にも言及したそうだ。この時「夏までが勝負」としていたが結局解散総選挙などは行えず、安倍晋三総裁(当時)との党首討論で解散を宣言し、そのまま下野してしまった。

この時も1年ほどの時間があった。民主党は内部で揺れ続け自民党にはそれを研究する時間的余裕があったのだ。

野田総理は消費税増税に道筋をつけて退陣したが、民主党が再び政権政党だと認められることは無くなった。一方で野田総理が決めた消費税増税は予定通りに実施される。つまり増税や負担増のような嫌なことはすべて「藁人形」と一緒に流してなかったことにするというのが日本のやり方なのかもしれない。

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