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やはりSNSが正しかった 会計検査院がガソリン補助金の価格抑制効果を疑問視 広告代理店に流れる調査費62億円も有効活用されず

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SNSではガソリン対策において補助金ではなくトリガー条項や税金の二重取りを止めるべきだという意見が多かった。この度、会計検査院が補助金の効果を疑問視する調査報告書を出した。2022年2月から2023年3月までの間、抑制額(1兆2671億円)は交付額(1兆2773億円)を約101億円下回ったと日経新聞が書いている。つまりこの101億円が「どこかに消えている」ことになる。ただ消えているのは101億円だけではない。広告代理店経由で民間企業による調査が行われているそうだがこの62億円も有効活用されていないそうだ。こちらはNHKが伝えている。

この件に関してはSNSの提案の方が政府提案より格段に優れていたようだ。

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日経新聞が会計検査院の調査報告書を詳細に伝えている。問題点はいくつかある。

第一に価格差が広がった。補助金を還元しているところとそうでないところがある可能性があるという含みだろう。正直なガソリンスタンドとそうでないところがあるということになるが補助金の公平性という意味では問題が大きい。正直に顧客に還元するよりも懐に収めた方が「トク」ということになってしまう。事業者の不誠実さを奨励する政策は道徳的に良くない。

もちろん多くの業者はきちんとやっているのだろうが、全体では101億円ほどが「どこかに失われている」ようだ。日経新聞の表現は次のとおり。

22年2月〜23年3月に交付された補助金額と、ガソリン販売数量などから推計した価格抑制額も比較した。抑制額(1兆2671億円)は交付額(1兆2773億円)を約101億円下回った。

次にガソリンの消費量が7年ぶりに上向いた。日経新聞は温室効果ガスの問題を挙げているが需要が高まれば当然価格は上がり補助金も上がる。政府が率先してインフレを起こしていることになる。補助金は市場の需給を歪めている可能性がある。当然、これは価格を上昇させ公費負担を上昇させることになる。

そんな中、NHKが興味深い指摘をしている。政府は民間に委託して価格のモニタリングを行なっている。全部が使われるかどうかはわからないが予算上限は62億円だそうだ。これが全く活用されていないという。単に広告代理店を儲けさせるだけになっているということになる。

会計検査院の調査によりますと、この事業の事務局となっている広告代理店から、ガソリンの小売価格などのモニタリング調査が民間企業に委託され、毎週、全国2万か所以上のガソリンスタンドの状況を電話や視察で調べているものの、結果は一般には非公表で、報告を受けた資源エネルギー庁も分析に活用していなかったことが分かりました。

もちろん予算の大半は正しく反映されているわけだから全ての事業者が不誠実というわけではないだろう。予算規模が大きいだけに積もった無駄は大きい。さらに政府の監視機能がうまく働いていない可能性は高い。会計検査院は「資源エネルギー庁の委託を受けた石油情報センター」が十分に機能を担っていると主張している。民間調査が本当に必要なものだったのか、あるいは何か別の目的があり支出されていたのかは再度検討されてもよさそうだ。政府と広告代理店の関係は度々問題視されるがいまだになぜ政府がこれほど広告代理店にこだわるのかについての説明はない。この点についても正直な岸田政権の説明が求められる。

いずれにせよ、この件に関してはSNSの素朴な指摘の方が正しかった。政府は既得権になっている消費税やその他諸税を手放したくない。このためにどうしても価格抑制スキームが複雑になる。そもそも最初から税金を取らなければ後で監視をする必要もなくなるし余計な言い訳を考える手間も省ける。政府はなぜそれができないのか。岸田政権はきちんと国民に説明する必要があるだろう。

余計な追加支出なしに今の状況が改善できないのであれば政府は政策を転換すべきだということになる。

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