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岸田総理の命運は既に尽きている あとはどれだけ延命できるか、だ

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政治記事を継続的に書いていると面白いことに気がつくことがある。同じことを書いても読まれたり読まれなかったりする。今回「中国の脅威を念頭」に準同盟を準備しているという記事を書いたが全く読まれなかった。主語が安倍総理がではなかったからだと思う。「何を」より「誰が」が重要視されている。逆に最も読まれた記事はやはり岸田総理の経済対策を扱ったものだった。

もちろん自民党が延命する道はある。日本の経済はガソリンエンジンではなく水路で例えたほうがわかりやすい。良くも悪くも政治に関心がない人々の支えられた「国民政党」なので水路に水を流してやればいい。あとはどの政党がそれに気がつくかだろう。マインドセットが変われば経済政策を立てるのはそれほど難しくない。

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FLASHが「内閣支持率、ついに政党支持率を下回る…自民党“岩盤支持層”もついに岸田政権を見放した!」という記事を書いている。興味深いのはコメントだ。政権支持率と政党支持率を比べて「岸田総理はもう終わったのではないか」と指摘している。「そうか終わったのか」と感じた。しばらくして共同通信の世論調査の結果が出た。「所得減税「評価せず」62% 内閣支持率28%、最低更新」こちらでも岸田政権の支持率がついに30%を切ったそうだ。

とにかく「経済」に注目が集まっているようだが、その経済が具体的に何を示しているのかがよくわからない。

FLASHの記事は岸田総理の支持率と自民党の支持率を比べている。自民党には岩盤支持層がいる。無党派層が増えても律儀に自民党を応援し続ける人たちだ。だから内閣支持率がこの水準を下回れば「自民党は支援し続けたいが岸田さんは嫌だ」と考える人が増えているという意味になる。さらにこの岩盤支持層が自民党を支持しなくなると「なんとかおろし」という状態に入る。いよいよ自分達の議席が危ういと考える自民党議員たちが慌て始めるからである。この「なんとかおろし」がひどくなり支持者の離反が進むといよいよ政権交代ということになる。

FLASHの記事について白鳥浩氏は「岸田総理は国民の声を聞いて政策を改めるべきだ」と言っているが、おそらくこれは望み薄だろう。国民が支持する政策は「減税」と「無償化」だ。どちらも自分達の支出を減らすという共通点ががある。だが学校の無償化・給食の無償化は厳密には「公費負担の増大」であり「増税」である。有権者が国民が政府の立場に立って政策を組み立てることはない。

おそらく国民は「経済」の向こう側に何か別のものを見ている。そしてそれが世論調査やアンケートで見つかることはない。

もちろん、岸田総理にも逆転のチャンスはある。かつて、自民党支持層とは別に存在した無党派の岩盤層を獲得すればいい。このため岸田総理は中国に対する強い姿勢や憲法改正に意欲を見せている。だがどちらも世論調査では響かなかった。

「何を」が有権者の心を捉えるのであればこれでも支持率は上がったはずだ。しかし「誰が」が重要ならば「岸田さんが何をやっても支持できない」ということになる。安倍総理がやって好評だったことが岸田総理になると無反応になる。つまり「何を」はさほど重要ではなかったということだ。岸田総理の外務大臣としての評価はすべて「安倍内閣の外務大臣」としての評価だった。そういうことだ。

「誰が」に対する評価は大方は初期の印象によって決まる。岸田総理の場合「これからみなさんの所得は上がりますよ」と言った上でいきなり増税の話を始めてしまったことが失敗につながっている。「みなさんの所得が上がる」は無視され「増税」の印象だけが残った。そしてそれは今も広がり続けている。

共同通信の設問はこれを裏付けている。

経済対策を評価しない理由について「今後、増税が予定されているから」が40.4%で最多。

本来は「みなさんの所得が上向きますよ」と宣言した上で財政出動を増やし景気が良くなったところで予算規模を拡大させればよかったということになる。すでにアメリカが大規模な財政出動をしているのだから日本の持ち出しは少なくて済んだかもしれない。実際に税収は上向いておりその環境は整っている。問題はパイプのつまりである。成果は出ているがそれが国民生活に還元されていない。おそらくパイプの詰まりが一掃されれば後は自然に循環が始まっていただろう。日本の場合景気はガソリンエンジンではなく水路だったということになる。ガソリンが足りないわけではない。循環がおかしいのだ。

一旦印象が固まると人々はそれを強化する材料を集め始める。SNSはチェインバー(個室)になっていて個人的な信念を強化する傾向がある。エコー・チェンバーなどと呼ばれる。現在は評価の流れができている。ネガティブな評価が報道になって現れる。するとそれを見た人がネガティブな評価を広める。そんな状態だ。

テレビ朝日の調査は「岸田総理=増税」というイメージが払拭できていないと分析している。

こうなると、誰も岸田総理の提案は聞かない。毎日新聞は「岸田政権の経済政策に0点をつけた人が最も多かった」と伝えている。

支持率の変化グラフを見ると、低下のきっかけになったのはおそらく安倍元首相が亡くなった事件だった。自民党全体が国民負担増加を目指しても安倍さんだけがなんとかしてくれると根拠なく信じていた人が多かったのかもしれない。あの不幸な事件によって人々の自民党に関する印象が変わってしまったのだろう。

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